2020年に5機種もの新型iPhoneを発売したアップル。売れ筋となっているのが、iPhone初の5G対応モデルであるiPhone 12シリーズ。個性豊かな4機種が勢揃いしたiPhone 12シリーズは、どの機種がどんなユーザーにおすすめなのでしょうか。新年を迎えてiPhoneの購入を検討している人のために、各iPhoneの特徴を改めて整理してみましょう。

  • 2020年秋に発売したiPhone 12シリーズは、画面サイズや装備の異なる4モデルをラインアップ

  • 2020年春に発売された第2世代のiPhone SE。手ごろな価格でロングヒットを続けています

今回のレポートで紹介するiPhoneは以下の5機種です。

機種名 画面サイズ パネル 価格(税別)
iPhone 12 Pro Max 6.7インチ 有機EL 117,800円~
iPhone 12 Pro 6.1インチ 有機EL 106,800円~
iPhone 12 6.1インチ 有機EL 85,800円~
iPhone 12 mini 5.4インチ 有機EL 74,800円~
iPhone SE(第2世代) 4.7インチ 液晶 44,800円~

最も高機能なカメラと大画面。とにかくパワフルなiPhone 12 Pro Max

iPhone 12 Pro Maxは、iPhone史上最大となる6.7インチの有機ELパネルを採用したSuper Retina XDRディスプレイと、最新のA14 Bionicチップを搭載するフラグシップです。

  • 6.7インチのSuper Retina XDRディスプレイを搭載するiPhone 12 Pro Max

iPhone 11 Proシリーズから引き継ぐトリプルレンズカメラは、日常のスナップ撮影からビジネス用途の写真・動画記録にも広く活躍します。トリプルレンズカメラを構成する望遠レンズも、iPhone史上最強の光学5倍ズーム対応。コロナ禍が落ち着いたら、旅先で風景写真を撮ってみたりと、いろいろな場面で活躍してくれそうです。

イメージセンサーを動かすことによって撮影時の手ぶれを防ぐ「センサーシフト光学式手ぶれ補正」が、Maxの広角カメラには搭載されています。筆者は、この機能に注目してMaxを購入しました。メインカメラによる動画撮影は、期待した通りとても安定しています。記事やSNS用に使える動画をiPhoneで撮れるようになり、仕事がはかどったと感じます。ただ、ひと言付け加えておくならば、iPhone 12 Proの「デュアル光学式手ぶれ補正」も十分に満足できる性能に到達していると思います。

iPhoneで撮影したDolby Vision方式のHDR動画や写真は、6.7インチの大画面を搭載するiPhone 12 Pro Maxで見ると、やはり最も真に迫る力強さが伝わってきます。アップル初のハイエンドヘッドホン「AirPods Max」や、ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro」と組み合わせて楽しめる「空間オーディオ」の没入感も、ほかのiPhoneでは到達できないレベルにあります。

  • AirPods Maxとの相性も抜群に良く、空間オーディオ対応コンテンツが迫力たっぷりの映像とサウンドにより楽しめます

画面と本体サイズがほかのiPhoneよりも大きいぶん、重さもアップしています。ただ、両手持ちスタイルを基本にすれば、手の小さな人でも操作は苦にならないと思います。画面が広くて見やすいので、初めてiPhoneを使うシニア層の方にもMaxをおすすめできます。サイズが大きいぶん、内蔵バッテリーによる連続駆動時間がほかの機種よりも長いこともMaxの特徴です。

小型でもアーティスティックな写真表現が楽しめるiPhone 12 Pro

iPhone 12 Proは、高度なカメラ機能を搭載するハンディサイズのiPhoneです。メインカメラはMaxと同じトリプルレンズ仕様。光による精度の高い測距を実現するLiDARスキャナを搭載したことも、Proシリーズの特徴です。ARコンテンツの再現性がアップするだけでなく、暗い場所で写真を撮る際のピント合わせが素速く正確にできます。暗い場所で色鮮やかなポートレート撮影ができる「ナイトポートレート」は、Proシリーズだけが備える機能です。

  • 6.1インチのiPhone 12 Pro

基本的なカメラの性能と写真・動画撮影のクオリティは、iPhone 12/iPhone 12 miniも引けを取りません。でも、Proシリーズはよりアーティスティックな方向に写真表現の幅を広げられる機能が充実しています。例えば、2020年12月に公開されたiOS 14.3から、iPhone 12 Pro/12 Pro Maxで使えるようになった「Apple ProRAW」フォーマットによる写真記録もそのひとつです。

Apple ProRAWとは、パフォーマンスの高いA14 Bionicチップの処理性能が実現する「スマートHDR 3」や「ナイトモード」などのコンピュテーショナルフォトグラフィ体験を活かしつつ、画像処理ソフト等を使ったきめ細かな加工編集とRAW現像も楽しめるアップル独自開発の技術です。

iPhone 12 Proのカメラは、真っ暗闇の自然を明るく色鮮やかな風景写真として残したり、明暗差の大きな被写体でもディティールをつぶさずに記録できるので、撮影後の画像加工も楽しみ甲斐があります。カメラアプリのフォーマット設定から「Apple ProRAW」をオンにして、カメラアプリのRAW撮影モードアイコンをタップするだけで、イメージセンサーが捉えた画像情報にコンピュテーショナルフォトグラフィによる処理を加えたApple ProRAWフォーマットのデータが写真アプリに保存されます。

