リコーインダストリアルソリューションズは10月7日、豊田自動織機と共同で作業現場の事故防止に貢献する産業車両業界向けのフォークリフト用ステレオカメラを開発したことを発表した。

  • フォークリフト用ステレオカメラ

人と物が混在するフォークリフトの作業現場では、車両と人や物の接触事故の発生を抑制するため、フォークリフト作業における安全性向上に対する需要が高まっている。そこで同社は、車載ADAS（Advanced Driver Assistance System：先進運転支援システム）用ステレオカメラで培った光学設計技術やキャリブレーション技術、リアルタイム視差演算技術をステレオカメラに転用してステレオカメラを開発し、周辺の障害物の中から人や物を立体的にとらえ、高精度に検知することに成功したとのことだ。

今回開発したステレオカメラを搭載した「SEnS（Smart Eye Sensor）」は、検知エリア内の障害物の中から人を見分け、ブザーとランプでオペレーターに接近を知らせる安全運転支援システムとして既に販売を開始している。さらに、車両と連動して走行速度や発進を制御する機能を追加した後方作業者検知運転支援システム「SEnS+」の提供も2021年8月に開始した。

同製品は広角化技術による水平角130度の広範囲の検知と3次元をベースにした認識技術によって、従来のように作業者にタグを携帯させて検知する方式とは異なり、不特定多数の人に対してもタグ携帯なしでの検知が可能だ。また、IP67に対応する高い耐環境性能を有するため厳しい使用環境にあるフォークリフトの現場においても動作する。さらに、画像処理機能と電源をカメラ内に実装して小型なワンパッケージ化を実現しており、取り付けや運用も容易だ。現在も現場で稼働している既販のフォークリフトへの装着にも対応する。

  • フォークリフトへの装着イメージ