IDC Japanが7月6日に発表した市場予測によると、2020年の国内EA(エンタープライズアプリケーション)ソフトウェア市場は、ベンダー売上額ベースで2019年と比べて成長率0.4%減、市場規模は5489億100万円になった模様だ。

  • 国内EAソフトウェア市場予測 資料:IDC Japan

同社は同市場を、ERM(Enterprise Resource Management)、SCM(Supply Chain Management)、PLM(Product Life-cycle Management)のアプリケーション群で構成すると定義している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大の影響により、2020年前半に製造業の業績が低迷した影響で、国内EAソフトウェア市場の半数を占めるPLM市場が低迷し、市場全体の成長に影響したという。ERM市場およびSCM市場は、ユーザー企業の予算執行が2020年後半にずれ込んだものの、後半の市場持ち直しによってCOVID-19の影響は限定的だったと同社は推定する。

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2020年の国内ERMアプリケーション市場では、EPM(Enterprise Performance Management)による経営指標の可視化、EAM(Enterprise Asset Management)を使用したアセット管理が2019年から継続したこと、顧客のデジタルシフトの影響を受けた購買管理アプリケーションの好調から、市場規模は前年比2.4%増の2318億3300万円となった。

国内SCMアプリケーション市場では、2020年前半の国内/グローバルサプライチェーンがCOVID-19の影響によって混乱したことなどで投資が減退したが、後半には顧客の急速なデジタルシフトへの対応によって市場は回復し、市場規模は前年比1.2%増の387億700万円だった。

国内PLMアプリケーション市場では、COVID-19の影響によって特に2020年前半の製造業の業績低迷の結果、PLM投資が抑制を受けたと同社は見る。2020年後半に市場は回復基調となったが、家電/エレクトロニクスなど好調に推移した業種があった反面、素材/輸送機器などの業種で投資抑制が見られ、また半導体サプライの不足や消費の減退などの影響を受けたため、年間を通してプラス成長にまでは至らず前年比2.8%減の2783億6100万円にとどまった。

国内EAソフトウェア市場は、「2025年の崖」問題への対応や企業のDX(デジタルトランスフォ―メーション)の進行により継続的に成長すると同社は予測するが、2020年の市場減少からの回復は緩やかであり、2020年から2025年における年間平均成長率(CAGR)は1.8%、2025年の市場規模は6000億6600万円になると予測されている。

同社ソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディング グループディレクターの眞鍋敬氏は、「同市場に参入しているITサプライヤーが成長を維持していくためには、短期的には詳細な産業分野別の業績動向を注視したマーケティング活動およびDX/レジリエンシーを目的としたクラウドシフトの提案推進、中期的には社内外ビジネスプロセスの自動化訴求を行うべきである」と述べている。