Appleは6月7日(現地時間)にオンライン開催した開発者カンファレンス「WWDC21」において、macOSの次期バージョン「macOS Monterey」のプレビュー発表を行った。今秋より無料アップデートとして提供する。対応機種については、「最新のiMac、MacBook Air、13インチMacBook Pro、Mac mini、およびAppleのIntel搭載Macを含め、これまでで最も幅広いMacのラインナップに対応」としている。

  • macOS Monterey

    macOS Monterey

Safariブラウザはタブ機能強化、機能拡張はiPhone/iPadで利用可能に

今回のアップデートのひとつの目玉となるのが、Safariブラウザの刷新だ。新しいSafariでは、タブ/ツールバー/検索フィールドを1行分のスペースにおさめた新しいタブバーが搭載され、複数のタブを管理する「タブグループ」機能が利用できるようになる。このタブグループは、Mac/iPhone/iPad間で同期可能だ。

  • 新しいSafari

    コンパクトに機能をまとめたSafariのタブバー。複数タブを管理するタブグループ機能も利用できる

新しいSafariはMacだけでなくiPad/iPhoneにも導入される。iPadでは、新しいタブバーやタブグループをMacと同じように利用できる。iPhoneではタブバーが画面下部に表示され、画面スクロールの際にはシームレスに非表示となる。さらにこのタブバー上で左右スワイプすることでタブの切り替えと新規タブの表示、上にスワイプすることでタブ/タブグループのグリッド表示を行える。ブラウザのスタートページもMac/iPhone/iPadで共通となり、よりスムーズに各デバイス間を行き来できるようになる。

また今回、Safariの機能拡張がiPhone/iPad上でも利用できるようになる。iPhone/iPadの機能拡張も従来のWeb機能拡張とコードを共有できるため、開発者にとっては大きな負担なくiPhone/iPadのユーザーに機能拡張を提供できることになる。

iPadとの連係機能「ユニバーサルコントロール」

iPadとの連係機能では、「ユニバーサルコントロール」にも注目したい。これは、ひとつのマウス/キーボードでMacとiPadを行き来して作業する機能。デモンストレーションとして、MacBookと並べたiPadに対して、MacBookのトラックパッド/キーボードで操作を行い、iPadからMacへファイルをドラッグ&ドロップする様子が紹介された。このユニバーサルコントロールは複数のMac間でも利用できる。デモンストレーションでもMacBookからiMacを操作したり、iPadからMacBook、さらにiMacへとドラッグしてみせた。

  • ユニバーサルコントロールのデモンストレーション1
  • ユニバーサルコントロールのデモンストレーション2
  • ユニバーサルコントロールのデモンストレーション。複数のデバイスを行き来して作業する様子が紹介された

iPhone/iPadで再生するコンテンツをMacの画面に表示する「MacにAirPlay」もmacOS Montereyの新しい連係機能だ。これにより、iPhone/iPadから大画面のRetinaディスプレイへの表示が可能となり、MacのスピーカーをAirPlayスピーカーとして利用できるようになる。

  • MacにAirPlay機能

    「MacにAirPlay」でiPhoneからMacへの表示が行える

「ショートカット」機能がMacでも利用可能に

また、iPhone/iPadの「ショートカット」機能がMacでも利用可能となる。ギャラリーで既存のショートカットを見つけて導入できるほか、「ショートカットエディタ」で自作・カスタマイズすることも可能。ショートカットの呼び出しは、メニューバーやFinder、Spotlight、Siriなどで行える。Macにはこれまでにも同様の作業自動化ツールとしてAutomatorがあったが、Automatorは引き続きサポートされ、Automatorのワークフローをショートカットにインポートすることも可能だという。

  • ショートカット機能

    ショートカット機能がMacでも利用可能に

FaceTimeも大幅強化。コンテンツ/作業画面の共有が可能に

FaceTimeには、空間オーディオ機能によって画面上の相手が表示されている位置から声が聞こえるようにする新しいオーディオ機能、機械学習で周囲の騒音を消してユーザーの声を明瞭にする「声を分離」と周囲の環境音まで伝える「ワイドスペクトラム」の切り替え、M1チップを活用したビデオエフェクト、複数ユーザーを同じサイズで表示する新しいグリッド表示といった機能が加わる。

  • FaceTimeのビデオエフェクト

    ポートレートモードで、M1チップを活用したビデオエフェクトを適用できる

もうひとつのFaceTime関連の新機能が、通話している相手と、コンテンツ再生やアプリケーション作業を共有するSharePlay機能。この機能により、一緒に映画や音楽を楽しみながら通話したり、アプリケーションの作業画面を共有して共同作業を行ったりすることが可能。SharePlay機能のAPIはサードパーティに公開されるので、デベロッパはこのAPIを利用して自社アプリケーションをSharePlayに対応させることができる。

  • SharePlay機能

    SharePlay機能でコンテンツを共有しながら通話することが可能

コンテンツの共有については、メッセージで共有された写真、ビデオ、記事などを「写真」アプリやSafari、Podcastアプリなどにおいて「あなたと共有」タブに登録し、簡単に見つけられるようにするという機能も加わる。

  • 「あなたと共有」タブ

    メッセージで共有された写真/ビデオ/記事などを簡単に見つけられる「あなたと共有」タブ

このほか、全てのデバイスを同期して現在の作業に関係ない通知を自動的にフィルタする「集中モード」、どのアプリケーションからでもメモを保存できる「クイックメモ」、今回のWWDCで公開となった新しい「マップ」「iCloud+」への対応、写真上のテキストの認識表示、メールプライバシー保護などのプライバシー機能、アクセシビリティ機能の強化などが行われている。

macOS Montereyはデベロッパ向けベータ版のApple Developer Programメンバーへの提供がスタートしており、7月中にはパブリックベータ版が公開される予定。対応機種の詳細も後日アナウンスとなる。