初代G-SHOCK、いわゆる「オリジン」を最新の機能と性能とともにフルメタル化した「GMW-B5000」がスマッシュヒット作となったのは記憶に新しい。

今回、フルメタル化として白羽の矢が立ったのは、G-SHOCK初のアナデジ・コンビネーションモデル「AW-500」。「針の時計は衝撃に弱い」というそれまでの常識をみごとに覆した、腕時計界のマイルストーンだ。そして誕生したのが「AWM-500」である。そのディテールと質感をたっぷりご覧いただこう。

  • このたたずまい! 手首への収まりもいい!

形こそ似ているが、実態は完全に別モノ!

ラインナップは、シルバーボディ×ブラックダイヤルの「AWM-500D-1AJF」(66,000円、以下すべて税込)、シルバーボディ×シルバーダイヤルの「AWM-500D-1A8JF」(66,000円)、ゴールドボディ×ブラックダイヤルの「AWM-500GD-9AJF」(74,800円)の3モデル。

  • 3モデルで展開されるAWM-500シリーズ

  • シルバーボディ×ブラックダイヤルの「AWM-500D-1AJF」(ケースのみIP処理)

  • シルバーボディ×シルバーダイヤルの「AWM-500D-1A8JF」(ケースのみIP処理)

  • ゴールドボディ×ブラックダイヤルの「AWM-500GD-9AJF」(ケースとバンドをIP処理)

AWM-500を見てまず目が行くのは、シンプルながら十分な存在感のケース。ケースサイズは51.8×44.5×14.2mmと、電波ソーラーとアナログ針を持つG-SHOCKの中では、それほど厚いわけではない。が、ミニマルなデザインと金属が織りなす、ちょっとレトロフューチャー(スター・ウォーズのC-3PO的)なイメージが視線を奪う。

SS(ステンレススチール)製外装は、実はトップからラグ、そしてサイドまでが一体の、カバー状の巨大なベゼルだ。このベゼルと裏側のSS製スクリューバックが、時計モジュールがセットされたセンターケースを挟み込んでいる。なお、視覚的には確認できないが、ベゼルとセンターケースの間には、緩衝材としてファインレジンがセットされている。

  • 数値を超えた存在感!

  • カバー状の巨大なベゼルがセンターケースを覆っている

スクリューバックは本モデルのオリジナル。DLC+ミラー処理されており、非常に満足度の高い仕上がり。これも元のAW-500から大きくグレードアップしたポイントだ。

  • 質感の高いスクリューバック(サンプル刻印が入っています)

センターケースはアナデジのムーブメントに加え、マルチバンド6対応電波時計の受信ユニットを組み込んだモジュールを内包している。SSは電波を跳ね返してしまうので、受信には不利な素材だ。対策としてアンテナを大型化しなければならず、センターケース内にはそのためのスペースが必要になる。

そのスペースをどうやって確保するか?

答えは「アンテナ以外を小さくする」。

針を動かすモーターやデジタル時計用のICを、最新の高密度実装技術によって小型化し、フルメタル化と電波受信を同時に実現したのだ。

なお、AWM-500の重量は175g。通常の樹脂外装のG-SHOCKが70g前後であることを考えると、2倍以上重い。そのぶん落下時の衝撃は大きくなる。特に負荷がかかるのはセンターケースとバンドの接合部だ。そこで、両者の接合部を従来の2つのラグではなく、3つのラグで衝撃を分散する技術を開発した。これはラグの裏側から確認できる。

  • 本体とバンドを3つのラグで接続することで、落下時の衝撃を分散する

マイルストーンのコンセプトを最新の技術と発想で現代的に再解釈

AWM-500のイメージソースとなったAW-500(電池駆動・電波時計なし)のサイズは55.2×47.7×14.7mm。驚くべきことに、縦、横、奥行き、すべての面でAWM-500のほうが小さいのだ。

