テレワークのため、自宅でパソコンに向き合う時間が増えた人も多いだろう。仕事の効率アップのために、久しぶりにパソコンを新調したという人もいるハズ。どうせパソコンの前にいるなら、仕事の休憩中などに同じ画面でテレビを視聴したい、と思ったことはないだろうか。

  • ノートPCと「Xit Brick」を組み合わせたところ。アンテナ接続が必要なので設置場所を考える必要があるが、机の上に置いても場所を取らない

しかし、最近はテレビチューナーを搭載したパソコンは非常に少なくなってしまった。地デジのスタートによって、視聴にはB-CASカードが必要だったり、ダビング10などコピー制御への対応が必要だったりと、アナログ放送時代に比べてチューナー搭載のハードルが上がったこと、TVerなどテレビ番組の配信サービスが充実してきたことが大きな要因だろう。

とはいえ、ネットの回線状況を気にせずに楽しめるのはテレビの大きなメリットだ。ネットで配信されない番組もまだまだある。そこで今回は、ノートPCでお手軽にテレビを見る「ながら視聴」環境の構築を紹介したい。

主役となるのは、ピクセラのUSB接続の外付けチューナー「Xit Brick」(XIT-BRK100W)。地デジ、BS/CSデジタルの3波対応、ダブルチューナーなので2番組同時録画が可能だ。幅132mm、奥行き78mm、高さ18mmとコンパクトなので場所を取らずに使える(突起部除く)。最大15倍の圧縮録画に対応し、1TBのストレージに約1,500時間もの録画が可能なのもポイントだ。

  • ピクセラの3波対応USBテレビチューナー「Xit Brick」。実売価格は19,870円前後

いざセッティング。手順を写真付きで紹介

さっそく、セットアップ手順を紹介しよう。使用するパソコンはレノボの「YOGA 720」(2017年発売)。12.5型フルHD液晶のノートPCで、上位モデルはCPUにCore i5-7200Uを搭載している。なお、セットアップにはXit Brick、パソコンのほか、壁面のアンテナ端子とF型端子のアンテナケーブルが必要になる。あらかじめ用意しておこう。

  • 手順1:部屋の壁面にあるアンテナ端子とF型アンテナケーブルで接続する。地デジとBS/CSが混合されているアンテナ端子ならそのまま接続。もし、分かれている場合は混合器が必要になる。混合器は家電量販店などで700円程度で購入できる
  • 手順2:付属のUSBケーブルを接続する。コネクタはMini Bと呼ばれている形状で、USB 2.0接続となる
  • 手順3:続いてパソコン側にUSBケーブルのもう片方を接続。こちらはUSB-Aだ。USB Type-Cポートに接続したい場合は、別途変換コネクタやケーブルが必要で、500円程度で購入できる
  • 手順4:付属のB-CASカードを本体に挿し込む。B-CASと大きく書いてある側が底面になるようにして挿し込もう
  • 手順5:ここからはドライバやアプリの導入になる。ピクセラのWebサイトからXit Brickの製品ページに進み、「はじめてガイド」にアクセス。今回はWindows PCに導入するので、「Windowsをお使いの方」をクリックする
  • 手順6:アプリのダウンロードページが表示されるので「ダウンロード」をクリックする

なお、Microsoft .NET Framework 4.6.2以降をインストールしていない場合は、事前にMicrosoftのWebサイトからインストール用ファイルをダウンロードして実行しておく必要がある。インストール用ファイルの実行時に「このコンピューターには .NET Framework 4.6.2 またはそれ以降の更新プログラムが既にインストールされています。」と表示された場合は、すでに導入済みだ。

  • 手順7:ダウンロードされた「XitUpdateTool_4.21.3001.2.exe」ファイルをダブルクリックして実行する。ユーザーアカウント制御のダイアログが表示されるので「はい」をクリック
  • 手順8:次に「インストールを開始しますか?」と表示されるので「はい」をクリック
  • 手順9:「Xit」と書かれたウィンドウが表示されるので「インストール」をクリック。自動的にドライバやテレビの視聴、録画用アプリが導入される。「すべてのインストールが完了しました。」と表示されたら「終了」をクリック
  • 手順10:デスクトップに「Xit」のアイコンが表示されるのでダブルクリックしてアプリを起動。使用許諾の画面が表示されるので内容を確認して「はい」をクリック。ユーザーアカウント制御のダイアログが表示された場合も同じく「はい」をクリックする
  • 手順11:初回設定のウィザードが表示される。アッテネータ設定は通常「OFF」のまま「次へ」を押せばOKだ
  • 手順12:「放送波」と「ご利用の地域」のプルダンメニューから自分の環境に合ったものを選んで「スキャン開始」をクリック。自動的に受信可能なチャンネルが検出される
  • 手順13:チューナーが未接続の状態でも録画番組の再生をできるようにするかの設定。移動中や外出先でも録画番組を楽しみたい場合は「する」に変更しよう。これは後からでも変更可能だ
  • 手順14:動作履歴をピクセラに送信するかの設定。送信することによって自分の視聴傾向にあった番組をオススメとして表示してくれるようになる。ここでは履歴の送信もオススメ番組の表示も「ON」としている
  • 手順15:視聴時や番組表の番組サムネイル(番組に関する小さな画像)を表示するかの設定。番組内容の判別には便利だが、サムネイルの取得には通信が発生するので、通信量を増やしたくない場合は「OFF」にしよう。ここでは「ON」で進める
  • 手順16:これで初回設定は終了。「OK」ボタンを押そう
  • 手順17:デスクトップ上の「Xit」アイコンをダブルクリックしてアプリを起動する。これでテレビを視聴可能になる

