◆消費電力(グラフ77~81)

最後にこちらを。グラフ77はFireStrike Demo、グラフ78はF1 2020、グラフ79はFFXV Official Benchmark、グラフ80はMetro Exodusのそれぞれの実効消費電力変動である。グラフ81がそれぞれの平均値をまとめたものだが、プロセスが同じなら消費電力は性能に比例する訳である。

  • グラフ77

  • グラフ78

  • グラフ79

  • グラフ80

  • グラフ81

気になるのはTSMC 12nmのGeForce RTX 2060 Superと、Samsung 8nmのGeForce RTX 3060の違いだが、FireStrikeのみ結構GeForce RTX 3060が低めに推移しているものの、F1 2020やFFXVは大差なく、Metro ExodusはむしろGeForce RTX 3060の方が高めという結果に。トータルとしてはGeForce RTX 2060 SuperとGeForce RTX 3060、消費電力でも大差なしとして良いかと思う。強いて言えば、GeForce RTX 2060 Superのみ待機時の消費電力が他に比べて20Wほど高いのがちょっと気になるといったところだろうか。

考察

ということで駆け足でベンチマーク結果をお届けした。なんというか、今回NVIDIAがGeForce GTX 1060やGeForce RTX 2060といった旧世代の製品を引き合いに出す理由が良く判る結果になったと思う。どのゲームをプレイするかで違う部分はあるが、要するに『GeForce RTX 3060はGeForce RTX 2060 Superと性能が変わらない』という話である。

勿論メモリ容量は倍になり、値段は$399→$329に落ちているので、その意味では「技術の進歩は素晴らしい」訳だが、既存のGeForce RTX 2060 Superのユーザーが買い替える意味はほぼ無いだろう。冒頭に書いた「GeForce RTX 2060 SuperとGeForce RTX 3060 Tiの中間位に位置している事を期待したい」という筆者の期待は見事に裏切られることになった(といってもこれは筆者の勝手な思い込みだから仕方ないのだが)。

そんな訳で性能はGeForce RTX 2060 Superとほぼ同程度である。ただGeForce RTX 2060 Superが2019年7月の登場時に6万円オーバーだったのに対し、今回GeForce RTX 3060は5万円前後での発売が予定されている訳で、その意味ではお値頃感は高い。NVIDIAの言う通り、GeForce GTX 1060からの買い替えならかなり良い選択肢ではある。

問題は入手性だろう。ドライバベースでマイニング性能を抑える事でゲーミング向けに行き渡るようにというのがNVIDIAの方策であるが、既に需要過多で市場が干上がっている現状を鑑みると、よほど潤沢に供給されない限り市場に出てもすぐ蒸発しそうである。問題はむしろこちらなのかもしれない。