さて、ここからはテストに移ろう。CPUは第12世代Coreプロセッサで最上位のCore i9-12900Kを用意した。MTP(従来のPL2) 241Wと強烈な消費電力を持つCPUをどこまで冷やせるのか試したい。パワーリミットはIntelが推奨する241Wに設定。DDR5メモリはXMPプロファイルを読み込み、DDR5-5200として動作させている。水冷クーラーの制御にはiCUEアプリを使用した。そのほかテスト環境は以下の通りだ。

■テスト環境
CPU Intel Core i9-12900K(16コア24スレッド)
マザーボード MSI MPG Z690 GAMING CARBON WIFI(Intel Z690)
メモリ Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB Black(DDR5-5200、16GBx2)
ビデオカード MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC(NVIDIA GeForce RTX 3070)
電源 Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
OS Windows 11 Pro
  • 今回のテスト環境。バラック状態で行っている

テストはCINEBENCH R23、OCCTのCPUテスト、サイバーパンク2077をそれぞれ10分間動作させたときのCPU温度とPコアの動作クロックをHWiNFO v7.14で測定した。iCUEアプリでファンとポンプを「安定」と「最速」に設定した場合の2パターンでテストを行っている。

  • まずはファンとポンプを「安定」とした場合から

  • グラフ1

  • グラフ2

ファンとポンプを「安定」に設定するとCPUの温度が高くなるまではファンの回転数が低いのでかなりの静音動作となる。このテストからわかるのは「CINEBENCH R23」がCore i9-12900Kにとって特別負荷が高いテストということだ。Pコアの動作クロックを見ればわかるが、CINEBENCH R23もOCCTのCPUテストも動作クロックは約4.9GHzと同じだ(どちらのテストもEコアを含めて全コアが最大クロックで動作する)。CINEBENCH R23がたまにクロックが下がるのはテストの合間で処理が行われないタイミングがあるため。CINEBENCH R23実行時は最大94度と高くなるが、それでもクロックが下がるサーマルスロットリングが発生する100度には到達していないと運用する上で問題のない温度。さらに、OCCTでは最大72度、サイバーパンク2077では最大66度にとどまる。

  • 次にファンとポンプの設定は「最速」した場合

  • グラフ3

  • グラフ4

「最速」に設定するとファンとポンプとも最大動作となるため動作音はかなり大きくなるが冷却力もかなり強化される。CINEBENCH R23実行時でも最大89度と「安定」設定時よりも5度低くなった。OCCT実行時で最大69度、サイバーパンク2077で最大64度だ。強烈に負荷がかかる処理を実行する場合には「最速」設定に切り換えたほうが安心と言えるだろう。

iCUE H150i ELITE LCDは水冷ヘッドに液晶とLEDを搭載、ファンにもRGB LEDを備えると、どちらかと言えばドレスアップ向けの簡易水冷クーラーに見えるが、Core i9-12900Kに最大級の負荷がかかっても冷やせるだけの実力を持っている。LGA1700に最初から対応している36cmクラスの簡易水冷クーラーを求めているなら、チェックして損なしと言える製品だ。