Appleは6月7日(現地時間)にオンライン開催した開発者カンファレンス「WWDC21」において、完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」やワイヤレスヘッドホン「AirPods Max」の機能を強化すると発表した。
【更新・追記】6月8日から国内でもApple Musicのロスレス楽曲や空間オーディオ楽曲が再生可能になった。詳細は後述する。
今後提供する「iOS 15」と組み合わせることで、AirPods ProやAirPods Maxのある場所を「探す」機能で探せるようになる。これらのデバイスが発するBluetooth信号を周囲のAppleデバイスが受け取り、ネットワーク経由でデバイスの位置情報を所有者の「探す」アプリに通知する。
近くにAirPods ProやAirPods Maxがあれば、「サウンドを再生」で音を鳴らして場所を確認でき、アプリの新しい近接表示で無くしたデバイスに近づいていることを知らせる。さらに紛失防止のため、AirPods Proなどをどこかに置き忘れてもiPhoneに通知が届くようにする。
iOS 15との組み合わせによって「通知の読み上げ」機能が進化。iPhoneを手に取れないタイミングでもAirPodsがSiriと連携して通知を代わりに読み上げたり、買い物リストを自動で読み上げるといったことが可能になるという。
軽度の聴覚障害を持つ人向けの新機能として、「Conversation Boost」(会話の強調)も発表。補聴器のように、AirPods Proをつけたまま会話を聞き取りやすくするもので、「目の前で話している人にAirPods Proのマイクの焦点を向ける」ことによって、対面の会話をより聞き取りやすくし、ユーザーの理解を助けるという。iPhone側の操作で周囲の雑音の音量を下げることもできる。
このほか、“ダイナミックヘッドトラッキング”を活用した「空間オーディオ」(Spatial Audio)に関しても、ふたつの発表があった。
まず、2021年秋から空間オーディオをApple TV向けの「tvOS」に対応させ、M1搭載のMacで稼働するmacOSにも導入。テレビやMacで見ている空間オーディオ対応コンテンツのサラウンド体験が、AirPods MaxやAirPods Proで楽しめるようになる。
さらに、Apple Musicで「空間オーディオ」楽曲を提供開始。まずは、アリアナ・グランデやザ・ウィークエンド、J.バルヴィン、ケイシー・マスグレイヴスの楽曲をDolby Atmosによる立体音響で楽しめるようになるという。発表当初、「6月提供開始予定」としており、正式にスタートしたかたちだ(国内での配信については後述)。
Dolby Atmos対応楽曲は、H1チップやW1チップを搭載したAirPodsとBeatsのヘッドホン、iPhone、iPad、Macの内蔵スピーカーで再生できる。Apple Musicは、月額980円の個人プラン、月額1,480円のファミリープランなどを用意しており、ユーザーは追加費用なしで空間オーディオ対応楽曲も楽しめる。
【6月8日17時追記】
6月8日15時過ぎから、国内でもApple Musicのロスレス楽曲や空間オーディオ楽曲がiPhoneなどで再生可能になったようだ。筆者もiPhoneのApple Musicで、複数のアルバムにおいて空間オーディオやロスレス対応を示す各種ロゴが表示されることを確認した。
いずれもオーディオ設定は[設定]>[ミュージック]から行う。空間オーディオ楽曲は(ドルビーアトモス)は標準で「自動」になっているが、「常にオン」、「オフ」も選べる。ロスレス楽曲についてはオーディオの品質の項目で「ロスレスオーディオ」をオンにする必要がある(デフォルトではオフになっているようだ)。ロスレスオーディオでは、Wi-Fiストリーミング時とダウンロード時の品質を細かく設定可能だ。