ソニーが「ランナー向け」をコンセプトにした、耳に直接装着しないオフイヤースタイルのワイヤレスイヤホンを開発中です。アメリカのクラウドファンディングサイト「Indiegogo」にて、商品化に向けたプロジェクトがスタートしました。実施期間は日本時間11月2日から12月1日まで。日本と北米で支援を募集しています。
目標とする獲得支援者数は300台以上。製品の価格は14,200円ですが、先着300台には早期支援特別プラン1の特別価格として8,500円、301台目以降600台までは早期支援特別プラン2の11,300円で購入できる特典を設けます。返礼品となる製品の発送時期は2022年8月ごろを予定しています。
耳に押しつけない「オフイヤースタイル」を提案
今回、ソニーが新しく開発を進める製品はネックバンドスタイルのワイヤレスイヤホンに似たデザインです。スマホや音楽プレーヤーとの接続方式はBluetooth。オーディオコーデックはAACとSBCをサポート予定となっています。
本機のユニークなところは、一般的なイヤホンのように先端を耳穴に挿入するスタイルではないこと。だからといってヘッドホンのように耳を覆う装着スタイルでもありません。ソニーの開発チームが「オフイヤースタイル」と呼ぶ装着形態は、本体をイヤーフックで耳にかけて、左右の耳の手前に小型のスピーカーを浮かせて固定します。
あえて開放型(オープン型)のイヤホンに分類するなら、ほかの開放型イヤホンとの違いは、本体がイヤーフックとネックバンドによって固定されるため、耳に挟んで装着するイヤホンよりも外耳にかかる負担が減らせることです。また、骨伝導方式のイヤホンとも違って、音を聴くときに頭蓋骨を振動させることもないため、疲れを感じにくいと思います。海外では耳の中が「蒸れる」ことがないイヤホンの需要も高いことから、オフイヤースタイルの魅力が打ち出せるのではないかと、ソニーの開発者は述べています。
耳に押しつけない装着スタイルのメリット
耳をイヤーチップでふさがずに装着するため、音楽を再生しながら周囲の環境音も同時に聞こえてきます(あまりにボリュームを上げるとダメですが)。屋外で音楽などを再生しながらランニングを楽しみたいユーザーにはとても重要なポイントです。
本体は目標とする質量が34g。手に持ってみてもその軽さが実感されます。イヤーフックは耳の上に前方側から回して装着。ちょうど耳の手前に左右のスピーカーが浮くようなスタイルになります。
ネックバンドは、ソニーの開発者が長さとバネを繰り返し調整したと語る、曲げ伸ばしが柔軟にできる素材としました。筆者が想像していたよりも素材はやや固めでしたが、首の後ろ側でバンドがぶらぶらとしないので、装着した状態でランニングなど体を動かすことに集中できます。ランニング中に首もとにヒタヒタと触れて不快に感じることもなさそうです。
イヤホン部分がオフイヤースタイルであることのメリットはもうひとつ。耳に本体が触れて発生する摩擦音や、ランニング中に足下から伝わってくる体動音のストレスがないことも挙げられます。試作機を身に着けて走ってはいませんが、室内を歩いてみた感触は良好でした。
16ミリ大口径ドライバーのパワフルなサウンドを体験
耳穴をふさがないイヤホンだと、音が聞こえづらいのではないかと想像するかもしれません。本機は16ミリの大口径ダイナミック型ドライバーと、これをパワフルに駆動するアンプを内蔵しています。
ボーカルの立ち上がりがとてもスムーズで、ピアノやギターのメロディがレスポンスよく切れ味に富んでいます。ベースやドラムスのような低音の楽器も鳴りっぷりがとてもよく、だぶつかずタイトに音像を描きます。今回は静かな室内でリスニングしていますが、屋外でも存分に心地よいサウンドが楽しめるのではないかと期待が膨らみました。
ドライバーを格納する外殻(ハウジング)は、前面・背面に音と空気の通り道になる細かな孔が開いています。音楽リスニング中の音漏れが気になるところですが、再生機器のボリュームを上げると、やはりそれなりに音は周囲に聞こえます。
屋外でのランニングやウォーキングであれば問題ないと思いますが、静かな室内でのトレーニング時に使うときは周囲に配慮が必要です。また、BGMが流れているジムなどの室内で使う場合は、再生中のコンテンツ音と周囲の環境音が混ざることも考慮に入れながら、本機が最も活躍する場面を見つけたいところです。
本体は防滴対応。連続駆動は約10時間
本体はIPX4等級の防滴仕様。屋外ランニングで雨に濡れたり、汗が付着した場合は運動後に拭き取っておけば故障を避けながら長く使えるはず。耳にかけるイヤーフックのところにはマイクを内蔵するほか、音楽再生・ハンズフリー通話を操作するリモコンも搭載しています。スマホアプリによる操作は必要ないので、シンプルに扱えるのも良いところ。
内蔵バッテリーによる連続駆動は、フル充電から約10時間。比較的長めなので、ビデオ通話用のワイヤレスイヤホンとしても使いやすいかもしれません。10分間の充電で約1時間のリスニングに使える高速充電にも対応しています。パッケージには充電用のUSB-Cケーブルが付属する予定です。
クラファン期間中の体験会も実施
クラウドファンディングに成功したらぜひ、一般販売を検討しても面白いイヤホンと感じました。本体の色がホワイト1色なので(イヤーフックとネックバンドはブラック)、スポーツウェアに合わせたカラバリ展開がほしいですね。正式な商品型番が決まったら、ランニング用イヤホンであることがパッと伝わるシリーズ名が付くと、ランナーにも親しみがわくのではないでしょうか。
クラウドファンディングの実施期間中は、東京の半蔵門ランナーサイト「JOGLIS」でデモ機の音質と装着感が試せる体験会が実施されます。実機に触れてから支援を検討してみるのもよいと思います。
- 【体験会日時】
- 11月4日(木) 7時〜14時/16時〜21時
- 11月5日(金) 7時〜14時/16時〜21時
- 11月6日(土) 7時〜17時
- 11月7日(日) 7時〜17時
- 11月13日(土) 7時〜17時
- 11月14日(日) 7時〜17時