テレビと変わらない使い勝手。番組検索が便利

Xitの便利なところはウィンドウのサイズを自由に変更でき、配置場所も自由に決められること。仕事や作業のジャマにならない場所にウィンドウを置いて、「ながら視聴」ができる。字幕の表示や音声の切り換え、データ放送の操作にも対応。テレビと変わらない機能をそろえている。

  • フルHD解像度のデスクトップでXitを最小表示させたところ。722×437ドットまで小さくできた

  • ドラッグでウィンドウのサイズを自由に変更できる。フルスクリーン表示も可能だ

  • テレビを表示しているウィンドウをクリックするとメニューが表示され、字幕の表示や音声の切り換えが行える

  • データ放送の表示や操作にも対応している

ながら視聴で便利なのは番組検索だろう。「スポーツ」→「野球」など特定のジャンルに絞って該当する番組を一覧表示でき、好きなキーワードでも絞り込める。お目当てのタレントなどがいる場合には有効だ。ちなみに、番組の録画予約は可能だが、視聴予約はできない。ながら視聴に特化した使い方をしたい場合にはちょっと残念だ。

  • ジャンルやキーワードを指定しての番組検索が行える

  • 特定の人物やアーティストが出演する番組を探したいときに便利

今回は、ながら視聴がメインなので録画に関しては細かく触れないが、ダブルチューナーなのは大きな強み。同じ時間帯に見たい番組が重なっても、どちらかを録画しておくことができる。録画しながら裏番組の視聴もできるのはダブルチューナーならでは。もちろん2番組同時録画も可能だ。

  • ダブルチューナーなので裏番組録画もできる

ノートPC+液晶モニターでも使える。録画機能も充実

今回はWindows 10搭載のノートPCを使用して検証しているが、ノートPCの外部出力を使って液晶ディスプレイに表示させた場合、テレビの視聴が問題ないのか試してみたところ、「複製」、「拡張」どちらの設定でも外部の液晶ディスプレイ側でテレビは問題なく視聴できた。最近では仕事の効率アップのため、ノートPCと液晶ディスプレイを組み合わせて使うことも多いだけに、これは安心のポイントと言える。

  • ノートPCから液晶ディスプレイに映像を出力しても、テレビを問題なく視聴できた

録画機能にも少し触れておこう。予約録画は番組表から録画したい番組をダブルクリックすると予約の設定画面が表示される。「画質」は高画質から順に、DR/HX/HS/HL/HEの5種類から選択が可能だ。「繰り返し録画」は1回、毎週、毎日、月〜金、月〜土の5種類が用意されている。「PC持ち出し再生」は、「する」に設定することで、本機を取り外した状態でも録画番組の再生が可能になる。移動中や外出先などでも視聴したいときに利用しよう。

  • 録画した番組は一覧表示できる。なお、再生では2倍速までは音声付きで視聴が可能。短時間で録画番組の消化したい人にはよいだろう

ながら視聴をするなら、小型のポータブルテレビを使うという手もあるが、ワンセグだと画質が悪く、アンテナ内蔵型だと壁面のアンテナ端子が不要という大きなメリットはあるものの、場所によって映らないこともある。

  • ノートPCと4.3型のポータブルテレビを設置したところ。パソコンで見るよりも画面が小さくて持ち運びにはよいが、ながら視聴にはちょっと不便

パソコンを使いながらの視聴のしやすさ、手軽さではXit Brickに軍配が上がる。今回、テストのため8時間ほど連続で視聴したが、チューナーが熱くなることもなく、安定して動作していた。パソコンライフをより充実させたいなら、Xit Brickの導入を検討してみてはどうだろうか。