東京医科歯科大学(医科歯科大)、京都大学(京大)、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、量子科学技術研究開発機構(量研機構)の4者は4月15日、脳機能画像による安静時脳機能結合の情報を基にしたギャンブル障害の判別器を開発したことを発表した。

同成果は、東京医科歯科大 大学院医歯学総合研究科 精神行動医科学分野の高橋英彦教授、京大大学院 医学研究科 脳病態生理学講座(精神医学)の村井俊哉教授、ATR 脳情報通信総合研究所(BICRL)の川人光男所長、量研機構 量子生命科学研究所の八幡憲明チームリーダーらの共同研究チームによるもの。詳細は、日本精神神経学会が刊行する精神医学を扱う欧文学術誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences」に掲載された。

ギャンブルを止められない精神疾患で、「行為依存」という依存症の一種と分類されているギャンブル障害の診断に関する課題としては、診断方法が主に患者による主観的な症状やギャンブルに関連する行動に基づいて行われている点にあるという。患者がそれらを隠したり認めなかったりする傾向があるため、適切な診断が難しいケースも多いことから、臨床現場からは、生物学的情報に基づいた診断を行うためのバイオマーカーの開発が待ち望まれていたという。

そうした中、近年、MRIによる脳画像データを用いて精神疾患の特徴を理解しようとする研究が盛んになっており、中でも安静時脳機能画像(rsfMRI)における「安静時脳機能結合」を患者と健常者において比較することで、精神疾患の神経基盤を探索する研究が進められている。しかし、安静時脳機能結合の情報からギャンブル障害の診断のバイオマーカーとなる指標を取り出し、その診断を予測する研究はこれまでなかったという。そこで研究チームは今回、AI技術を用いて、安静時脳機能結合の情報からギャンブル障害のバイオマーカーとなる指標を抽出し、その診断を予測する判別器の開発を試みることにしたという。