モトローラ・モビリティ・ジャパンが投入した新機軸スマートフォン「motorola edge 20」シリーズ。その下位モデルとなる「motorola edge20 fusion」は、大画面の有機ELディスプレイや1億800万画素のカメラといったmotorola edge20の特徴はしっかり踏襲しながらも、価格を抑えたコストパフォーマンス重視のモデルとなっています。上位モデルの「motorola edge20」と比較しながら、その実力を検証してみましょう。
ディスプレイにこだわりつつボディ素材でメリハリ
まずはmotorola edge20 fusionの本体サイズを確認しますと、20:9比率の6.7インチディスプレイを搭載しており、約W76×H166×D8.25mmで重量は約185g。motorola edge20が同じ画面サイズで約W76×H163×D6.99mm/約163gというサイズ感で、薄さと軽さが大きな特徴となっていましたが、コストを抑えた影響もあってかそれよりは厚さと重さが増しています。
ですが大画面モデルとしては標準的なサイズで、スマートフォンの重量化が進む中にあっては比較的薄く軽い方だといえるでしょう。6インチ前後の比較的コンパクトな端末を持ち慣れている人にはやや大きいですが、大画面の端末に慣れている人なら使いこなしやすいのではないでしょうか。
ちなみに両機種を並べて比較すると、画面サイズやディスプレイ素材、解像度、そしてパンチホール構造のフロントカメラに至るまで、かなりの部分で共通していることから、ぱっと見では見分けがつきにくい印象です。motorola edgeシリーズはディスプレイが注力要素の1つとなっているだけに、上位モデルと共通したディスプレイ仕様だという点は魅力の1つといえるでしょう。
背面を見ますとかなり素材感が違っており、双方を手に取ってみるとmotorola edge20 fusionは背面にやや丸みがかかっている一方、素材感はやはりチープな印象を受けます。ですがカメラ部分が小さく抑えられ、motorola edge20ほど出っ張りが目立たない点はメリットです。
また本体に厚みがあることから、motorola edge20で省略されていたイヤホン端子が装備されている点も大きな違いといえ、有線イヤホンにこだわる人にも安心です。なお生体認証は、フロントカメラによる顔認証に加え、電源キーに搭載されている指紋センサーを用いた指紋認証も利用できます。
メイン・フロントカメラの性能の高さは継承
続いてカメラを確認しましょう。背面カメラはmotorola edge20と同じ3眼構成ですが、その内容にはかなり違いがあります。1億800万画素/F値1.9のメインカメラは共通していますが、超広角カメラは800万画素/F値2.2で、もう1つは200万画素/F値2.4の画素の深度センサーとなっています。
望遠カメラは備わっていないことから、撮影シーンの幅はmotorola edge20と比べると狭くなってしまいますが、超広角カメラをマクロカメラとして使える点は共通しているので、望遠撮影にこだわらなければそこまで大きな違いは出ないでしょう。一方でメインカメラは共通しており、3×3画素を1つにまとめて光の感度を高める「ウルトラピクセルテクノロジー」も利用できることから、性能を生かすにはメインカメラに重点を置いた撮影を心がけた方が良さそうです。
またフロントカメラに関しても、3,200万画素/F値2.25とmotorola edge20と同じスペックで、スマートフォンのカメラとしてはかなり高い性能を誇っています。深度センサーは備わっていないもののポートレート撮影なども可能で、セルフィーを撮影するには十分な性能を持ちますが、チップセットの違いも影響してかフロントカメラによる4Kの動画撮影には対応していないなど、動画撮影の幅が狭い点が違いと言えます。
ただしメイン・フロント双方のカメラで同時に撮影できる「デュアル撮影」など、特徴的な撮影機能は共通していることから、うまく使いこなせば特徴的な写真や動画を撮影できることは間違いないでしょう。
チップセット性能はやや低め。価格差が悩ましい
性能面を確認しますと、チップセットはメディアテック製で5Gに対応した「Dimensity 800U」で、RAMは6GB、ストレージは128GB。クアルコム製の「Snapdragon 778G」を搭載したmotorola edge20とはチップセットが違うのに加え、microSDスロットが用意されており512GBのまでのストレージを追加できる点が違いとなります。
メディアテック製のチップセットは国内であまりなじみがありませんが、Dimensity 800Uは性能的にいえばミドルクラス相当。他に同チップセットを搭載して国内で販売された代表的なモデルとしては、税抜きで2万円を切る価格で注目された、ソフトバンクが販売するシャオミの「Redmi Note 9T」が挙げられます。
ではチップセットの違いがどの程度性能として違いが出てくるのか、高い性能が求められるゲームで確認してみましょう。motorola edge20 fusionで『PUBG Mobile』のグラフィック設定を確認したところ、クオリティが「HD」でフレーム設定が「高」まで。『原神』のグラフィック設定は「最低」という結果になりました。
これはいずれもmotorola edge 20と比べワンランク下の設定となり、国内向けのスマートフォンとしては性能がやや低めといえます。日常使いには十分対応できるものの、ゲームなど性能を求めるアプリを使う場合はやや我慢が必要かもしれません。
ただ画面のリフレッシュレートは90Hzと、motorola edge20 の144Hzよりは低いものの通常の60Hzよりは速く滑らかな表示ができることは、ゲームだけでなく通常のスクロール操作などにおいてもメリットとなってくるでしょう。しかもバッテリーは5,000mAhと、本体が重い分motorola edge20より大容量ですので、リフレッシュレートを上げてもあまりバッテリー切れをあまり恐れる必要がないのは嬉しいポイントといえます。
通信は先にも触れた通り5Gに対応していますが、motorola edge20同様NTTドコモの4.5GHz帯に対応していないことから、5Gを生かすならそれ以外のネットワークでの利用がベストだといえます。SIMスロットはnanoSIMを2枚挿入できますが、2枚挿入した場合5Gが利用できるのはいずれか一方だけのようです。
そして重要なポイントとなるのは価格ですが、motorola edge20 fusionの価格はオンラインのMOTO STOREで43,800円。54,800円のmotorola edge20と比べると約1万円の差で、上位モデルの魅力が大きいだけに少々悩ましい価格差だというのが正直な所です。
もちろんオープン市場で手軽に購入できるミドルクラスのスマートフォンとして見れば十分満足できる内容なのですが、上位モデルとの値段差が思いのほか小さいだけに、カラーバリエーションで違いを出すなどもう少し差異化要素が欲しかった感がありました。