PFUは10月4日、ドキュメントスキャナー「ScanSnap」の新製品「ScanSnap iX1300」を発表した。箱形ボディを採用した省スペースモデルで、小型ながら以前のハイエンドモデルと同等の毎分30枚の高速両面スキャンを可能にした。

大きな特徴が、排紙の機構を工夫し、省スペースで使えるようにしたこと。スキャンした用紙を手前ではなく上部に排出する「Uターンスキャン」機能を備え、排紙用のスペースを確保せず使える。さらに、銀行の通帳や免許証など厚みのある用紙をスキャンする際は、前面から原稿の給紙と排紙が可能な「リターンスキャン」にも対応した。

  • 排紙機構に工夫を凝らし、スペースに余裕のない場所でも毎分30枚の高速スキャンが可能になったコンパクトモデル「ScanSnap iX1300」

USBだけでなくWi-Fi接続にも対応しており、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも使える。自宅でリモートワークをするビジネスパーソンを中心に人気を集めそうだ。

価格はオープンで、PFUダイレクトでの直販価格は35,200円。販売開始は10月8日。

目を引く独自のギミックで使い勝手を高めた

2012年5月に発売した「ScanSnap S1300i」の後継モデル。両面同時スキャンの速度を毎分30枚(60面)に高速化したのが特徴(S1300iは最大で毎分12枚、24面)。毎分30枚のスキャン速度は、今年1月まで販売していた旧フラッグシップモデル「ScanSnap iX1500」と同じ。

  • カバーを閉じた時の本体は出っ張りがなく、棚や引き出しに簡単に収納できる。大きさは、2リットルのペットボトルと同程度と考えてよい

大幅な高速化を図りつつ肥大化を最小化に抑えたボディは、本体の上部カバーを開けると電源が自動でオンになると同時に、給紙ガイド(シューター)が飛び出すように工夫し、手で引き出す手間を省いた。電源がオンになってからスキャンが可能になるまでの時間も2.9秒に抑え、必要な際に待たされずすぐ使える。

  • カバーを開けると、後方の給紙ガイド(シューター)がくるりと回転しながら自動で現れるギミックが備わる

目を引くのが、スキャン済み用紙の排紙の機構を工夫することで、スキャナー手前の排紙スペースを確保せずにスキャンできるようにしたこと。一般的な書類のスキャンでは、上部のADF(オートドキュメントフィーダー)から給紙した用紙が、180度反転して上部に排出されるようにした。用紙が手前に出てこないので、これまでのモデルで必要だった用紙の排出スペースの確保が不要になる。スキャンと同時に排紙用のガイドが自動で現れるのも凝っている。

  • 上から見たところ。スキャンを開始すると、富士山型の排紙ガイドが自動で起き上がるギミックも

  • 給紙ガイドと排紙ガイドを伸ばしたところ。それぞれ、ガイドの細い部分は手で引き出す必要がある

  • 本体後部から給紙した用紙が、グルッとUターンして手前に排出される仕組み。前方に排紙することはできない

前面から給紙する場合は、最大2mmまでの厚みのある原稿に対応する。写真や名刺、プラスチックカード、封筒などのほか、銀行の通帳もスキャンできる。前面からのスキャンでは、スキャンした原稿が奥ではなく手前に戻ってくる仕組み。スキャナーの後方に手を伸ばして原稿を回収する手間がなくなった。前面からのスキャンでは、上部のカバーを開ける必要なく、原稿を差し込むだけでスキャナーの電源が入ってスキャンが始まる。

  • 前面からの給紙は2mmの厚みがあるものがスキャンできるので、通帳も読み取れる

  • 前面から給紙した用紙は、最後までスキャンしたあとに手前に戻って排紙される

接続はUSB3.2 Gen1のほかにIEEE802.11acのWi-Fiにも対応し、パソコンやスマートフォン、タブレットで使える。USBバスパワーでは動作せず、ACアダプターからの電源供給が必要。バッテリーは内蔵しない。

  • 側面にACアダプターの端子とUSB端子を備える。スキャン速度を抑えてUSBバスパワーで駆動する、という機能は備えず、必ず電源の接続が必要になる

  • ボディカラーはホワイトとブラックの2色を用意。ブラックはひたすら黒い

  • スキャン方式:自動給紙機構(ADF)+単送リターンスキャン
  • センサー:CIS×2(表面、裏面)
  • 光学解像度:600dpi
  • スキャン速度(自動解像度モード):30枚/分(リターンスキャン)、5秒/枚(リターンスキャン)
  • 原稿搭載枚数:最大20枚(ADF)
  • インターフェース:USB3.2 Gen1、IEEE802.11a/b/g/n/ac
  • 本体サイズ、重さ:W296×H87×D114mm、約2kg