今回は、パソコン用キーボードの売れ筋を探るため、秋葉原のPCパーツショップ・パソコンショップ アークを訪ねました。
スタッフの磯田尚輝氏によると、キーボードの売れ行きは最近伸びているそうです。「長引くコロナ禍の影響により、オンラインでの注文を多くいただくようになりましたが、トータルで見ると伸びていますね。ゲームごとに最適なキーボードを探している人に加え、リモートワークで入力環境を整えたい人の熱も高まっているのかなと思います」
同店には多くのゲーミングキーボードが並んでいますが、オフィス業務や文筆業務のために最適なキーボードを探しに来る人も少なくないとか。それぞれの目的にあった高品質な製品が求められるため、2万円を超えるモデルがヒットすることも珍しくありません。そのなかで、直近の売れ筋トップ5を紹介してもらいました。「パソコンキーボード 目的別の購入ポイント×3」を踏まえて、1位から順に追っていきましょう。
<パソコンキーボード 目的別の購入ポイント×3>
- 文章入力や事務用途ならフルキーボード。スイッチの構造や押下圧から最適な製品を選ぼう。
- FPSゲーム(一人称視点のシューティングゲーム)ならテンキーレスや60%タイプが人気で、選択肢も広い。
- メンブレン式やパンタグラフ式なら、1万円以下で高付加価値の製品が選べる。
※本文と写真で掲載している価格は、2021年8月10日16:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。
第1位:2019年からヒットが続くゲーミングモデル「Apex Pro TKL JP」
一番人気となっているのは、SteelSeriesのゲーミングモデル「Apex Pro TKL JP」です。テンキーレスの日本語配列メカニカルキーボードで、マグネット式のリストレストを同梱しています。取材時の価格は25,740円でした。
キーごとに入力感度(アクチュエーションポイント)が変えられる「OmniPointメカニカルスイッチ」を採用した先駆けのモデルで、2019年12月の発売時期から現在までトップ人気を走り続けているとのこと。
「FPSゲームでいえばW/A/S/Dなど、よく使うキーは軽く押すだけで入力できるように設定して、その周辺は深く押さないと反応しないようにするなどのカスタムが可能です。キーボード自体の反応速度も通常の8倍ありますし、いまでもゲーミング用途で大人気です」
第2位:文章入力重視派に定番の「REALFORCE R2-JP4-BK」
続く2位は、静電容量無接点方式スイッチを採用した東プレの「REALFORCE」シリーズがランクインしました。なかでも人気があるのが、日本語配列のフルサイズモデル「R2-JP4-BK」になります。キーの押下圧を45gに固定したモデルで、価格は19,422円でした。
「唯一無二のタイプ感で、ゲーム用にも人気ですが、やはり文章入力を目的に選ばれる方が目立ちますね。押下圧は30gや55g、変荷重タイプもありますが、45gが重すぎず軽すぎずちょうどいいと感じる人が多いようです。静音モデルもありますが、標準タイプでも十分静かでオフィスでも使いやすく、ビデオ会議中も邪魔にならないと評価されていますね」
第3位:メンブレン式なのにブレにくい「BFKB109UP1」
3位には、ビット・トレード・ワンの日本語フルキーボード「BFKB109UP1」がランクインしました。一般的なメカニカルキーボードよりも安価なメンブレン方式のキースイッチを採用し、価格は4,818円となります。コストパフォーマンスの高さもあり、2015年1月に登場して以来、安定して売れ続けているそうです。
「普通のメンブレン式はスイッチの構造から斜めに押し下げるとブレやすいのですが、本製品は特殊な加工によりブレを抑えて安定したタイプ感を実現しているのがポイントです。そのうえで5,000円を切る価格で、押し下げ幅も十分にある。2015年からのトータルでみると、当店で一番売れているキーボードかもしれません」
第4位:貴重な日本語配列の60%キーボード「K65 RGB MINI」
4位は、コルセアのゲーミングキーボード「K65 RGB MINI(日本語配列)」です。テンキーやファンクションキー、カーソルキーなどを省いた「60%キーボード」と呼ばれるコンパクトなモデルで、キースイッチにはCherry MX SPEED Silver(通称「銀軸」)を採用しています。価格は12,672円。
「60%キーボードは、マウスの操作領域を少しでも広げたいFPSゲーマーの方に人気があります。ただ、多くは英語配列です。K65 RGB MINIは貴重な日本語配列モデルがあり、とても重宝がられています。反応速度も通常のキーボードの8倍もあるのでレスポンスがよく、キースイッチもゲーマーに人気の銀軸です。総合力で高く評価されていますね」
第5位:クラファンで復活したパンタグラフの名機「BFKB113PBK」
5位は、ビット・トレード・ワンの日本語フルサイズモデル「BFKB113PBK」となります。2014年10月にパンタグラフ式のゲーミングキーボードとして売り出されたロングセラーモデルですが、コロナ禍の影響で生産中止の危機を迎えたことでも知られています。クラウドファンディングにより再生産の道筋をつけ、2021年3月から再び店頭に並ぶようになりました。価格は6,380円です。
「パンタグラフ式でもバネ圧が軽めで、感触は安定しています。クリック感もきちんとあるので、軽快なタッチで入力したい人に熱烈に支持されていますね。とくに音ゲー(リズムゲーム)をされる方は、リズムのとりやすさや連打のしやすさから指名買いされることがよくあります」
はみ出し情報…自作キーボードのベースモデルも人気
ランキング外の注目株として磯田氏がピックアップしたのは、Glorious社のキーボードベース「GMMK Pro 75% Barebone」です。キースイッチやキーキャップなどを別途揃えることで、自分だけのキーボードが自作できます。価格は22,000円。2021年8月から取り扱いを開始し、予想以上の反響を得ているとのこと。同社製のキースイッチやキーキャップも追って取り扱いを始める予定といいます。
「トータルコストはかかりますが、カスタムできる楽しさがあります。キーボードを自作するブームが起きていますが、これならハンダ付けなしで楽しめますし、キーの割り当て作業も標準ソフトを使って簡単にできます。モノとしてもしっかり作り込んであるので、達成感も大きいですよ」