また、化学工業で溶媒で広く利用される「クロロホルム」、さまざまな種類の塩を溶解できる高極性「ジメチルホルムアミド」(DMF)、塗料溶剤として知られていて極性が低い「トルエン」を用いて、5~6種類の物質で有機潮解が観測されるかどうかの調査も実施されたところ、例えばクロロホルムへの溶解性が高い分子性塩ヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウム((n-Bu4N)PF6)では有機潮解が観測されるのに対し、溶解しない無機塩ヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NH4PF6)、テトラフルオロホウ酸アンモニウム(NH4BF4)、塩化ナトリウム(NaCl)では観測されなかったという。

DMFの場合、溶解しないNaClでは有機潮解が観測されなかったものの、DMFに溶解する(n-Bu4N)PF6、NH4PF6、NH4BF4では、有機潮解が観測されたとするほか、収集された溶媒の量が塩の量よりも多かったことも確認されたとする。さらに、トルエンでは、溶解しない(n-Bu4N)PF6、NH4PF6、NH4BF4、NaClでは、有機潮解を観測できなかったものの、安息香酸テトラブチルアンモニウム((n-Bu4N)Bz)を用いたところ、有機潮解が確認されたという。

なお、研究チームでは、有機潮解のメカニズムについて、結晶・粉末へのVOCの吸着、VOCによる分子性塩の溶解、蒸気圧効果によるVOCの凝縮によって説明されるとしており、今後、有機潮解の現象を利用したVOC回収剤の開発などへの発展が期待できると説明している。

  • 有機潮解のメカニズム

    有機潮解のメカニズム (出所:東大生研Webサイト)