アンカー・ジャパンは4月13日、同社初の3Dプリンター「AnkerMake M5」を日本でも発売すると発表した。2022年冬頃の発売を予定しており、価格は99,990円。

  • AnkerMake M5

    AnkerMake M5

アンカーは4月7日に3Dプリンター市場への参入を海外で発表し、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」でプロジェクトを公開。1時間足らずで目標額の支援を集め、4月13日の執筆時点では500万ドル分以上の応援購入が集まる人気プロジェクトとなっている。今回、新製品発表会「Anker Power Conference」で日本市場への投入予定が明かされた。

AnkerMake M5は、FDM(熱溶解積層法)と呼ばれる方式の3Dプリンター。フィラメントという細い樹脂の棒を溶かし、作りたい物の3Dデータに従って少しずつ樹脂を積み重ねるようにして立体的な造形物を出力する。

  • デモンストレーション中のヘッド部分

    デモンストレーション中のヘッド部分

FDM方式は個人が入手できる価格帯の3Dプリンターでは最もポピュラーな方式であり、安価な機種であれば2万~3万円程度から入手できる。Ankerが第1弾のターゲットに選んだ10万円前後のクラスとなると、出力性能や安定性などの面でそれなりに信頼性の高い製品も増えてくるミドルレンジといえる。

アンカーがこだわったのは、「印刷速度と精度の両立」「AIカメラ機能」「セットアップの簡単さ」の3点。250mm/sの高速印刷で短時間での出力を可能にしながら、精度も重視している。発表会場では実際にAnkerMake M5で出力された造形物を手に取ることもできたが、細長い針が立ち並ぶようなFDMでは難易度の高い形状でも、ズレやがたつきが見られず綺麗に出力できていた。

  • 3Dプリンター界隈では印刷テスト用として有名な船のモデル。さすが10万円クラスの機種だけあり、FDM特有の積層痕が少なく綺麗な仕上がりだ

    3Dプリンター界隈では印刷テスト用として有名な船のモデル。さすが10万円クラスの機種だけあり、FDM特有の積層痕が少なく綺麗な仕上がりだ

  • 右上の細い部分に注目。ズレたり途切れたりせずにしっかりと出力できている

    右上の細い部分に注目。ズレたり途切れたりせずにしっかりと出力できている

AIカメラ機能については、3Dプリンター専業のメーカーではなく、他ジャンルのデジタル製品を多数手がけてきたAnkerならではの特徴といえる。3Dプリンターでの出力はサイズによっては数時間かかることも珍しくなく、アプリでいつでも進捗を確認できる安心感は大きい。また、監視カメラとして使うだけでなく、タイムラプス映像を残してシェアするという楽しみ方もできる。

  • ノズル機構とアルゴリズムの工夫で精度を保ちながら印刷速度を向上した

    ノズル機構とアルゴリズムの工夫で精度を保ちながら印刷速度を向上した

  • 監視やタイムラプス録画に使えるAIカメラが特徴

    監視やタイムラプス録画に使えるAIカメラが特徴

3点目のセットアップの簡単さについては、すでに3Dプリンターを使ったことがある人でないと実感が湧きにくいかもしれない。簡単に言えば、3Dプリンターというのは一般的に想像されるほど「データを投げ込めば全自動で形にしてくれる魔法の道具」というわけではなく、きちんと出力できるまでに土台の水平を取ったりヘッドとの間隔を調整する地道な作業があるのだ。また、安価な3Dプリンターの多くは組み立て式で、そこでも適切に調整を行わないと精度が出ないということが多々ある。

AnkerMake M5は15分程度で組み立てられるユーザーフレンドリーな作りで、オートレベリング機構を備えるため、印刷のたびに面倒な調整を行う手間もない。また、データ転送もUSBメモリ経由だけでなくアプリからの転送に対応しており、本体にもフルカラーの設定用ディスプレイ(約4.3インチ/タッチ操作対応)を搭載している。

本体サイズは約502×470×438mm、最大造形サイズは250×235×235mm。印刷速度は最大250mm/s、印刷精度は±0.1mm。

  • 約4.3インチのタッチディスプレイを搭載

    約4.3インチのタッチディスプレイを搭載