厚生労働省(厚労省)新型コロナウイルス感染症対策推進本部は8月25日、要件を満たした医療機関に対して、自宅療養者に外来として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬「ロナプリーブ」の投与を認めることを自治体や医療機関向けに事務連絡として通達した。

ロナプリーブは、中外製薬が2020年2月にリジェネロンから抗体取得を開始し、2021年7月に国内特例承認を受け、COVID-19の酸素投与を必要としない軽症から中等症Ⅰの患者までを対象として投与が行われている。

同治療薬は「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という2種類の治療抗体が含まれており、いわゆる「抗体カクテル療法」として使用されるものだ。

入院および重症化・死亡を70%以上抑制することや、症状改善までを約4日に短縮すること、投与後の重篤な有害事象は1.1%といった有効性および安全性がこれまでに報告されていると中外製薬では説明している。

これまでは、投与後に24時間以上の経過観察ができる入院患者や宿泊療養の患者らに投与が限られていたが、24時間以内の患者の病態の悪化の有無を電話などで確認できる体制が確保されていることや、投与後の患者の病態の悪化に緊急対応を行えるCOVID-19の入院治療を行う医療機関の外来であること、投与後に副作用等が生じた場合に、医薬品、医療機器などの品質、有効性および安全性の確保に関する法律に基づく報告を行う医師を明確化すること、適用のある患者に迅速に投与できるような患者の流れを整理すること、保健所の介入によらず当該施設内で必要な対応を完結できるように事前に役割分担および責任の所在を明確化することといった要件を満たす場合、外来としての投与も可能だとしている。

ロナプリーブは、供給が安定するまでの間、国が買い上げて治療を希望する医療機関に無償で提供されるという。配分を希望する医療機関は、同治療薬の製造販売業者である中外製薬が開設した「ロナプリーブ登録センター」に登録する必要がある。

登録センターでは、各医療機関からの配分依頼を各平日15時時点で取りまとめ、土日祝を除き1~2日程度で送付されるとのことだ。

なお、厚労省は供給量に限りがあることから患者の入院に備えた在庫や、必要以上の配分依頼は控えるよう呼びかけを行っている。