AWM-500のケースサイズが小さい理由には「金属は膨張して見える」という事情がある。AW-500そのままのサイズで作ってしまうと、金属ならではの輝きなどが時計を大きく見せてしまうのだ。

  • 1989年発売の「AW-500」

これを加味して適切なサイズを探すことも、AWM-500のデザインにおける課題のひとつだった。開発スタッフには失礼ながら、我々ユーザーはつい「ベースモデルをただ金属に置き換えただけなんでしょ」などと思ってしまいがちだが、実際はそんな単純な話ではない。

ダイヤルにも独自の意匠が盛り込まれている。そのひとつはインデックス。元祖AW-500ではバーインデックスとアラビア数字のコンビネーションで、ダイヤルに直接プリントされていた。一方、AWM-500では金属エッジの鋭さをアピールするとともに、時計として精度の高さもイメージさせる立体バーインデックスを採用。アラビア数字によるスポーティーなイメージは一新され、シックな大人の雰囲気が強調された。

  • シャープで立体的なインデックスも新解釈要素のひとつ

ダイヤルの新たな表現にも挑戦している。OCEANUS(オシアナス)などで培った蒸着技術を応用しつつ、発電効率の高いソーラーセルを採用。高級感とソーラー駆動の利便性を両立した。特に全身シルバーの「AWM-500D-1A8JF」では、ソーラー駆動では類を見ないほど金属的なシルバーダイヤルを実現した。

  • ダイヤルとともに針(アルミ製)の表現もそれぞれ。AWM-500D-1AJFはシルバー

  • AWM-500D-1A8JFはステンレス風

  • AWM-500GD-9AJFは時針がレッド、分針がゴールド

AW-500のデザインの見どころ「ベゼルトップからバンドへとなだらかに続くライン」は、外装素材が樹脂だからこそ可能だと思われていた。が、AWM-500ではこの点も高度な金属加工技術で完全再現。複雑な3次曲線を持つラグやバンパーの切削に加え、バンド元から3コマ目までを若干のアールを帯びた専用コマとすることで、バックル方向へと美しく収束するメタルバンドを実現した。

  • ケースからバックルへと、バンドのラインがスムーズに流れていく

  • 3次曲線を採り入れ新設計されたバンドのコマ

  • バックルは、ロック解除ボタン付きの三つ折れ式無垢バックル

さらに、まるで金属の塊のような雰囲気を守りつつ、研磨を使い分けることでデザインと質感に緩急を与えている。たとえばベゼルトップには縦のヘアライン、ベゼルサイドとラグには円周のヘアライン、バンドのコマには横のヘアライン、凹部はミラー面といった具合だ。

  • 仕上げ(研磨)に変化を付けることで、変化と立体感を与えている

  • ラグ部分の円周ヘアライン

  • 各モデルの仕上げ。AWM-500のコンセプト「メタルインゴット」(金属の塊)に相応しい風貌(ふうぼう)だ

3モデルともケースはIP処理されているが(AWM-500GD-9AJFのみバンドもIP処理)、そもそもSSは傷が付きやすい素材なので、美しさを長く保つようなるべくていねいに使いたくなる。反面、傷とともに時を刻んでいく姿もまた、G-SHOCKのタフネスといえるかもしれない。私の父は職人で腕時計は傷だらけだったが、これがたまらなくカッコ良かった。腕時計にはその人の人生が宿る。

フルメタルとミニマルなデザインはファッションにも合わせやすく、針の上品な動作やダイヤル、研磨の美しさなど時計的価値も高い。マイルストーンの単なるアレンジ復刻に留まらず、そのコンセプトを最新の技術と発想で現代的に再解釈したAWM-500は、今もっとも見逃せないシリーズだ。

  • AWM-500GD-9AJFのゴールドは派手でなく、肌に馴染みながら存在感をアピールする

  • 高輝度フルオートダブルライトは、時刻を知るには十分な明るさ