ソニーが6月26日から「Ginza Sony Park」で開催する「Sony Park展」。その開幕を目前に控え、歴代プレイステーションがズラリと並んで試遊も可能なエリアなど、第1弾企画「ゲームは、社交場だ。 with 岡崎体育」(会期:6月26日〜7月7日)の展示内容が報道陣に先行公開された。

  • Sony Park展

Sony Park展は、ソニーが取り組む6つの分野「ゲーム、音楽、映画、エレクトロニクス、半導体、金融」をテーマとし、ソニーミュージックの6組のアーティストたちが加わって展開するイベントで、ここでしか体験できないプログラムを楽しめるという。2024年に完成予定の「新Ginza Sony Park」に向けた建設工事が2021年10月から始まるため、現在の形態で行われるプログラムとしては最後になる。

Sony Park展の全体の会期は6月26日~9月30日で、プログラムごとに6つの会期を区切って順次展開していく。開場時間は、後述の「Bar Morita」以外はいずれも11時~19時。入場無料だが、一部は事前予約が必要で、第1弾企画「ゲームは、社交場だ。 with 岡崎体育」の予約受付はGinza Sony Parkの特設サイト上で既に実施中。先着順で完全入替制となっている。

  • 「ゲームは、社交場だ。 with 岡崎体育」の会場内の様子

7月7日まで実施する「ゲームは、社交場だ。 with 岡崎体育」では、初代「PlayStation」から最新の「PlayStation 5」まで、歴代プレイステーションが地下2階の会場にズラリ。

  • 「ゲームは、社交場だ。 with 岡崎体育」の展示マップ

いずれも試遊可能な状態で、岡崎体育が自分のゲーム体験から「社交場」というテーマに合わせて、試遊できる歴代プレイステーションタイトルをチョイス。PlayStationの世代ごとに各5作品が用意され、タイトル一覧は“プレイリスト”として紹介されている。

たとえば、初代PlayStationであれば『クラッシュ・バンディクー』や『ぼくのなつやすみ』、PS2は『キングダムハーツ』や『ワンダと巨像』、PS3は『アサシンクリード』や『リトルビッグプラネット』、PS4は『FIFA 21』や『The Last of Us Part II』……などなど、多種多様なタイトルが挙がっている。また、会場のいたる所にQRコードがあり、岡崎氏本人の思い出やエピソードを交えてゲームを紹介する音声コンテンツをその場で楽しめる仕掛けになっている。

なお会場の説明員によると、PS5に関しては岡崎氏がまだ同機を持っておらず紹介できるタイトルがないため、プレイリストは用意されていないとのこと。このほか、会場には来場者の顔が岡崎体育と“一体化”してしまうフォトブースも用されている。

岡崎体育のコメント

こんにちは! 岡崎体育です。 今回私はゲームの分野でこのイベントに参加させていただいております。

ひとりっ子の私にとって、小学生低学年のころからいつもPlayStationがそばにいてくれました。 寂しいときも、楽しいときも、電源を入れてコントローラーを握れば色んな世界に連れて行ってくれる。 そんな魔法の宝箱の歴史を、僕と一緒に探検してみましょう。

会場奥には、1996年から20年以上続くグランツーリスモシリーズから『グランツーリスモSPORT』の最新の試遊台が設置された「GT SPORT サーキット」エリアがあり、リアルなドライビングシミュレーションを体験できる。

ほかにも、PlayStation 5のプリインストールタイトル『ASTRO’s PLAYROOM』を大画面プロジェクターで体験できる「ASTRO’s PLAYROOM広場」が設けられている。ゲーム内で集められるアイテムがほぼコレクションされた状態になっているようで、本タイトルの試遊を通じて、プレイステーションの歴史に秘められた豆知識を発見できるかもしれない。

フロアの中心には、Ginza Sony Parkの社交場のシンボルとして、大きなカウンター「Play Stand(プレイスタンド)」を設置。ここでは実際の試遊はできないが、歴代のゲームタイトル動画が流れるモニターや、歴代コントローラーが埋め込まれた天板が用意され、ちょっとしたフォトスポットになっている。周辺には「PlayStationの豆知識」に出会えるQRコードも散りばめられていて、“プレステ好きだったかつての少年少女”の心をくすぐる。

「ゲームは、社交場だ。 with 岡崎体育」は7月7日に終了するが、さまざまな事情で来園できない人のために、各種オンラインコンテンツをSony Park展の特設サイトで紹介予定。また第2弾以降、奥田民生、東京スカパラダイスオーケストラ、millennium parade、YOASOBI、Creepy Nutsが加わり、3カ月あまりにわたって、現在のGinza Sony Parkでしか体験できない、数々のクリエイティブな企画を展開していくという。なお、これらはいずれも事前予約が必要となる。

  • 第2弾「音楽は、旅だ。 with 奥田民生」
    (7月13日~7月24日)
  • 第3弾「ファイナンスは、詩だ。 with 東京スカパラダイスオーケストラ」
    (7月30日〜8月10日)
  • 第4弾「映画は、森だ。 with millennium parade」
    (8月16日〜8月27日)
  • 第5弾「半導体は、SFだ。 with YOASOBI」
    (9月2日〜9月13日)
  • 第6弾「エレクトロニクスは、ストリートだ。 with Creepy Nuts」
    (9月19日〜9月30日)

