米NVIDIAは4月12日(現地時間)、年次カンファレンス「GTC 21」を実施し、その中でArmアーキテクチャを採用したCPU「Grace(グレース)」を発表した。提供開始は2023年初頭となる見込み。

  • 「NVIDIA Grace」 このイメージではボード上にGPUも組み合わさっている

Graceは、自然言語処理やレコメンダーシステム、AIスーパーコンピューティングなど、超高速処理性能と大容量メモリの両方を必要とし、膨大なデータセット分析を行う世界最先端のアプリケーションに対応できるように設計したというCPU。エネルギー効率が極めて高いArm CPUコアとLPDDR4xメモリを組み合わせることで、2倍の帯域幅と10倍優れたエネルギー効率を備え、単一のメモリアドレス空間で統合されたキャッシュコヒーレンスを提供するとしている。

  • 従来型のx86システムでは、PCI Expressなどによる高い汎用性を実現していた一方で、各帯域が大きなボトルネックになっていたと指摘

  • x86 CPUから4チャネルで接続してもGPUとGPUメモリの帯域には全く及ばず、さらにGPUからCPUメモリの帯域はさらにボトルネックになる

  • Graceでは第4世代NVLink相互接続テクノロジをベースにした技術を採用し、Grace CPUとNVIDIA GPU間の帯域を900GB/sまで拡張。この構成例では、GPUメモリにHBM2eメモリを組み合わせている

「Grace」というコードネームは、1950年にコンピュータープログラミングの先駆者だった米国海軍准将「Grace Hopper」氏から命名したとのこと。NVIDIAはGraceの採用例として、スイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)が計画中の「ALPS」を挙げ、20Exaflopsという極めて高い性能で全地球規模の天候・気候シミューレーション、量子物理学の「大型ハドロン衝突」などのデータ処理に用いられるとしている。

  • 世界最速のスーパーコンピューターの10倍、20Eflopsの高速性能を実現。HPE(Hewlett Packard Enterprise)が構築を担当する