スキャナーを買うほどではないけれど、文書をデジタル化したい場面が時々あるという人は少なくないと思います。まさにこういうのが欲しかった!と言いたくなる、PFUが開発中の新サービスをご紹介します。
高性能スキャナー「ScanSnap」をシェアできる新サービスを参考展示
6月7日~8日にパシフィコ横浜で開催された「PHOTO NEXT 2022」という写真映像ビジネスの展示会を訪れたところ、PFUのブースを発見。
同社のドキュメントスキャナー「ScanSnap」シリーズは、ビジネス文書に限らず、実は写真もきれいにデジタル化できます。写真を生業とする人々にもそういったScanSnapの性能や活用法を知ってもらいたいという思いから出展されたようです。
そして、販売中のScanSnapシリーズ各製品と並び、「スキャナーシェアリング(仮)」という気になる新サービスがありました。(仮)と付いている通り、まだ開発段階のコンセプトではありますが、実際に動く状態でした。
コンセプト展示では、ハードウェアとしては市販品と同じ「ScanSnap iX1600」を使用。画面にはスキャナーシェアリングのためのQRコードが表示されており、特別な準備はしていない私物のスマートフォンで読み取ると、すぐにブラウザ上に操作画面が表示されました。
ファイルタイプなどを選択してスキャンボタンを押せばスキャン開始。取り込まれた写真や書類の処理が完了すると自動でスマートフォンに届き、そのままメールなどで送信したり、スマートフォンに保存したりできます。
アプリ不要の手軽さとScanSnapならではの品質が魅力
このような「誰でも使える共有スキャナー」という発想自体はすでにあり、たとえばコンビニに設置されているマルチコピー機にもスキャナー機能があります。しかし、既存のサービスの多くは専用のアプリをスマートフォンに入れておく必要があったり、転送時に指定のWi-Fiに接続する必要があったりと少し面倒な部分もあります。PFUのスキャナーシェアリング(仮)なら、ブラウザベースのやり取りで事前準備がいらず、手軽に使えるところに魅力を感じました。
手軽さ以外のメリットとしては、ビジネス文書から名刺や写真まで、あらゆる紙媒体を最適な設定できれいにデジタル化できるというScanSnapの実力が、通常利用時と変わらず発揮されていることも大きな魅力です。実用化に至れば、冒頭で触れたような「たまにスキャナーを借りて使いたい人」に限らず、スキャナーの購入を検討している人に製品の良さを体験してもらう機会としても有用でしょう。
まだ“(仮)”だけど実用化に期待!
今回はあくまで、ScanSnapの新しい使い方を提案するコンセプト展示であり、反応を見て実用化を検討していく段階。どのような形でビジネスに落とし込んでいくのかは未定です。
実際にサービス化するとしたら、どんな場所にシェアリング用のスキャナーを設置してもらうのか、そしてどのようにマネタイズするのかも課題となるでしょう。
たとえばコワーキングスペースのようなクローズドな場所への設置ならエンドユーザーへの直接課金にこだわらず、店舗との契約で置いてもらうということも考えられるでしょうから、個人向けのハードウェアをそのままシェアすることによる導入コストの低さや設置スペースの手軽さを活かせるはずです。一方、カフェやショッピングモールのような不特定多数の人が訪れる場所に設置するとしたら、たとえばサブスク形式で使ってもらうなどの工夫が考えられます。
このような、手軽かつ高品質に紙をデジタル化できる「街のスキャナー」を必要としている人は意外と多いのではないでしょうか。
たとえば会社員なら、これまではオフィスにいれば複合機を自由に使えていたけれど、テレワーク中に自宅で書類を取り込む用事ができるとスキャナーがない……という困りごとは大いにあり得ます。フリーランスなら「年に一度の確定申告の時期だけスキャナーを使いたい」というのもよくある話です。また、このスキャナーシェアリングについて説明していただいたPFUの担当者さんは「子どもが通っている保育園から、月に一度だけどっさりお便りを渡される」というお悩みを教えてくれました。
すぐにスキャナーを買うほどの頻度ではなくとも(あるいは置き場所がなくても)、スマートフォンのスキャンアプリではなくちゃんとした品質でデジタル化できる場所が欲しいというニーズはありそうです。個人的には、実用化されたらぜひ利用したいと感じるサービスでした。