  • カメラのフォーマット設定からApple ProRAWをオンに。撮影後、写真アプリのファイルには「RAW」のアイコンが表示されます

写真アプリを使うと、Apple ProRAW画像データの加工編集とRAW現像(JPEG書き出し)も簡単にできます。創意工夫を凝らしながら仕上げた“映える写真”をSNSに素早くシェアできる楽しさは、iPhone 12 Proシリーズのユーザーだけが味わえる特権です。

コスパの高さで選ぶならiPhone 12が断然おすすめ

6.1インチのiPhone 12は、ストレージ64GBのモデルが10万円以下で買える高機能な5Gスマホです。2019年に発売されたiPhone 11に比べると、ディスプレイのサイズはそのままで、本体がよりコンパクト&スリムになりました。ディスプレイは、液晶のLiquid Retina HDからDolby Vision方式のHDR映像も再現できる有機ELのSuper Retina XDRにアップグレード。映像の解像度やコントラストの表現力が大幅にアップしています。

  • Proと肩を並べるほどのパフォーマンスを備えるiPhone 12

  • iPhone 12シリーズは、すべて5G対応を実現しています

カメラもDolby Vision方式のHDR動画が撮れるようになり、iPhone 11から大きく進化しています。広角と超広角を組み合わせたデュアルレンズカメラは、さまざまな被写体がきれいに撮れます。

先に触れたiPhone 12 Proに比べるとカメラの機能に差はありますが、iPhone 12もまた全体の完成度が高いレベルにあり、とてもコストパフォーマンスの良い5Gスマホであるといえます。このあとで触れるiPhone 12 miniと“中身の性能”はほぼ同じなので、画面の見やすさや持ちやすさなど、サイズ感で好みに合う方を選べばよいでしょう。

Proシリーズのカラバリは落ち着いたシックな雰囲気ですが、iPhone 12/12 miniはビビッドな5色のバリエーションがそろっており、毎日楽しく使えそうです。

iPhone 12 miniの性能はミニじゃない。プレミアム品質の5Gスマホ

5.4インチのSuper Retina XDRディスプレイを搭載するiPhone 12 miniは、やはり片手で持ちながらサクサクと操作ができたり、ズボンのポケットに入れても目立たないサイズ感が魅力的。オールスクリーンデザインの個性も光るコンパクトな5Gスマホに仕上がっています。

  • コンパクトな5.4インチのiPhone 12 mini

最新のA14 Bionicチップのみならず、カメラもiPhone 12と同じものを搭載しており、「性能はミニじゃない」高機能なiPhoneです。筆者も使ってみて、特にモバイルゲームが快適にプレイできたり、電子ウォレットとしての取り回しがとても良かったことに満足しました。

本体はコンパクトに抑えながら、ディスプレイのサイズは第2世代のiPhone SEよりも大きい5.4インチとしています。WebやYouTubeの動画なども、フルスクリーン表示により快適に見られます。ただ、筆者はこのごろ加齢とともに視力が低下してきたので、やはり電子書籍を読む時などに画面の大きなMaxを選んでよかったと感じます。

Touch IDによる指紋認証が使えるけれど、4GオンリーなiPhone SE

第2世代のiPhone SEは、2016年に登場したiPhone 8の筐体をベースに、A13 Bionicチップを載せて高機能化を図ったスタンダードモデルです。

  • 4G LTE専用機のiPhone SE

2020年に登場したiPhone新製品のなかでは、唯一の4G LTE専用機です。ディスプレイは液晶のRetina HDであり、メインカメラがシングルレンズであることなど、iPhone 12シリーズに比べるとスペックは一段低く感じられます。ただ、現行モデルの中では唯一ホームボタンに内蔵するTouch IDで指紋認証ができるiPhoneであり、貴重な存在であるともいえます。

機能や使い方が機種によって違うAndroidスマホに比べて、iPhoneはiOSの世代が揃っていればユーザー同士で体験を共有したり、便利な使い方を教え合うことが簡単にできます。特に、離れて暮らすシニア層の家族に使い方をレクチャーしたい場合、お互いがiPhoneユーザーであればとてもスムーズに運びます。

価格重視ならiPhone SEだが、満足度で選ぶならやはりiPhone 12シリーズ

価格が圧倒的にお手ごろなiPhone SEは、シニア層の家族へのプレゼントにも最適です。ただ、ホームボタンを持たないFace ID対応のiPhoneと、ホームボタン付きのiPhone SEとの間では、操作方法に若干の違いもあります。これから家族でiPhoneを揃えるのであれば、iPhone 12シリーズで統一するのがよいかもしれません。

iPhone SEは、デザインが共通しているiPhone 8/iPhone 7用のアクセサリーが使えるところが魅力的です。一方では、iPhone 12シリーズの背面にマグネットで素速く着脱できるMagSafeアクセサリーにも、アップル純正の「レザースリーブ」やサードパーティ製のカーマウントなど、多種多様なアイテムが増えています。5Gの普及が本格的に進みそうな2021年、iPhoneを取り巻く最先端のイノベーションをいち早くキャッチして楽しみ尽くしたいならば、やはりiPhone 12シリーズがベストな選択ではないでしょうか。

  • アップル純正のMagSafe対応レザースリーブ

  • アクセサリーブランドのMOFTが発売したiPhone 12シリーズ対応の「Wallet Stand With MagSafe」。iPhone 12シリーズのスタンドとして機能するだけでなく、カードケースとしても使えます