日本放送協会(NHK)は、インターネット配信サービス「NHKプラス」のサービス拡充にあたり、「NHKインターネット活用業務実施基準」の変更を検討。総務省への基準変更の認可申請に向けて、意見を募集している。NHK経営委員会のWebサイトから回答でき、期間は9月1日〜9月30日まで。
NHKプラスは、テレビ放送のIP同時再配信・見逃し配信を行うサービスで、2020年4月からスマートフォン/タブレットやPC向けに提供中。現在は放送受信契約の有無を確認するためのNHKプラスIDの登録が必要だが、新たにメールアドレスなど限定的な連絡先情報を入力してすぐに利用できるようにする「仮登録」(仮称)制度の導入や、モバイルデバイスに限らず、テレビでも見逃し番組を視聴できるようにする「テレビサービス」の開始を予定している。
他にも、地方向け放送番組の配信拡充を検討。各地域で放送しているNHK番組を視聴できる「ご当地プラス」(2021年3月開始)において、18時台のニュースなど地方向け番組の配信を強化する予定だ。
上記のサービスは2022年度前半に開始予定。そのために「NHKインターネット活用業務実施基準」を変更し、総務省への申請、および総務省からの基準変更の認可が必要となる。
NHKインターネット活用業務実施基準の変更について
NHKインターネット活用業務実施基準は、NHKが行うインターネット活用業務の種類、内容、費用等について定めたもの。
放送と通信の融合が進み、多様な選択肢が生まれ視聴スタイルが急速に変化していることを背景に、インターネット活用業務の社会実証について検討を進め、「期間を限って、放送番組等の提供を伴う社会実証の実施を検討しており、関連する基準を設ける」とのこと。今回の同基準変更の期日は、2022年4月1日を想定としている。
現行のNHKプラスでは、ID登録を案内するページを訪れた人の約7割が、登録をする前に手続きをやめてしまう実態があり、「入力する情報が多くてすぐに見られない」、「家族の誰が放送受信契約者かわからない」といった声が寄せられているという。
このため、はじめての人にも使いやすいように「仮登録」(仮称)制度の導入を検討。まずはメールアドレスなどの情報入力だけで、登録後に近い状態で使いはじめられるようにし、仮登録中に住所・氏名など契約照合に必要な情報入力を行うことで、“フルサービス”での視聴を可能にする。
また、動画配信サービスをテレビで視聴する人が増えていることを理由とし、NHKプラスの利用者からの要望も踏まえて、テレビでも見逃し番組をPCやスマホ同様に視聴できる「テレビサービス」の開始を検討。これに関連し、新たな端末機器などに向けたサービス開始時に、動作検証の試行的な提供を実施できる規定も実施基準に設けるという。
NHKインターネット活用業務実施基準の変更素案は、NHKのWebサイト(PDF)で確認できる。