コロナ禍の影響もあって最近はさまざまな除菌グッズが売れています。家族がよく触るドアのハンドルや、食事をするテーブルなど、当たり前のように室内で除菌する習慣がついている人も多いのではないでしょうか? そんななか、エアコン「霧ヶ峰」シリーズを販売している三菱電機が「除菌スプレーで起きるエアコン故障トラブル」について消費者に注意を呼びかけています。除菌スプレーの使い方によっては、エアコンが使えなくなる重大なトラブルが発生するそうです。

  • エアコンの送風口やフィルターに除菌スプレーを直接吹きかけてはいけません

東京・大阪に住んでいる男女600名を対象した三菱電機の調査によると、コロナ禍で室内での除菌スプレー散布が増えたという人は80.3%。「エアコン稼働させた状態で除菌スプレーを使用したことがある」という質問には6割以上が「ある」と答えました。さらに、17.5%は「エアコン、エアコン内部に除菌スプレーを吹きかけたことがある」と回答しています。

  • 除菌対策をする人がかなり増えています

エアコンに除菌スプレーを吹きかけると、エアコンから出てくる風がきれいになる印象があります。しかし、三菱電機によると一部の除菌スプレーには腐食性が高い製品もあり、エアコンの重要な部品を損傷させる可能性があるそうです。症状としては以下の3つ。

・腐食によって電子基板が故障。運転できなくなる。
・室温検出用など、各種センサー部が故障。正常に運転できなくなる。
・熱交換器に「アリの巣状腐食」が起こり、「冷えない」「暖まらない」などのトラブル。

耳慣れないのが「アリの巣状腐食」という単語ではないでしょうか? 上記の症状の中でも、手強いのが「アリの巣状腐食」で、ここ数年は熱交換器の交換発生件数は増加傾向にあります。

  • 「アリの巣状腐食」が原因と疑われる熱交換器の交換発生件数の推移(三菱電機調べ)

エアコンの熱交換器とは? 「アリの巣腐食」で何が起きる?

熱交換器とは、エアコンに取り込んだ空気を熱したり冷やしたりする重要なパーツ。そして、熱交換器が空気の温度をコントロールするのに必要となるのが、熱交換器内を通る「冷媒ガス」の配管です(冷媒ガスによって熱を運びます)。

除菌スプレーにはギ酸や酢酸など、金属を腐食させる成分が含まれていることがありますが、この成分が冷媒配管に付着することで、配管がゆっくりと腐食。数年かけてジワジワと腐食が進み、配管に微細な穴が貫通してしまうことがあるのです。腐食の形状がアリの巣に似ていることから「アリの巣状腐食」と呼ばれています。

  • エアコン内部で発生する「アリの巣状腐食」

腐食によって冷媒配管に穴があくと、もちろん冷媒ガスが外に逃げてしまいます。熱を運んで冷やしたり暖めたりする冷媒ガスがなくなると、エアコンで部屋を暖めたり冷やしたりといった正常な動作ができません。

  • 腐食によって穴が貫通した冷媒配管。こうなると、エアコンの冷媒ガスが漏れてしまいます

アリの巣状腐食はゆっくりと進行するため、冷媒ガスが一気に抜けることはありません。目に見えない小さな穴から徐々にガスが漏れることで、初期症状としては冷房や暖房の利きが悪くなります。電気代が高くなる原因となることも。また、熱交換器は部品サイズが大きいために、アリの巣状腐食が見つかると修理費用が高額になってしまいます。

アリの巣状腐食を防止するために

では、アリの巣状腐食を防ぐにはどうすればよいのでしょうか? 三菱電機によると、エアコンに除菌スプレーを直接吹きかけないことが重要。また、エアコンは部屋の空気を吸い込んで循環するため、エアコン運転中にはなるべく除菌スプレーを使用しないことも推奨しています。

  • エアコンに直接、除菌スプレーを吹き付けない

  • エアコンを運転している室内で除菌スプレーを使わない

エアコンに除菌スプレーをかけてしまったという場合は、冷房シーズンに窓を開けて1時間ほど冷房運転をするのがオススメとのこと。これによって熱交換器に結露水ができ、付着した成分を洗い流せる可能性があります。最近はわざと結露水を作り出して「熱交換器を水で洗う」エアコンもあるので、そのようなエアコンを使っているユーザーは「熱交換器洗浄モード」を利用してもよいかもしれません。

  • エアコンが正常に動いているかどうかのチェックポイント

ただし、三菱電機によるとユーザー自身で室内機を洗浄するのは厳禁。誤った洗浄剤や洗浄方法で樹脂部分が破損したり、水漏れなどの原因になったり、故障や発火の原因になったりすることもあるそうです。何かおかしい? と感じたら、エアコンの販売店やメーカーの修理窓口に相談してみましょう。