究極の強さと美しさを求めて進化を続けるG-SHOCKの最上級ライン「MR-G」(エムアール・ジー)から、新作となる2モデルが登場した。ひとつは「MRG-B2000」がベースモデルの「MRG-B2000B-1AJR」(税込330,000円)、もうひとつは「MRG-B1000」がベースモデルの「MRG-B1000BA-1AJR」(税込308,000円)。どちらも日本の伝統色「勝色(かちいろ)」をポイントカラーとした製品だ。
今回の「G-SHOCK新作を写真で」は、前者のMRG-B2000B-1AJRをいつものように怒涛の写真点数でご紹介しよう。いざ刮目!
「着けると偉くなった気になれる」
MRG-B2000といえば、なんといっても「衝撃丸のベースモデル」としての知名度が圧倒的だ。G-SHOCKの性能と魂を極限まで追求した「衝撃丸」のディテールは、拙筆記事『G-SHOCK新作を写真で - 頂点MR-G「MRG-B2000SH」その名も「衝撃丸」』をご覧いただきたい。
今回ご紹介するMRG-B2000B-1AJRは、この衝撃丸の装飾を簡素化して、デイリーユースを意識したバージョン(衝撃丸の外装、装飾技術は素晴らしいが、さすがに日常で使う勇気は私にはない)。ただし、MR-Gの心たる「日本の伝統」や「最高峰の加工技術」は、何ら損なわれていない。それは、2014年にフルメタルケース×GPS&タフソーラーモデルとしてMR-Gが再起動、翌2015年のバーゼルスペシャル「MRG-G1000RT」が日本刀(の刃の文様)をモチーフとして以来、ブレることなく受け継がれている。
冒頭の通り、本モデルでは日本の伝統色「勝色」をポイントカラーとして採用した。「勝色」は、日本古来の濃紺色。もとは「褐色」または「搗色」と書き、「ジャパンブルー」とも呼ばれる藍染めに由来している。
褐色は、紺色よりさらに濃く暗い藍染めの色。より青みが強い「青褐(あおかつ)」は、なんと奈良時代から存在していたことが判っている。ちなみに、以前ご紹介したOCEANUSの藍染めモデルで使用された「止め紺」は、これ以上は濃くならないほど染め切った藍の色で、褐色よりさらに暗い。
この褐色を後世、武士が「勝色」と置き換えてゲンを担ぎ、鎧や甲冑に使ったのだ。働く大人は現代の武士であり、時計は鎧の一部である。ならば、ビジネスという合戦の場には、勝色を身に付けて赴きたいではないか。
ダイヤルには、衝撃丸と同じく和の伝統的文様であり、魔除けの意味も持つ「三角鱗」が並ぶ。これは、インダイヤル部に配置したソーラーセルのみで時計を動作させられるMRG-B2000だからこそ可能なデザインだ。
そのほか、扇や屏風をイメージしたダイヤル外周のカット面、日本刀の刀身の反りに倣ったというインデックスの曲率、山形カシオが誇るナノ加工技術によるベゼルの引き目加工など、見どころ満載。美しく仕上げられた針やシャープなエッジが小気味よいケース、別体式バンドも、微に入り細を穿(うが)つ完成度だ。
外装を簡素化とは書いたが、それはあくまで「重力丸に比べて」の話。おかげで価格的にも求めやすくなり、限定アイテムではなくレギュラーモデルとなったのも大きい。特に精巧なモデルのため生産に時間がかかり、タイミングによっては入荷を待つ可能性もあるが、MR-G取扱店であればまず間違いなく買えるだろう。
……その昔「いつかはクラウン」という自動車広告のキャッチコピーがあった。高度経済成長時代の高級車、トヨタのクラウンへの憧れと、手に入れた人の達成感をひとことで見事に表現した名コピーだと思う。MR-Gもこれに似ている。マイナビニュース・デジタルの林編集長は、MRG-B2000B-1AJRを「着けると偉くなった気になれる」と表現した。けだし名言である。
いつかはMR-G。あなたの腕に勝色を。