KDDIは7月30日、2022年3月期第1四半期決算を発表しました。それによれば、今期も増収増益でした。料金プランの値下げにより、2022年3月期の通信料収入は年間で600億~700億円の減少となる見込みですが、ライフデザイン領域、ビジネスセグメントの成長でカバーしていくと説明しています。

  • KDDI 代表取締役社長の高橋誠氏

1Q連結業績ハイライト

2022年3月期第1四半期の連結売上高は1兆3,003億円(前期比で4.6%増)、連結営業利益は2,992億円(前期比2.9%増)でした。マルチブランド通信ARPU収入が減少したものの、成長領域(ライフデザイン領域、ビジネスセグメント)の増益で補った形です。

  • 第1四半期の連結業績ハイライト

  • 第1四半期 売上高

新型コロナウイルスの感染拡大も、業績にはプラスの影響を与えました。高橋社長は「私の感覚ですが、家の中でスマートフォンで(映画などの)エンタメを楽しむお客さんが非常に増えました。したがって、それに関連するビジネスが成長したと思います。ライフデザイン領域は、すべての領域で順調に伸びました。ビジネスセグメントに関しても通信が順調ですし、働き方の環境が大きく変わったことで、コーポレートDX、ビジネスDXのあたりにプラスの影響が見られます」と説明しました。

5Gが4Gを上回る日は

このあと、記者団の質問に高橋社長が回答していきました。

世界的な半導体の不足が基地局の建設に及ぼす影響について聞かれると「世の中の課題にもなっており、我々もいま慎重に情報を集めているところですが、大手の基地局ベンダーの皆さんは事前に半導体を確保されており、いまのところ基地局の建設に関しては、半導体の不足が大きな支障になるとは聞いていません」。伝送装置の一部に影響が出ているとは聞いたものの、大幅に整備が遅れることはない、と続けました。ただ「このあたりの状況は日々変わっているので、今後とも慎重に対応していきたい」。5G基地局の建設については、ユーザーの生活動線に立脚して進めており、たとえ半導体の数が不足しても、大きな影響はないとの見方を示しました。

  • 山手線と大阪環状線の全駅ホームを5G化へ。2022年3月末には関東で21路線、関西で5路線を5G化していく

5Gによる通信収入が4Gを上回る時期について聞かれると、「タイミングについてお答えするのは難しい」としたうえで、「いま5G対応スマートフォンを使っているお客様のトラフィック量は、すでに4G LTEの方の倍以上になっています。まだ『5Gのキラーコンテンツはこれ』と言いづらい状況だと皆さんおっしゃいますが、動画サービスではないでしょうか。我々の提供するサービスに限定する話ではなく、世の中に数多く存在する動画サービスが5Gにより、とても見やすくなってきた。それによってトラフィックが倍以上に増えたのは、我々にとってプラスの要素です。これにより通信ARPUを上げていきたいと考えています」。

  • スマートフォンの契約数は4G LTE+5Gの累計で2,927万契約。5G端末の累計販売台数は340万台に到達した

UQ mobileやpovoが5Gに対応する時期については、「5Gに対応させることは心に決めました。いま準備を進めているところで、時期については今日の段階ではお話はできません。近日中にお知らせしたい。できるだけ早く対応していきます」。

povoのトッピング追加は?

povoの契約数が約100万に到達したとのアナウンスがありました。このことについて、事前の想定と比較して伸びはどうだったか聞かれると、「前回は契約数100万が見えてきた、今回は約100万ということで、いつも紛らわしい表現ですみません。povoをスタートさせたとき、すさまじい契約数の伸びがありましたが、我々はまずUQ mobileに力を入れてモメンタムを回復していこうということで、そちらにプロモーションを振りました。その結果、UQ mobileが順調に伸び、povoは少し落ち着いたのがいまの状況かと思います。povoについてもWebを中心にして、eSIM対応の戦略的な商品としてテコ入れも検討しています」。

povoのトッピングについて今後の展開を聞かれると、「まだトッピングの追加については公表していません。この6月からは、UQ mobileとauでんきのセット割にプロモーションを注力しているところでした。ただ、povoは個人的にも思い入れがあるので、次なるトッピングについてもいろいろ検討しているところです」と答えるにとどまりました。

3Gの停波について

3Gの停波について移行状況を聞かれると、「個人のお客様、法人のお客様に対して、停波に向けて会話しているところです。いまのところ順調に進んでいると思います。今年度中に停波できれば。法人については、モジュールなど遅れのある商材もあり、影響が出ている部分もありますが、来年の3月末までには予定通り停波できる段取りです」。

NTTドコモやソフトバンクに先行して3Gを停波させるメリットについて聞かれると、「来年度以降、3Gの停波によって設備の運用コストが下がります。また、3Gの設備は消費電力が大きいので効率が悪い。これが4G、5Gに置き換わることで、脱炭素の取り組みにも貢献できます。デメリットについては、3G停波に伴ってコストがかかるので、今期の業績にマイナスとなります」。

MNOとMVNOの今後について私見を聞かれると「なかなか難しい質問です。いまの日本の政策においては、MNOの4社で競争してスイッチングコストを下げることで料金の値下げにつながり、お客様還元が広がっています。競争によってサービスが良くなるのは我々としても望むところで、やっていかないといけない最大のテーマ。これは当然のことで、努力していきます。これにより、KDDIのネットワークをお使いのMVNOの方々、その競争する領域の範囲が狭まっていくのは、国の方針としてそうなのかと思います。これが将来的にどうなるのか、いまそこを考えている余裕がありません。我々としては、料金還元によって事業収益が落ちるわけで、これを成長分野で支えていくので精一杯。どういう比率でMNOとMVNOが残っていくのか、想像しづらい状況です」。

販売代理店について

販売代理店のあり方について聞かれると、「販売代理店の評価制度の見直しについて、いろいろご指摘をいただいています。これについては真摯に受け止め、改善に向けて努力していきたい。世の中的には、総務省のご指導により端末代金と通信料の分離が推進されましたし、日本国内では人口も減少していきます。Web契約も普及するなかで、通信事業における重要な役割を担う“販売チャネル”を今後どうするか。大きな課題と受け止め、しっかりと検討していきます」。