米Qualcommは5月19日(現地時間)、ミッドレンジ上位向けのスマートフォン用SoCの新製品「Snapdragon 778G 5G Mobile Platform」を発表した。第6世代のAIエンジン、トリプルISP(イメージ信号プロセッサ)、Wi-Fi 6E対応など、Snapdragon 888世代の機能や体験をミッドレンジにもたらす5G対応モバイルチップになっている。

778Gは同社が3月に発表した「Snapdragon 780G 5G Mobile Platform」とほぼ同じスペックだが、最大の違いは780Gが5nmプロセス製造で、778Gは6nmプロセスであること。TSMCの製造技術を用いる778Gに対して、780GはSamsungのプロセスで製造される。自動車向けなどに比べると、スマートフォン向けのSoCは半導体不足の影響を受けていないが、問題の深刻度が増す一方であり、製造委託する半導体メーカーを分散させることでより安定した供給を確保できる。

【お詫びと訂正】初出時、780GがTSMC、778GがSamsungの製造としていましたが、正しくは逆で、778GがTSMC、780GがSamsungの製造となるため、該当部を修正しました。(2021年5月20日 16:05)

主なスペックは、CPUが最大2.4GHz駆動の「Kryo 670」。前世代から処理性能が最大40%向上している。グラフィックスは「Adreno 642L」。前世代からレンダリングが最大40%速くなった。AIエンジンは「Hexagon 770」を搭載する。演算能力が前世代のおよそ2倍、最大12TOPSだ。第2世代のSensing Hubとの組み合わせによって、通話やビデオチャットのノイズ抑制、音声アシスタントといったAIを活用した機能が効率的に動作する。

「Snapdragon Elite Gaming」の機能である可変レートシェーディング(VRS)と「Qualcomm Game Quick Touch」を利用可能。Game Quick Touchによってタッチ操作のレイテンシが最大20%向上。レスポンスよくゲームを楽しめる。

トリプルISPは、3つのカメラで22メガピクセルの画像を同時に処理できる。デュアルカメラの場合は最大36メガピクセルと同22メガピクセル。シングルカメラだと最大64メガピクセル。最大4K/30fpsでのビデオ撮影、720p/240fpsでのスローモーション撮影、HDR10+などをサポートする。

5Gモデムは「Snapdragon X53 5G Modem-RF System」。ワイヤレス機能のコントローラチップに「FastConnect 6900 Connectivity System」を搭載。Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2をサポートする。

Honor、iQOO、Motorola、OPPO、Realme、Xiaomiなどが778Gを採用しており、2021年第2四半期に最初の搭載製品が登場する予定。