イーロン・マスク氏率いる米宇宙開発ベンチャーのSpaceXが通信衛星ネットワーク「Starlink」による高速インターネットサービスの予約受け付けを開始した。

SpaceXは、低軌道衛星ネットワークによって、高速で遅延の少ないインターネット接続サービスを手頃な料金で提供し、高速インターネットサービスが届いていない場所、インターネット基盤が整っていない国・地域にも接続サービスを広げようとしている。昨年10月に、10,000人以上を対象にした「Better Than Nothing」という招待制の初期ベータサービスの提供を開始。その時点でサービス品質は、50〜150Mbpsの通信速度、20〜40msのレイテンシだった。

  • Falcon 9がStarlink衛星を軌道に投入

    Falcon 9がStarlink衛星を軌道に投入する様子 (C) SpaceX

今回の予約は招待制ではなく、誰でもすぐに申し込める。ただし、サービスを展開する国・地域で、地域ごとに提供数の制限を設けており、先着順に申し込みを受け付けていく。

申し込みは、StarlinkのWebサイトでEメールアドレスと住所を入力して、その地域のサービス提供目標時期を確認。提供地域では「mid to late 2021」というように表示され、申し込む場合は99ドルの前金を支払って予約を確定させる。サービス提供予定が目標時期となっているのは、当局からの承認などSpaceXがコントロールできない様々な要因が残されているためで、サービス提供が目標より遅れたり、実現しない可能性もある。Starlinkの費用は、衛星アンテナ、Wi-Fiルーター、電源ケーブル、三脚などのハードウェアキットが499ドル。サービス料金は月額99ドルとなっている。

  • 「Starlink」のハードウェアキット

    「Starlink」のハードウェアキット (C) SpaceX

OneWeb、LeoSatなど、過去にいくつもの衛星インターネットが破綻しているが、今日のインターネット接続では満たされないニーズに応えるサービスを構築できれば、年間300億ドルの売上高も不可能ではないとSpaceXは見ている。Starlinkが持続していけるかはまだ不透明だが、マスク氏は過去にStarlinkをスピンオフさせる考えを示しており、今回も予約受け付け開始前にTwitterで質問に答える形で「キャッシュフローを合理的に予測できるようになれば、StarlinkはIPOするだろう」と述べた。