上記の6つの企画は、「変わり続けるソニーがいま取り組む6つの分野」を紹介するものだが、Sony Park展では、その変化を支える「テクノロジー」と「デザイン」をテーマとした3つのイベントを並行して開催。こちらは人数制限はあるが、予約不要で体験できる。

7月18日までは地下3階で、映像などのビジュアルがなくても楽しめる“音だけのゲームセンター”「Audio Game Center +」を開催し、ヘッドホンとコントローラーだけで楽しむレーシングゲームや、リズムアクションゲーム、ストーリーテリング・ホラーゲームなどが体験でき、ここではソニーの360立体音響技術群も活用した新作ゲームにもチャレンジできるという。

なお、7月24日〜8月10日は「人類の未来のための研究 ソニーCSL研究公開 (仮)」、8月30日〜9月13日には「Sony Design × Sci-Fi Prototyping展 (仮)」を予定しているとのこと。

  • 「Audio Game Center +」の会場内の様子

地下4階には、ソニーの“変わらないDNAの象徴”として、同社のファウンダーのひとりであり、ソニービルを創業した盛田昭夫氏の生誕100年を記念して、10坪ほどの小さなバー「Bar Morita」をオープン。ここは、盛田氏が“銀座の庭”と呼んだ、数寄屋橋交差点に面する「ソニースクエア」があった場所のちょうど真下に位置するという。雰囲気のあるバーカウンターでお酒などを楽しめるほか、入口には盛田氏が生前に持っていた社員証や名刺、パスポート、時計をはじめとする愛用品などが展示されている。

Bar Moritaの営業時間は12時~20時で、毎週月曜は定休日。ノンアルコールを含む各種ドリンク(各1,000円)を提供する。決済は現金のみ。

  • ソニービル(右)を創業した盛田昭夫氏(左)

  • 地下4階の会場内の様子

  • Bar Moritaの入口

  • 盛田氏が生前に持っていた社員証や名刺などが展示されている

常に変わり続けるGinza Sony Parkは「ソニーの商品」

「Sony Park展」の概要については、ソニーグループ ブランド戦略部門/ソニー企業 代表取締役社長・チーフブランディングオフィサーの永野大輔氏が紹介した。

  • ソニーグループ ブランド戦略部門/ソニー企業 代表取締役社長・チーフブランディングオフィサーの永野大輔氏

永野氏によると、ソニービルの建て替えプロジェクトは2013年にスタートしたとのことだが、当時のソニーの経営状況は苦しく、2012年3月期(2011年度)には4,567億円の最終赤字を計上するほど厳しい状況にあった。この頃のソニービルは、ユーザーのアンケート結果で「変われないソニーの象徴」と揶揄されることもあったそうで、それを「新しいソニーの象徴」に生まれ変らせようと始めたのが「Ginza Sony Parkプロジェクト」だったというわけだ。

同プロジェクトでは、いわゆるビルの建て替えとは異なり、跡地をいったん「公園」に作り替えるというプロセスを踏みつつ、それをブランド化するという試みが行われてきた。これは「ユニークであること」を大事にするソニーならではの考え方が体現されたものといえるだろう。

ソニーの歴代製品を集めた「It's a Sony展」(2016年)の開催後、オープンな公園に生まれ変わったGinza Sony Park(2018年〜)では、#001〜#014まで14回のアクティビティを披露。象徴的だったイベントとして、永野氏はウォークマン第1号機「TPS-L2」の発売40周年を記念して開催された「#009 WALKMAN IN THE PARK」などを挙げた。約2年半で来園者は累計800万人を数え、来場者の内訳は女性6割、男性4割で、10〜20代が半数を占めたという。

  • #009 WALKMAN IN THE PARKの様子

永野氏は「Sony Parkはひとつの“商品”。ソニーはウォークマンやプレイステーション、aiboなど、世の中にイノベーティブと言われている商品を出しているが、Sony Parkもその中のひとつでありたい」と語る。音楽の聴き方や、ゲーム、ロボットのあり方をこういった商品が“再定義”したように、ソニーパークも公園を“再定義”したとし、「東京以外の街でも、新しいビルに建て替える前に一度公園にしよう、という動きがスタンダードになったら街はもっと面白くなると思う」(永野氏)。

永野氏は最後に、ソニー創業者のひとりである盛田氏が“銀座の庭”と呼んだ、ソニービルの一角のエピソードにふれつつこのように語った。「(盛田氏が作ったかつての)ソニービルの想いは、現在のGinza Sony Parkに継承されている。そして私たちは次の2024年に、新しいGinza Sony Parkを作ろうとしている。普通の商業ビルやショールームを作るつもりはない。“(平面な)公園をタテに伸ばす”のがコンセプト。ユニークであり続けることを肝に銘じ、2021年秋以降も活動を続けていきたい」。

  • 2021年現在のGinza Sony Park

  • Ginza Sony Parkの地上階には、6つのプログラムのうち第2弾以降の看板がゴロゴロと転がるように展示されていた

  • 地下1階で販売されている、「盛田昭夫生誕100年記念 日本酒限定セット」。盛田昭夫氏は、愛知で清酒造りを手がける「盛田」の十五代当主にあたるとのことで、生誕100年を記念して販売される。Ginza Sony Parkの地下1階で6月26日〜7月2日まで、100セット限定で販売する。価格は5,000円(現金のみ、売切次第終了)