観察の結果、ナノ構造物はIPAがメニスカスを形成した直後から変位し始め、IPAの気液界面の変動に伴ってナノ構造物が変位することが確認されたという。これらは、ナノ構造物の倒壊は液体の表面張力により引き起こされるという、これまで主張されていたモデルの妥当性を裏付ける結果だと研究チームでは説明している。
またナノピラー近傍からIPAが乾燥するまでの過程を観察することにも成功し、従来不明確だったナノピラーが倒壊してからIPAが乾燥するまでの動的挙動も確かめられた。これにより、ナノピラーの倒壊は、それらの間に残る液体によりナノピラー同士が付着し、乾燥時に先端部に残る液だまりがナノピラー同士を接着させる、2段階のプロセスで起こることが判明したという。
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洗浄後の乾燥過程で倒壊するナノ構造物(シリコンナノピラー)のイメージ。奥のピラーの多くは独立しているのに対して、手前のピラーは表面張力でくっついて4本1組になり、倒壊している (出所:プレスリリースPDF)
なお、半導体のナノ構造物は微細化と三次元化が進んでおり、今後も構造の脆弱化と複雑化が進むものと予想されている。こうした変化に伴い製造プロセスにおける課題も増加することが考えられ、これらの課題解決策である観察技術が半導体の進化にとってますます重要となると研究チームでは説明しており、今回の研究で開発された観察手法は、従来では見ることができなかった複雑なナノ構造物を液中で観察することができるため、半導体製造プロセスの課題の解決に役立つことが期待されるとしている。