ここからは性能チェックに移りたい。まず、本機には総合ユーティリティの「Armoury Crate」にパフォーマンスのプリセットとして、動作音を静かにする「サイレント」、標準的な設定の「パフォーマンス」、CPUとGPUの性能を最大減引き出す「Turbo」が用意されている。基本ベンチに関しては、プリセットによる性能の違いも見ていきたい。
ベンチマーク: PCMark 10 / CINEBENCH R20 / 3DMark
まずは、PCの総合的な性能を測る「PCMark 10」、CGレンダリングによってCPUパワーを測る「CINEBENCH R20」、定番3Dベンチマーク「3DMark」から見ていこう。3DMarkに関しては参考までにデスクトップ版のGeForce RTX 3070、GeForce RTX 2070でのスコアも掲載する。テスト環境は以下の通りだ。
■テスト環境 | |
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CPU | Intel Core i7-10700K(8コア16スレッド) |
マザーボード | MSI MPG Z490 GAMING CARBON WIFI(Intel Z490) |
メモリ | Micron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL(DDR4-3600 8GB×2、※DDR4-2933で動作) |
グラフィックスカード | NVIDIA GeForce RTX 3070、NVIDIA GeForce RTX 2070 |
システムSSD | Corsair Force Series MP600 CSSD-F2000GBMP600[M.2(/PCI Express 4.0) x4、2TB、※PCI Express 3.0 x4で動作] |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
スコアは高い順に「Turbo」、「パフォーマンス」、「サイレント」と順当な結果となった。サイレントはCPU、GPU性能とも抑えめになるので当然の結果ではあるが、その分、低負荷時にはCPUもGPUファンも停止すると圧倒的な静音運用が可能になる。文書作成など負荷の小さな作業をするときはサイレントに切り替えるのはアリだろう。
「3DMark」の結果を見るとデスクトップ版のRTX 3070に比べてスコアは4割から6割減だ。消費電力が小さく設定され、ブーストクロックも高くはなので仕方の無いところ。その一方で、デスクトップ版のRTX 2070に対してはレイトレーシング性能を見るPort RoyalでTurboモード時だけではあるが、スコアを上回った。レイトレーシング性能を強化を図ったRTX 3000シリーズの強さがよくわかるポイントだ。
ゲームテスト: レインボーシックス シージ / フォートナイト / Apex Legends
次は、実ゲームでの性能をチェックしたい。ここからはすべてプリセットを「Turbo」に設定して測定している。まずは、人気のFPS/TPSで240Hzのリフレッシュレートが活かせるフレームレートを出せるか試して見たい。ゲームは「レインボーシックス シージ」、「フォートナイト」、「Apex Legends」を用意した。
レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能を使って測定、フォートナイトはソロプレイのリプレイデータ再生時(約4分)のフレームレートを「CapFrameX」で測定、Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート「CapFrameX」で測定している。
レインボーシックス シージは最高画質でも平均200fpsオーバー、Apex Legendsも画質を下げれば平均200fps以上と高リフレッシュレートを十分活かせるフレームレートが出ている。フォートナイトも最高画質で約100fpsのフレームレートを記録。本機ならFPS/TPSで勝ちにこだわるプレイにも十分対応できると言える。
ゲームテスト: アサシンクリード ヴァルハラ / ウォッチドッグス レギオン / サイバーパンク2077」
続いて、重量級ゲームとして「アサシンクリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「サイバーパンク2077」を見ていこう。アサシンクリード ヴァルハラとウォッチドッグス レギオンはゲーム内のベンチマーク機能で測定、サイバーパンク2077は街中の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。
注目すべきはフルHD解像度ならば、最高画質でもほぼ平均60fpsを達成していることだろう。最新の重量級ゲームが最高画質で快適にプレイできるのはうれしいところ。
続いてレイトレーシング有効時の性能をチェックしたい。レイトレーシング対応の「ウォッチドッグス レギオン」、「サイバーパンク2077」を使用した。測定方法は上記と同様だ。
さすがにレイトレーシングを有効にすると描画負荷を軽減する「DLSS」を使っても平均60fpsの達成は難しい。平均60fpsを狙うなら、さらに画質やレイトレーシング効果の軽減が必要だ。
ゲームテスト: プレイ中の動作クロックと温度の推移
最後に冷却性能を見ていこう。本機は2基のファン、5本のヒートパイプ、4つのヒートシンクを備え、4箇所の排気口から素早く熱を逃す仕組み。細かいゴミを冷却システムから取り除くセルフクリーニング設計により、長期間、安定して動作するというのが特徴だ。高負荷時は爆音というほどではないが、キーンと高めの音がやや耳に付く印象だ。
今回は、サイバーパンク2077を10分間動作させたときのCPU/GPU温度、CPU/GPUクロックをフリーソフトの「HWiNFO」で追っている。Armoury Crateのプリセットは「Turbo」だ。
GPUの温度はほぼ67℃から68℃で安定、CPUも一瞬80℃まで上がるタイミングもあるが、ほとんどが75℃以下と十分過ぎるほどの冷却性能を発揮している。これなら長時間のゲームプレイでも安心と言えるだろう。とくにGPUはキッチリと冷えている。
ゲーミングノートPCとしては薄型ながら、重量級ゲームも快適に遊べる性能があり、冷却性能も高い。Thunderbolt 4端子を備え、インタフェース面も充実。シンプルなデザインで長時間バッテリー駆動も可能なので、仕事や学業にも使いやすいと万能性が高い。これが20万円以下なのでコストパフォーマンスも悪くない。ゲーマーにも高性能PCを求める人にも安心してオススメできる1台だ。