米Appleが7月27日 (現地時間)に発表した同社2021年度第3四半期(2021年4月〜6月)決算は、売上・純利益とも6月期の過去最高だった。製品発表が少なく、次期モデルを意識してiPhoneの販売ペースが鈍り始める6月期は季節的に低調になるが、コロナ禍の影響で出足が鈍かったiPhone 12シリーズが経済回復の勢いで躍進(売上高前年同期比50%増)、全ての製品カテゴリーで売上高がアナリストの予想を上回った。しかしながら、7〜9月期のガイダンスを公表せず、またチップ不足の影響の強まりなどから9月期について慎重な見通しを示したことで、時間外取引で株価が下落した。
1〜3月期の売上高は、前年同期比36%増の814億3400万ドル。純利益は同93%増の217億4400万ドルだった。希薄化後の1株あたり利益は1.30ドル。市場予想の平均は、売上高729億3000万ドル、1株利益1.00ドルだった。以下は1〜3月期の製品カテゴリー別の売上高(増減は前年同期比)。
- iPhone:売上高395億7000万ドル (50%増)
- Mac:売上高82億3500万ドル (16%増)
- iPad:売上高73億6800万ドル (12%増)
- ウェアラブル/Home/アクセサリ:売上高87億7500万ドル (36%増)
- サービス:売上高174億8600万ドル (33%増)
1年前の2020年4月〜6月期の決算発表では、秋のiPhoneの新製品(iPhone 12シリーズ)の発売が数週間遅れる見通しを明らかにした。前年同期はコロナ禍の影響が色濃く、そのため今年の6月期は大きな伸びになっているが、そうした要因を考慮しても5G対応のiPhone 12シリーズ、ウェアラブル、サービスの好調ぶりは印象的だ。各製品カテゴリーのアナリストの売上高予想は、iPhoneが340億ドル、Macが80億ドル、iPadが71億5000万ドル、ウェアラブル/Home/アクセサリは78億ドル、サービスは163億3000万ドルだった。
ただし、9月期については売上高の前年同期比増減率が6月期の36%を下回る見通しを示した。AシリーズのSoCやM1は順調だが、"レガシーなチップ"が半導体不足の影響を受け、6月期にMacやiPadを十分に供給できなかった。チップ不足はしばらく続き、その影響がiPhoneにも広がる可能性がある。さらに為替変動の影響、外のアクティビティ増加に伴うサービスの利用減が予想される。