Windowsでもっとも多用するであろうエクスプローラーの「タブ対応」は、ユーザーからの大きな要望の一つだった。いったんは公式にナシとなったが、Windows 11 Insider Preview ビルド22572にてエクスプローラーのタブ機能が復活したのだ。

Windowsでもっとも多用するであろうエクスプローラーの「タブ対応」は、ユーザーからの大きな要望の一つだった。不足を補うように、エクスプローラーを拡張する「QTTabBar」や独自のファイラーとして動作する「Explorer++」など、オンラインソフトも多数登場している。

かつてWindows 10リリース前は「Sets」と呼ばれる機能実装を目指し、タブ化の対象範囲をMicrosoft 365 AppsやMicrosoft Edgeに広げていたが、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド17704の時点でお蔵入りを表明した。その後、Windows 11に至るWindows 10 Insider Preview ビルド19481でタブ機能に関するコードが発見されたものの、現在のWindows 11に引き継がれなかった。だが、現地時間2022年3月9日にリリースしたWindows 11 Insider Preview ビルド22572にて、エクスプローラーのタブ機能が復活したのだ。

  • ぱっと見ると分からないが、エクスプローラー上部にタブが並び、コンテキストメニューに「新しいタブで開く」を確認できる

ただし、エクスプローラーのタブ機能は公式なものではない。当然ながら公式ブログでも触れておらず、コンテキストメニューを開くまでのパフォーマンス改善や、「Shift」+右クリックで旧コンテキストメニューを呼び出す機能の紹介にとどまっている。上図は筆者がViVeToolを用いてタブ機能を強制有効化したものだ。

今回は軽く触ってみた程度だが、公式タブ機能は十分に期待できる。「Ctrl」+「Tab」キーによるハイライトタブの切り替えや、「Ctrl」+「W」キーでタブを閉じるといったショートカットキーに対応し、普段からWindowsを使っているユーザーなら直感的に操作できるだろう。

ただ、「Ctrl」+「Tab」キーがタブを循環せず、「Ctrl」+「Shift」+「Tab」キーで戻らなければならないのは少々不便。各タブ間のドラッグ&ドロップをサポートしておらず、タブ配置の移動やファイルのコピー・移動などもできない。新規タブを開くと、たまにタブ描画のアニメーションが間延びするなどご愛敬(あいきょう)な部分もあるが、この辺りは今後に期待だ。

  • ちなみにフォルダー内のファイルを含んだサムネールビューも復活済み。デスクトップ上部からスナップレイアウトを実行する機能も用意されている

念のため、本ビルドを配信するDevチャネルは各種フィードバックを得て、Windows 11の品質向上を目指すチャネルである。今回紹介したMicrosoft公式のタブ機能がWindows 11 22H2をスキップする可能性は否定できないが、この機能は今すぐにでもWindows 11に必要だ。前述のようにパフォーマンスや機能改善が加わり、ようやく「Windows 10時代と同じ感覚」でエクスプローラーを使えるようになる。Windows 11の真価が発揮されるのは、バージョン22H2以降のようだ。

  • こちらは一つ前のWindows 11 Insider Preview ビルド22567。正式名称は「バージョン22H2」となったようだ