2021年は全面的にオンラインでのデジタル開催となった「CES」。ソニーは日本時間1月12日にプレスカンファレンスを実施し、映像クリエイター向けのドローン「Airpeak」の機体や、スマホで楽しめる「360 Reality Audio」のプレビューコンテンツを公開しました。
映像クリエイター向けドローン「Airpeak」の機体を初公開
プレスカンファレンスには吉田憲一郎会長 兼 社長 CEOが登壇。冒頭、2020年11月にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が全世界で発売したゲームコンソール「PlayStation 5」の好調さに触れ、ゲームや映像エンターテインメントを中心とした「遊びの限界を超えた没入体験」の拡大に貢献していることをアピールしました。
ソニーは2020年の「CES 2020」で、同社の先進的なセンシング技術や360度立体音響技術を搭載するコンセプトカー「VISION-S」を発表しています。2021年1月から欧州で試験車両による公道走行実験を開始しました。
AIロボティクスの事業領域でソニーが開発を進めるドローン「Airpeak(エアピーク)」ブランドからは、プロジェクトの第1弾製品として映像クリエイター向けの小型ドローンを発表。フルサイズミラーレスカメラα(アルファ)を機体に装着して、安定した飛行性能により上空からダイナミックなリモート撮影を可能にするドローンで、吉田氏は「エンターテインメント市場に新しい創作の価値を提供したい」と語りました。
ソニーでは2020年12月からAirpeakのプロフェッショナルサポーターを公募。Airpeakの商品化に向けた展開を本格化させています。
ここ数年間、ソニーはCESのカンファレンスでクリエイター向けの先進テクノロジーを次々と発表してきました。吉田氏は「Creativity Has No Limits(創造性に限界なし)」というコーポレートメッセージを、オンラインカンファレンスで再び強く発信しました。
立体音響技術「360 Reality Audio」のモバイル体験プレビューを公開
ソニーがCES 2021に出展するテクノロジーや製品のプレビューは、今年はオンライン版ショーケースの「Sony Square」で体験できます。展示の内容は、ソニーがリアリティ(Reality)、リアルタイム(Real-time)、リモート(Remote)を追求する「3Rテクノロジー」を中心に、コンテンツ制作やバーチャルエンターテインメント体験など全12の多岐にわたるトピックスにより構成されています。
その中の「360 Reality Audio」はソニーが独自に開発・提供する立体音場体験のための先進技術ですが、今年はCES 2021の開催に合わせて、スマホやタブレットなどにアプリを入れて360 Reality Audioの感動を手元で体験できるプレビューコンテンツが公開されました。
ソニーはTIDALやAmazon Musicなど音楽配信プラットフォームを展開するパートナーと連携して、一般コンシューマー向けに360 Reality Audioの技術を使った3Dミュージックコンテンツを体験できるサービスを各所で始めています。日本ではAmazon Music HDの一部音楽作品が、Amazonのスマートスピーカー「Echo Studio」を使って立体再生を楽しむことができますが、モバイル端末とステレオヘッドホン・イヤホンの組み合わせで、よりシンプルに体験できる360 Reality Audioのコンテンツ配信は国内初の試みとなります。
1月12日午前7時からCES 2021の開催に合わせて、「Artist Connection」アプリ上で360 Reality Audioの技術で製作されたコンテンツを配信しています。楽曲はポップシンガーのザラ・ラーソンによる『Talk About Love』のライブパフォーマンス。筆者もさっそくiPhone 12 Pro Maxにアプリを入れて、AirPods Proで視聴してみました。リアルな包囲感とカメラの視点移動に伴う音の移動感が楽しめます。
iOS/Android対応の「Artist Connection」アプリをスマホなどの端末にインストールすると、通常のステレオ対応のヘッドホン・イヤホンを使って没入感あふれる立体サラウンドが楽しめるところが360 Reality Audioの醍醐味ですが、ソニーが推奨するWH-1000XM4、WI-1000XM2など360 Reality Audio体験に最適化されたヘッドホンやイヤホンなら一段上の迫力が味わえるそうです。
ソニーでは主要音楽レーベルやストリーミングサービスとの連携を深めて、アーティストによるライブパフォーマンスの動画付き音楽配信サービスを年内に立ち上げる計画を進めています。
ソニー・ミュージックエンタテインメントはアメリカの大手通信事業社であるベライゾンとの協業により、シンガーソングライターのマディソン・ビアーによるパフォーマンスをソニーの3D制作技術によってバーチャル化。マディソンをリアルなアバターとしてCG化して、細密にレンダリングしたニューヨークのソニーホールで歌い踊る様子を再現しています。
カンファレンスでは制作作背景が公開。完成したコンテンツは、近日中にPS VRやモバイル機器、その他のストリーミングプラットフォームで配信予定です。コロナ禍の中でアーティストとファンをつなぐ最新の空間共有体験として期待を集めそうです。