シスコシステムズは2月12日、カントリー デジタライゼーション アクセラレーション プログラムを通じて、政府と連携しながら日本のデジタル化促進支援を強化すると発表した。
カントリーデジタライゼーション(Country Digitalization Acceleration (CDA))とは、シスコが事業展開する国々への中長期的なコミットメントと投資を実施し、デジタル化を通じて国の課題解決や経済成長への積極的な関与と貢献を行うプログラム。
日本においては、IT人材育成、ネットワークセキュリティ、産業、行政、教育、医療などの分野で、デジタル化を支援するのプロジェクトを推進している。
先月社長に就任した シスコシステムズ 代表執行役員 社長 中川いち朗氏は、冒頭、「CDAは世界40カ国で900以上のプロジェクトを実施している。日本でもIT人材の育成、ネットワークセキュリティ、教育、医療など多くの取り組みが実施されている。ニューノーマルな時代に対応するため、デジタル化の加速が急務となっている。日本でもデジタル庁が設置されたことから、このCDAの取り組みを加速していく」と語った。
また、CDAの意義や目的について米シスコ バイス プレジデント 兼 グローバル イノベーション オフィサーガイ・ディードリック(Guy K. Diedrich)氏は、「CDAは、5年ほど前にスタートした。それは、世界各国で、デジタル化を国家的な取り組みとして実施していく流れが加速していたからだ。シスコは120カ国で業務を展開しているが、CDAは世界の40カ国の選び抜いた国で展開している。CDAのテーマはGDPの成長、雇用の創出、イノベーションのエコシステムの構築、インクルーシブな将来の実現の4つだ。とくに重要なのは、インクルーシブな世界、つまり、一人も取り残されない社会を実現することだ。現在、世界の40%の人がインターネットに接続できない。今回のパンデミックによって、その課題が鮮明になった。日本ではインクルーシブな世界の実現にしっかり取り組んでいくという姿勢があることがわかり、日本でのCDAの展開につながっている。シスコは今後もCDAへの投資を加速していくが、それが目指すのは、だれもがつながることができる世界の実現だ。なぜならそれは、基本的人権の1つだと考えるからだ」と説明した。
国内では、日本政府の政策に沿った形で、安全安心な公共インフラ、教育のデジタル化、テレワークの推進と高度化、サプライチェーン対策、新型コロナ対策・遠隔医療、規制改革とデジタル社会の6つにテーマを設定している。
安全安心な公共インフラでは、先日、アラクサラネットワークス、NECと日本の重要インフラに向けた情報セキュリティ対策における戦略的協業を発表している。
教育や医療機関向けでは、ネットワークインフラの提供や遠隔授業(医療)をサポートするコミュニケーションツール、機密情報を守るセキュリティの領域で支援する。
新たなデジタル社会の実現では、スポーツ分野でのWebexを使った観戦や選手とファンとのコミュニケーション、ローカル5Gによるリモート環境の新しい働き方の取り組みを行っていくという。
シスコシステムズ 代表執行役員 会長 鈴木和洋氏は、「日本が持続的成長をしていくためには、新しいインフラが必要だ。それは、デジタルが実装された新しい社会インフラでなければならない。その構築に向けパートナーとともに貢献していきたい」と語った。
当日は、デジタル改革担当大臣 平井卓也氏もビデオ出演し、「GIGAスクール、ローカル5G、遠隔医療などの支援は、アフターコロナを見据えたときには大きい。新型コロナによって目指す社会の姿が見えてきた。パンデミックによって、人が動けなくなったとしても経済成長していける社会モデルとはどういうものか、今後、模索していかなければならない。日本は各国と比べてDXが進んでいないことは認めなければならない。ただ、リソースはあるので、デジタル庁がマインドセットを一気に変えていけば、デジタル庁がDXの司令塔や経済成長の推進役になれる。今後、日本なりのデジタル化をどう進めていくかがテーマ。デジタルテクノロジーによって、国民の生活が変わって、どこに住んでいても選択肢が増え、みなさんの求めるものを追求しやすい社会を実現することが重要だ。DXの中核はUIだ。今回の国会に提出した法律で一番訴えているのはアクセシビリティの構築だ。すべての国民がデジタル化の恩恵を受けられるようにすることを考えれば、デザインも変わってくる。シスコさんには、今後も協力いただきたい」と挨拶した。