• Redmi Note 10 Pro。34,800円でハイエンドモデルに近い性能を誇るSIMフリースマホです

    Redmi Note 10 Pro。34,800円でハイエンドモデルに近い性能を誇るSIMフリースマホです

2019年末の日本参入以来、次々とスマートフォンの新製品を投入しているシャオミ。2021年3月31日に発表された最新モデル「Redmi Note 10 Pro」は、3万円台ながらハイエンドモデルに近い性能を誇るSIMフリースマホです。

価格は34,800円。格安SIMとのセットで割引されることも多く、たとえばgoo SimsellerではOCNモバイルONEのSIM契約を条件に26,100円で販売しています。

ディスプレイはお値段以上

シャオミスマホに共通する特徴は「コスパの高さ」。それはこのスマホにもガッツリ盛り込まれています。特にRedmi Note 10 Proに搭載された有機ELディスプレイは明らかに“お値段以上”な仕様となっています。

  • HDR対応の有機ELディスプレイで発色が良好

画面サイズは6.67インチと大きく、解像度も2,400×1,080ドット(フルHD+)と高め。持ち歩くにも大きすぎず、卓上で動画を観ても迫力十分という、絶妙なサイズ感です。

高精細なHDR10もサポート。音響ではステレオスピーカー内蔵で、横持ちした時に音がこもることもありません。

さらに、「120Hz駆動」のハイリフレッシュレートに対応。スペック上は、Webサイトなどのスクロール表示が滑らかに表示可能です。120Hz駆動のディスプレイは3万円台のスマホでの採用例がほとんど無く、Redmi Note 10 Proは希少な選択肢といえるでしょう。

ちなみに120Hzリフレッシュレートはユーザー側で変更する必要があり、標準は60Hz設定になっています。

背面ガラスで手触りは良好

ボディ背面は曲面ガラスで覆われており、厚みを感じさせないすっきりしたデザイン。曲面ガラスで覆われており、柔らかい手触りが心地よく感じます。また、ディスプレイと並んで売りとなっている1億画素カメラの存在感が突き抜けています。

  • 手触りの良い曲面ガラスを採用。厚みを感じさせないデザインです

重さは193g、横幅は約76.5mmと大画面スマホとしては抑えられています。重心がやや上にあるため、片手持ちなら背面の中央部を手のひらで支えるような持ち方が安定します。

  • 正面、左右のベゼル幅は実測で1.5mmほど

  • 背面。カラーは写真のオニキスグレーのほか、グラディエントブロンズ、グレイシャーブルーをラインナップ

  • 上部。3.5mmイヤホンジャックを搭載

  • 下部。USB Type-C端子

  • 左側面にSIMトレイ。nanoSIM 2枚とmicroSDを同時に利用可能

  • 右側面。音量上下ボタンと電源ボタン兼指紋センサー

1億画素カメラは暗所に強い

ディスプレイと並んできわだったスペックを有しているのがカメラ機能。その目玉は“1億画素”のセンサーです。

  • 1億画素センサーの背面カメラ。本体から2mmほど出っ張っています

背面カメラは4眼仕様で、1億800万画素(メイン)+800万画素(超広角)+500万画素(望遠接写)+200万画素(深度)という構成。

主力の広角カメラは、1億800画素(108MP)で1/1.52インチのセンサー単に、F値1.9のレンズという内容。暗所撮影ではその威力をいかんなく発揮します。9つの画素を束ねて大きな1画素として扱うため、1,200万画素相当で画素ピッチが2.1μmとなり、1画素あたりで取り込める光量はiPhone 12などと比べても多いことになります。

なお、撮影モードを「108MPモード」に設定すれば、1億画素そのままの解像度で撮影することも可能ですが、あまりメリットはありません。1画素あたりのサイズが小さいため、晴れた日の屋外のような明るいシーン以外はブレが目立つ仕上がりになります。

  • カメラ設定画面。画質のほか超広角撮影でのゆがみ補正オンオフ、夜景モードのオンオフなどを設定できます

  • カメラ内の「もっと見る」から、108MP撮影を含めた各種撮影モードの設定が可能

このレビューではフルオートでパシャパシャと撮ってみた作例を紹介します。やはり暗所撮影は比較的強く、曇り空や夕方など、特に暗めの屋外での写りは良好です。

  • 作例その1。以下、フルオートで撮影した作例です(全7枚)。画像サイズは1,200ドットにリサイズしていますが、画像クリックで原寸大画像へのリンクを表示できます

  • 作例その2

  • 作例その3

  • 作例その4

  • 作例その5

  • 作例その6

  • 作例その7(一部にモザイクをかけています)

超広角カメラは画角118度で800万画素という仕様。さすがにディテールは1億画素カメラより劣る印象ですが、夕方のような薄暗いシーンでもしっかりと写せます。

接写専用の500万画素カメラを積んでいるためか、テーブルの上の小物もよく写せます。若干ボケが強めに出る印象もありますが、暗めの屋内でも十分な明るさで撮れます。

全体的な傾向としては、AI補正がよく働く印象を受けました。たとえば植物の緑を撮ると、その仕上がりは目で見た以上に青々しく感じます。被写体を強調した“映え”重視の仕上がりになりがちではありますが、破綻するほど不自然ということはありません。記憶に残る部分を強調しつつ、全体的なバランスにも配慮した画作りになっています。

5,020mAhの大容量、急速充電も対応

バッテリーは5,020mAhと大容量で、120Hz駆動で使い続けても2~3日は充電の心配がありません。3万円台ながら最大33Wの急速充電も対応し、30分ほどの充電でバッテリー残量を60%程度まで回復できます。

