AMDは7月30日、Radeon RX 6600 XTについてその詳細をアナウンスした。この内容をお届けしたい。

Radeon RX 6600 XTは、先に発表されたRadeon Pro W6600と同様に、Navi 23を搭載したGaming向け製品である。ただしターゲットは1080pということで、Radeon RX 6000シリーズのローエンドにあたる製品となる(Photo01)。RDNA 2ベースで、もちろんRay Tracingにも対応しており、そういう意味ではGeForce RTX 2060とか3060が競合となる形だ(Photo02)。

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    Photo01: ちなみに現時点ではRadeon RX 6700とかRadeon RX 6600に関しては、そうした製品があるかどうかを含めて一切情報がない。

  • Photo02: ちなみにこれはReferenceであるが、OEMからは独自の設計の製品が出るとのことで、これがそのまま出てくることは殆どなさそうである。

Radeon Pro W6600の場合は、NAVI 23搭載ながらCU数は28に抑えられ、その代わり動作周波数は2200MHz(Boost Clockは2903MHz)とやや高めに設定されていた。これに対しRadeon RX 6600 XTは32CUすべてを有効にしており、その分Game Clockは2359MHzとやや控えめになっている。ちなみにTBP(Total Board Power)は160W、推奨PSUは500Wとされている。Infinity Cacheは32MBと少な目なのはまぁ致し方がないところで、それもあって主戦場は1080pで、1440p以上はちょっと厳しそうではある。

  • Photo03: ちなみにダイサイズは137平方mmと説明された。

さてその性能であるが、GeForce GTX 1060比で最大2.5倍(Photo04)、Radeon RX 5600比でも1.4~1.7倍(Photo05)とされる。そして直接の競合製品になるであろうGeForce RTX 3060とでは、概ね同等~3割程度高速(Photo06)という性能である、としている。またeSportsタイトルの様にとにかくフレームレートが高いほど有利、というものでもRadeon RX 6600 XTの方にアドバンテージがあるとしている(Photo07)。

  • Photo04: さすがに今更GeForce GTX 1060はないだろう、という気もするが。

  • Photo05: Radeon RX 5700と比較しても1.3~1.5倍程度性能が向上しているとする。もっともこれ、Full HDの場合であって、もう少し解像度が上がるとどうなるかはまた話が別だ。

  • Photo06: Horizon New Dawnの様にむしろ下がっているものもあるが、まぁ100fps→97fpsは「概ね同等」としても問題はないと思う(Cyberpunk 2077も同等の範疇だ)。

  • Photo07: もっとも性能差はそう大きくないが。

ちなみにSmart Memory Accessも勿論利用できるが、NVIDIAの実装に比べるとアドバンテージが大きい、というのがAMDの説明である(Photo08)。当然ながらRadeon Boost(Photo09)とかRadeon Anti-Lag(Photo10)も利用できるし、当然FSR(FidelityFX Super Resolution)も利用可能である(Photo11~13)。勿論これはFSRに対応したゲームタイトルのみで可能な話であるのだが。

  • Photo08: ただこれ、GPUとかドライバというよりはゲームの作り方の問題な気がするのだが...

  • Photo09: Radeon RX 6600 XTはローエンド製品だけに、Radeon Boostは特に1080pを超えた画面サイズを利用する際には効果的かもしれない。

  • Photo10: 最大でも13%程度、というのは意外に効果が薄い気もしなくはない。

  • Photo11: 1080pのままでもFSRを使うと大幅に性能が改善できるという例。

  • Photo12: FSRを併用すれば、1440pとか4Kでも現実的にプレイできる、という話であるが、問題はタイトルがまだ足りない事だろう。

  • Photo13: Anno 1800のベンチは以前こちらでご紹介している。ただこのスライドの数字の条件(グラフィック設定)が不明なので、先のベンチ結果と合わせて比較するのはちょっと困難である。

さてそのRadeon RX 6600 XTであるが、8月11日からOEMメーカーから搭載製品が発売される予定であり(Photo14)、またノート向けのRadeon RX 6600Mも同日発売開始となるそうだ(Photo15)。勿論リテール向けも8月11日に発売開始される(Photo16)。冒頭にもちょっと書いたが、今回もReferenceそのままという製品は無い様で、各社から独自の設計の製品が提供される予定である。ちなみに価格であるが、最終的な値段は各社が独自に定める事になるが、一応AMDの想定するASPは$379という話であった。これはGeForce RTX 3060の$329と、GeForce RTX 3060 Tiの$399の間というなかなか絶妙な値付けであって、あとはその価格に見合う性能が本当に発揮できるかが興味あるところだ。ちなみに現時点では国内での予想小売価格は公表されていない。

  • Photo14: この5メーカー(というか、AlienwareとかOmenはそれぞれDell/HPと考えてもよいので、実質3メーカー?)で全て、という訳ではない模様。

  • Photo15: こちらも後追いでもう少し品種が増えそうである。

  • Photo16: サイズだけ見れば、ASRockの1ファン構成のものがReferenceに一番近い感じではあるが。

なお、AMDよりパートナー各社の製品写真も公開されたので、最後にまとめてご紹介する(Photo17~24)。

  • Photo17: ASRock Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OC。トリプルファン構成。Photo16には1ファン構成の短いタイプの製品も示されているが、今回こちらは開示無し。

  • Photo18: ASUS ROG STRIX RX6600XT O8G GAMING。2ファンだがかなり背が高い印象。

  • Photo19: BIOSTAR AMD Radeon RX 6600 XT。比較的小ぶりな2ファン構成。

  • Photo20: GIGABYTE GV-R66XTGAMINGOC PRO-8GD。3ファン。

  • Photo21: MSI Radeon RX 6600 XT GAMING-X-8G。2ファン。本体の高さはそれほどないが、カバーがかなりごついせいでケースに入れる際には高さをそれなりに確保する必要がありそう。

  • Photo22: PowerColor AXRX 6600XT 8GBD6-3DHE-OC。2ファン。こちらも何気に背が高い。

  • Photo23: XFX Radeon RX 6600 XT MERC308。3ファン構成ながら意外にスリムなデザイン。ケースブラケットとの差は1cm未満に見える。

  • Photo24: Yeston Radeon RX 6600 XT。日本ではあまり知名度が無いが、US Amazonではかなり安価に販売されている。構成は非常にスタンダード。