ディーアンドエムホールディングスは、英B&W(Bowers & Wilkins)の初めての完全ワイヤレスイヤホン「PI7」、「PI5」を「春のヘッドフォン祭2021 ONLINE」に参考出品。5月中旬の国内での公式発表に先がけて、製品の特徴を紹介した。
ピュアオーディオスピーカーの人気ブランドとして知られるB&Wは1966年に英国で設立。ビートルズで有名なアビー・ロード・スタジオをはじめ、多くのレコーディングスタジオに同ブランドのスピーカーがリファレンススピーカーとして採用されている。
完全ワイヤレスイヤホン「PI7」、「PI5」については、国内でも一部で先行して紹介されていたが、より詳しい情報が明らかになったカタチだ。なお、参考出品ということで価格などは未定となっているが、発売時期については「5月末くらいのタイミングで準備中」だという。
両製品のために専用開発された、9.2mmの大口径ドライバーを搭載。「PI5」はこのドライバー1基をフルレンジで使うが、上位機種の「PI7」はバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー1基をツイーターとして加えた2ウェイ構成で、9.2mmドライバー/BAドライバーを別々の専用アンプで駆動するバイアンプ駆動を採用しているのが大きな違いだ。どちらもアコースティック(音)な部分では、B&Wの最上位スピーカー 「800 Series Diamond」の音響担当者がサウンドチューニングを手がけているという。
対応コーデックにも違いがあり、PI7はaptX HD、aptX LL(Low Latency)に加え、最新のaptX Adaptiveコーデックに対応。最高48kHz/24bitまでの再生が可能だ。PI5はaptXまでの対応となり、CDクオリティのサウンドが楽しめるという。
PI7はさらに、世界初という“充電ケースがBluetoothトランスミッターになる”インテリジェントな機能を装備。スマホなどの再生機器とPI7の充電ケースを有線接続し、充電ケースとPI7の間はaptX LLでワイヤレス接続して、再生機器の音源を低遅延かつ高品位に再生できるとする。
D&Mホールディングスの担当者は具体的な使い方として、飛行機などのエンタテインメントシステムなどにPI7の充電ケースを有線でつなぎ、そのサウンドをワイヤレスで楽しむといった使い方を紹介。また、iPhoneなどにLightning-USBアダプタ経由でこのケースをつなぎ、低遅延なサウンドを楽しむといった使い方もできるという。B&Wのワイヤレスヘッドホン「PX7」と組み合わせて使うことも想定しているようだ。
aptX LL対応のプレーヤー(再生デバイス)は数が少ないが、PI7と充電ケースの組み合わせであれば、aptX LLが使えないデバイスの遅延の問題を抑えられそうな点にも注目が集まりそうだ。
このほか、完全ワイヤレスイヤホンの最新トレンドである、ノイズキャンセリング(NC)機能や外音取り込み機能を、PI7/PI5のどちらも装備。専用アプリからさまざまな調節や操作が行えるという。
カラーリングは、PI7はブラウン系とホワイト系、PI5はブラック系とホワイト系の各2色が用意されるようだ。PI7/PI5はまったく同じ色ではなく、メタリックなパーツのカラーリングも色味が少し異なっている。ケースのデザインにもこだわっており、マットな質感の本体につややかな仕上げのカバーとなっている模様。
ヘッドフォン祭ONLINEのスペシャルゲストとして登場した、声優でオーディオマニアとしても知られる小岩井ことりさんが実機のサウンドを体験。「ワイヤレスで音質が気になる人にも聴いて欲しい。低音に包まれる感じもあり、(高価格帯の)B&Wスピーカーの上品さをそのまま(このサイズに)落とし込んでいる」点を評価しており、完全ワイヤレス製品ということで「きっと手ごろな価格で買えそう」と大きな期待を寄せていた。
サウンドのインプレッションとして、PI5は「低音がすごくいい。完全ワイヤレスイヤホンでは低音の少なさが気になるけれど、(PI5のサウンドは)ホームオーディオで、スピーカーの前で聞いているような臨場感があった。高域もうるさすぎず、長時間聞いていられる。音に包まれて心地いい感じ」(小岩井さん)。D&Mホールディングスの担当者もそのようなサウンドを目指していると話した。
そして上位モデルのPI7は、「PI5の傾向を受け継いだ低音や臨場感に加えて、より解像感の高さを感じる。ハイエンドな音が楽しめた」(小岩井さん)とのこと。これはBAドライバーを積んでいることなどが影響しており、音の見晴らしが良くなるようだ。
小岩井さんは他にも、両機種ともイヤーピースの中に工夫があり、スポンジが入っていて仕切りがついているといった点にも注目していた。また、イヤホンの実機は装着感がよく、重すぎず軽すぎない重量感だったという。