KDDIが3月からスタートする新料金プランを発表しました。昨年(2020年)末のドコモ、ソフトバンクに続いて、大手3キャリアの新ブランドおよびその料金プランが出揃った格好です。
ドコモの「ahamo」、ソフトバンクの「SoftBank on LINE(仮称)」はどちらも20GBで2,980円、音声通話は5分間無料です。対するKDDIの新ブランド「povo」は20GBで2,480円、音声通話はオプションとなっています。
5分間無料の音声通話オプション(500円/月)を付けると2,980円になるので実質横並びですが、最近は音声通話は無料のLINE通話で事足りるという人も多く、そういう人にとっては、より安く使えるサービスということになります。
ちなみにソフトバンクの「SoftBank on LINE(仮称)」はLINEのデータ通信分がノーカウントになるしくみで、その中にはLINE通話も含まれる予定。サービスが始まったらどっちがおトクになるのか、ぜひ検証してみたいところです。
使いたいときだけ使いたい放題になる魅力
「povo」では音声通話がオプションで選べるほか、KDDIが協業するシンガポールの通信会社サークルズアジアの技術を用いて、1日ごとに使い放題オプション(200円/24時間)を“トッピング”できるしくみも採用されます。
20GBで足りなくなったときに、1GBにつき500円で追加できるのは、「ahamo」や「SoftBank on LINE(仮称)」も同様ですが、大容量通信が必要になったときだけこのオプションをオンにすれば、そもそも月末にギガを使い切らずに済むというわけです。
ちなみにオプションは月に何回でも使えるとのころ。仮に20日使った場合の金額は200円×20日=4,000円。月額料金にプラスすると6,480円になります。後ほど紹介するauの使い放題プランが月額6,580円なので、このあたりがプラン選びの分かれ目になるかもしれません。
キャリアメールはNG、いずれも「オンライン特化型」
料金だけ見ると非常に魅力的な各社の新ブランドですが、共通している特徴であり、見逃してはいけないポイントが、いずれも「オンライン特化型のサービス」だということです。
ドコモ、KDDIは専用アプリから、ソフトバンクはLINEでと手段は異なるものの、手続きやサポートなどはすべてオンラインで行うしくみで、街中の携帯電話ショップは頼れません。人件費を抑えているからこそ、安価な料金設定が実現できているのです。
つまり自分で全部できる人向けのサービスということ。キャリアメールなども使えません。逆に、今までも手続きは全部オンラインでやっていた人や、キャリアメール不要という人にとっては、効率的でおトクなサービスといえます。
KDDIはこのほか、無制限の使い放題プランとして月額6,580円の「使い放題MAX 4G」「使い放題MAX 5G」を発表。同社では現在無制限の「データMAX 4G LTE」「データMAX 5G」に、Amazon PrimeやNETFLIXなど、各種動画配信サービスをセットにしたプランを提供していますが、動画配信サービスとセットになったプランについては、3月の新料金プランの提供開始までに発表されるとのことです。
あわせてUQモバイルの料金プランも再度見直しされ、余ったギガを翌月以降に繰り越しできる「くりこしプラン」が、新たに導入されることになりました。中でも「くりこしプランS」は、3GBで1,480円とかなり安価な価格設定になっています。
UQモバイルは10月に、20GBで月額3,980円の新プランを発表。2月以降提供開始予定でした。しかしこれに武田良太総務相から「メインブランドの値下げではない」と横やりが入ったことが、各社がメインブランドの中に新ブランドを立ち上げるという、ちょっとややこしい展開につながった経緯があります。なおこの新プランは提供開始前に、「くりこしプラン」に統合されることになりました。
またこの際に武田総務相から「メインからサブへ乗り換えがしにくいのは問題」とされたことを受け、すでに4月以降MNP手数料が撤廃されることが発表されていますが、au、povo、UQモバイルの3者間も変更手数料なしに行き来できます。
キャリアの新料金プラン、横並び比較!
KDDIの発表で出揃った各社の新料金プランを横並びにしてみると、こんな感じになります。
実際には各社ともこのほかに、使った分だけ支払う小容量の階段式プランがあります。ドコモがすでに発表会で予告しているように、小容量のプランも3月の新料金の提供開始までに見直される可能性大。今は特に自宅にいるのでWi-Fiで十分という人も多いでしょうし、どの料金プランにすべきかはそちらの料金が出揃ってから検討しても遅くはないと思います。
昨年の菅義偉首相就任以降、急速に進んだ大手キャリアの料金プラン改定ですが、かなり安くはなったものの、ふたを開ければ「やっぱり3社横並び」という感は否めません。ただその中にあって、「povo」の使いたいときだけ使い放題にするというオプションはかなりユニークで、今後に期待できる取り組みだと思います。
いずれにしても、3社が揃って安価な新ブランドを打ち出したことで、第4のキャリアである楽天モバイルやMVNOは厳しい立場になったと言えるでしょう。
UQモバイルの「くりこしプランS」も小容量プランとしてはかなり安価ですし、ドコモが今後発表する小容量プランの価格次第では、MVNOがさらに追い込まれる可能性もあります。
市場競争の活性化を目指して「スマホ乗り換え相談所」まで設置しようとしている総務省が、この状況を「メインブランドが安くなったから良しとする」とは思えません。スマホの料金については、まだまだ目が離せない状況が続きそうです。