ちなみに、急速充電は、Xiaomi Super Chargeと呼称される独自規格を採用。標準規格のUSB PDとは、9V=3Aなど一部の出力で互換性を有しています。

チップセットは「Snapdragon 732G」を搭載。最大2.3GHzのオクタコアCPUで、5G非対応のチップセットの中では最新かつ、性能も高め。メモリは6GB LPDDR4X RAMで、ストレージは128GBのUFS 2.2を内蔵。3D処理をバリバリ行うゲームアプリでもない限り、処理能力で不足を感じることはないはずです。

  • バッテリー5,020mAhと大容量で、急速充電にも対応します。

  • 独自の「MIUI 12」を搭載。「ツール」欄には、電卓やレコーダーなど実用的なユーティリティが並びます

ユーザーインタフェースは独自の「MIUI 12」を搭載しており、他のAndroidスマホと一部のメニュー構成などが異なります。ただし、基本的にはAndroid 11準拠で、Google Playも搭載しているため、使い勝手で悩むことはないでしょう。

MIUIの独自機能には、1つのアプリを複製して複数のアカウントを使える「デュアルアプリ」など、かゆいところに手が届く機能が多め。プリインストールアプリも電卓やレコーダー、スキャナーなどユーティリティ系を一通り揃えています。

省かれたところと惜しいところ

34,800円という驚異的なコスパは、大量生産に加えて、機能面での取捨選択を大胆に行ったことで実現しています。同世代の多くのスマホと比べると、「省かれた」機能もいくつか存在します。

省かれた機能の代表格は「5G」でしょう。Redmi Note 10 Proは5G非対応で、国内では4G LTE/3G網でしか使えません。

ただ、5Gにつながらないことのデメリットは大きくありません。大手4キャリアの5G網は徐々に広がりつつあり、2021年内には全国の主要都市の多くで利用できるようになる見込みです。とはいえ、実際に5Gにつながる場所は限られており、4G LTEが主力である状況は、この先2~3年は続くでしょう。特にMVNOの回線では、その仕組み上、5Gの高速性を体感できる場面も限られています。

また、おサイフケータイが非対応で、防水・防塵性能が限られています。防水仕様はIPX3相当で、雨に濡れる程度の水濡れなら支障がないという、いわゆる「生活防水」に相当。お風呂で使うのは避けるのが無難です。防塵性能はIP5X相当で、ざっくり言うと多少のホコリが内部に入っても動作に支障はありません。

それに加えて、実際にしばらく使っていて気になった点がいくつかあります。

外観については、背面に細かいホコリが入り込みやすいという弱点があります。ガラスと本体の継ぎ目部分、特にカメラの周辺部分に1mm未満の隙間があり、細かなホコリを捕まえてしまうようです。

  • ガラスと本体に0.04mm~0.1mmの隙間があり、ホコリが入り込んでしまうことがあります

1度ホコリが入り込むと、薄い紙を差し込むなどしてホコリの除去を試みることになりますが、一度入りこむとすべて取り去るのはなかなかに困難です。

ホコリが入ったところで実用上の問題はありませんが、せっかくのスタイリッシュなデザインを損ねることになるのはもったいないことだと感じます。持ち運びの際にはホコリが入りやすい場所に置かないようにするなど、気を遣ったほうがよさそうです。

動作の面では、目玉機能の「120Hz駆動」に違和感を覚えました。カクついているように感じる場面もあり、AQUOS R5Gなど、他のハイフレームレート対応スマートフォンと見比べてみると、スクロールの心地よさには大きな差があります。

10万円超えのAQUOS R5Gと比べるのはややフェアでない感もありますが、ディスプレイの反応速度の改善など、ソフトウェア上のチューニング面で改善の余地があるように感じました。たとえば今後、120Hz駆動時にディスプレイの表示解像度を落とす設定などが追加されれば、より実用性が増すと思います。

妥協点を加味しても際立つコスパ

最後に、Redmi Note 10 Proを買うときに考慮しておきたい点をいくつか挙げておきましょう。

Redmi Note 10 Proの良いところは、性能と価格のバランスの良さという一点に集約されるでしょう。5Gや防水を妥協しつつ、ディスプレイのスペックは明らかにお値段以上、カメラやバッテリーについても十分な実用性を担保しています。

このメリハリの効いた構成にはまさに「コスパの鬼」のシャオミらしい取捨選択の妙を感じます。全体の出来がよいぶん、後半で述べたホコリの入りやすさや120Hzの快適さをフルに発揮しきれない点はかなり惜しいとも感じました。

その一方で、Redmi Note 10 Proが“コスパの高い”モデルであることは疑いようがありません。YouTubeなどで映画をよく観る人や、暗い場所でも明るく撮りたい人、電池持ちが良くて大画面なスマホがほしい人には有望な選択肢となるでしょう。

Redmi Note 10 Proの主な仕様

  • OS: MIUI 12(Android 11ベース)
  • CPU: Qualcomm Snapdragon 732G
  • 内蔵メモリ: 6GB
  • ストレージ: 128GB
  • 外部ストレージ: microSD、最大512GB
  • ディスプレイ: 6.67インチAMOLED(2,400×1,080ドット、HDR10対応)
  • バッテリ容量: 5,020mAh
  • アウトカメラ: 108MPメイン、8MP超広角、5MP望遠、2MP深度センサー
  • インメラ: 16MP
  • 5G: ―
  • FDD LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28/66
  • TDD LTE: B38/40/41(2545-2650MHz)
  • Wi-Fi: ○
  • Bluetooth: Bluetooth 5.1
  • 生体認証: 側面指紋認証
  • 本体サイズ: W164×H76.5×D8.1mm
  • 重さ: 約193g
  • カラーバリエーション: グラディエントブロンズ、グレイシャーブルー、オニキスグレー