ソニーは10月26日、Xperiaブランドの新製品を発表しました。その1つとして発表された「Xperia View」は、Xperiaを取り付けて使うVRヘッドマウントディスプレイです。製品体験会で「Xperia View」を使ってみた感触と、あわせて発表された「Xperia 1 III」のSIMフリーモデルを紹介します。

  • Xperia View

    Xperia View

XperiaがVRマシンになる「Xperia View」

Xperia Viewは、Xperiaのスマートフォンのために設計されたヘッドマウントディスプレイです。ソニー直販店や家電量販店、通販サイト、NTTドコモとauで取り扱われる予定で、発売日は11月19日となっています。この機器はXperiaの中でもフラッグシップモデルのXperia 1 IIおよびXperia 1 III専用となっています。さらに、価格は税込3万円前後と、それなりに値も張る製品です。

  • Xperia Viewを装着

    曲線を多用した形状で、装着している姿はSF的に見えます

こだわりポイントはやはり画質で、Xperiaの4K HDRディスプレイをフルに生かすような設計となっています。レンズはこの製品のために設計された120度の広視野角レンズを採用。視野の中心点は精細さを重視して非球面レンズを用いており、外周部にはより多く光を集めるフレネルレンズをつないでいます。

  • レンズ

    Xperiaの4Kディスプレイを生かすレンズ設計。メガネをかけたままでも使えます

Xperia 1シリーズ自体、テレビのブラビアで培った映像表現力の高さが売りのスマホで、8K VR映像を容易に再生できる性能があります。最終的にはXperiaの画質の良さを、VR映像としての満足感につなげている製品と言えます。

  • レンズ調整

    レンズの位置を調整すると、Xperiaのインカメラが認識して表示位置を合わせます

VRコンテンツの視聴体験は確かに良好で、前後左右見渡しても映像にアラが無く、「その場にいるような感覚」が得られるものとなっていました。

Xperia Viewには専用のVR再生アプリが用意されています。メニュー画面はPlayStationのようなシンプルな設計で分かりやすく、PS4のコントローラーDUALSHOCK 4を使った操作にも対応します。扱いやすさという点でも及第点と言えるでしょう。

  • スマートフォンを装着

    Xperiaをかしっとはめて固定します

  • UI

    PlayStation風のUIですが、ゲームは遊べません

一方で、Xperia ViewをVRプラットフォームとして考えると、今後どういった発展を見込んでいるのか不透明な点が気になります。

VRコンテンツは「DMM動画」や「360Channnel」といった外部の映像プラットフォームが販売する映像に対応していますが、Xperia View専用の動画コンテンツとして用意されているのは、現時点で乃木坂46が出演する購入特典映像のみ。ソニーにはすでにPlayStation VRというVRプラットフォームが存在しますが、そのプラットフォームと連携するのかは一切公表されていません。

また、Xperia Viewは装着した状態でスマホの背面カメラを塞がない形状となっていますが、ゴーグルをかけた状態で外の様子を見るパススルー機能や、カメラを生かしたARコンテンツなどは用意されていません。少なくとも発表時点では、単純に360度動画を高画質で視聴するゴーグルでしかない状況です。

今後のXperiaスマートフォンがXperia Viewに対応するのかどうかも明らかにされておらず、現世代の2モデルのみが対応するスマホVR用ゴーグルにとどまってしまう可能性もあります。Xperia Viewのプラットフォームとしての展開をどのように考えているのか、ソニーの今後の発表が気になるところです。

限定色グリーンも登場したXperia 1 IIIのSIMフリーモデル

26日には、Xperia 1 IIIの「SIMフリー版(オープンマーケット版)」も発表されました。

  • Xperia 1 III フロストグリーン

    Xperia 1 IIIのSIMフリー限定色、フロストグリーン

国内3キャリアからも発売されたフロストグレー、フロストブラック、フロストパープルのほか、SIMフリー版の限定色として、「フロストグリーン」がラインナップに加わっています。

SIMフリー版は国内3キャリアで発売されたモデルと若干仕様が異なっています。国内キャリア版では5Gのミリ波をサポートしていましたが、SIMフリー版はミリ波には非対応です。一方で、nanoSIMスロットが2枚用意されており、5Gと4G LTEでの2回線同時待受(DSDV)をサポートします。

  • Xperia 5と比較

    Xperia 5のグリーン(左)と比べるとシックな見栄えです

また、内蔵ストレージの容量は512GBと、キャリア版よりも増量されています。これはデュアルSIM利用時はmicroSDカードを同時利用できないため、内蔵ストレージの増量で補うという意味合いもあります。

外観はキャリアロゴが無い以外はキャリア版とほとんど代わりませんが、実はわずかな違いがあります。SIMフリー版は左右の側面にスリットのような細い帯があり、通信性能を確保するために樹脂素材となっている部分が分かるようになっています。

  • 側面

    側面にアンテナの線が入っているのがSIMフリー版です

実はキャリア版でも本体の一部は樹脂素材になっているのですが、キャリア版はミリ波アンテナ用に樹脂部分が大きく見栄えに影響するため、上から塗装が重ね塗りされて樹脂部分を目立たせないようになっています。SIMフリー版ではミリ波に対応しないため、アンテナ部分の重ね塗りは省略されているというわけです。

また、Xperia 1 IIIのSIMフリー版限定の特典として、ソニー・ピクチャーズの映画が楽しめる見放題サービス「BRAVIA CORE」が提供されます。BRAVIA COREは、費用が一切かからない映像サービスで、SIMフリー版の購入から1年間、約100本の映画が見放題で楽しめます。また、約300本の新作映画から好きな5本を選んで、いつでも視聴できるようになります。

  • BRAVIA CORE

    SIMフリー版Xperia 1 IIIだけの購入特典「BRAVIA CORE」

購入から1年後についてはそのまま見放題作品が見られなくなるだけで、有料サービスに移行することはありません。そもそも有料サービスは存在しないため、見放題期間が終わったら5本の好みの映画を観るためだけのアプリになります(なお、この5本の映画は2028年まで視聴できる仕様となるそうです)。

BRAVIA COREはテレビのBRAVIAの最上位モデルの特典として提供されているもので、スマホのXperiaではXperia 1 IIIのSIMフリー版が初めての対象機種となり、現時点では唯一の対象機種となっています。Xperia 1 IIIのSIMフリー版と同時に発表されたカメラ特化モデル「Xperia PRO-I」でも、BRAVIA COREのサービスは利用できないとのことでした。