リンクアンドコミュニケーションは5月18日、食事・運動・睡眠をまとめて管理できるAI健康アプリ「カロママ プラス」のリニューアルを発表しました。新アプリでこれからできるようになることやスマートシティでの導入事例など、メディア向け発表会で語られた未来像をお伝えします。
食事・運動・睡眠をまとめて管理できる、親しみやすいAI健康アプリ
カロママ プラスは、食事・運動・睡眠など日々の生活を記録し、AIコーチによるアドバイスを受けながら、自身の生活を見つめ直して改善につなげられるアプリです。
同種のアプリはいくつかありますが、カロママ プラスの長所は、まずSNSのようなタイムライン形式を採用した親しみやすいUIです。空欄を地道に埋めていくような無機質なものではなく、AIコーチとチャットで会話するような形で報告し、2億通り以上のアドバイスが返ってきます。
そして、食事の記録がとても簡単なことも特長です。以下の写真は、実際にカロママ プラスを使ってお弁当をスキャンしてみた様子。主菜、副菜、白米と細かく認識されています。一般的な健康アプリなら、メニューを検索したりバーコードをスキャンしたりとどうしても食事前に手間がかかってしまう部分ですが、これなら写真を撮るだけなので簡単ですね。
ちなみに、誰かと一緒に食事する場合などその場で記録作業をしにくい状況であれば、通常のカメラアプリで写真だけ撮っておいて、後からカロママ プラスに読み込ませることもできます。
ここまでは、以前から提供されてきたカロママ/カロママ プラスの基本機能です。従来は、個人向けに無料で提供されるB2Cサービスの「カロママ」、企業の福利厚生などとして提供されるB2B2Cサービスの「カロママ プラス」に分かれていましたが、今後の機能拡張を見据えてカロママ プラスに統合されることになりました。
従来のカロママを使っている個人ユーザーは、年内をめどにカロママ プラスへの移行が必要になります。
パートナー連携であらゆる健康データを集約できるサービスに
これまでは提供形態の違いに合わせて別アプリとしていましたが、なぜ一本化されたのでしょうか。その答えは、新機能とその先の計画にあります。
ヘルステックを取り巻く現状としては、定期健診の結果やスポーツクラブでの運動記録、食生活がわかる購買データなど、さまざまなデータが分散しており、生活者の健康に役立つはずのデータが存在はしても活かし切れない状況だといいます。カロママ プラスは、幅広い業種のパートナーと連携することでこの構造を乗り越え、サービス提供者ではなく生活者を中心にあらゆるPHR(Personal Health Record)を集約するという構想を描いています。
その一部をすでに実現している機能としては、健康診断の結果をOCRで取り込んでAIによる日々のアドバイスに反映させる仕組みを導入しているほか、後述するスマートシティでは他社の健康管理サービスと力を合わせる試みも行われています。
さまざまなデータを集約して個人の健康増進に役立てていくという考えでは、個人が興味を持って自発的に使い始めたか、会社に促されて使い始めたかという区別はそれほど重要ではなくなります。今回のリニューアルは単にアプリを統合しただけではなく、「健康サポーター」という枠組みを新設。その中で、勤め先や普段利用するコンビニ/スーパー、通っているスポーツクラブ、住んでいる自治体など、データを受け渡したい相手を自分で選べるという、ユーザー中心の構造に整えました。
健康サポーターとして参加するパートナー企業はさまざまな関わり方が想定されています。たとえばスーパーなら、カロママ プラスの食事アドバイスと連動して、パーソナライズされたおすすめメニューや食材を特売情報と合わせておすすめするというような、お互いにとって有益な確度の高い提案ができます。
現時点では、食事記録に基づいたおすすめメニューを提示するという一方向の連携ですが、2022年秋以降にはパートナー店舗での購入データをライフログの入力に反映させるという逆方向のデータ連携も計画中です。
柏の葉スマートシティでの導入事例
スマートシティとは、自治体や大学、様々な業種の民間企業などが参画して先進的な街づくりに挑む取り組みです。どのような社会課題の解決を目指すかは地域によって異なりますが、超高齢化社会を見据えた健康増進は多くのケースで課題として挙げられています。
千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」では、健康への取り組みの一環として2020年にカロママ プラスが採用されました。全国展開されているカロママ プラスの基本機能に加えて、スマートシティの特性を活かした機能も追加されています。
一例としては、NTTデータが提供する健康管理サービス「Health Data Bank for スマートライフパス」(HDB for SLP)と連携。HDB for SLPでは心拍数やストレスレベルなどのバイタルデータを記録でき、「疾病リスク予測AI」を目玉機能とするサービスです。柏の葉スマートシティの事例では、このHDB for SLPが予測した疾病リスクの情報をカロママ プラスに引き継ぎ、健康アドバイスの精度を高めました。
リニューアル発表と同日の5月18日には新たに、大阪府吹田市の「Suitaサスティナブル・スマートタウン(Suita SST)」にも導入されました。このようなスマートシティでテストされている機能はすぐに誰もが使えるものではありませんが、近い将来の健康アプリの進化を予感させます。