大画面と並ぶNoteシリーズのトレードマーク「Sペン」は、今回も目玉機能の1つとして搭載されています。Sペンは精度の高いスタイラスペン。Galaxy Noteはペンで手書きできる特徴を活かしたさまざまなアプリがプリセットされています。

  • Galaxy Noteシリーズの特徴であるSペンを内蔵する

たとえばGalaxy Notesアプリには、日本語対応の手書き文字認識機能が備わっています。手帳のようにサッとメモをとって、後からデジタルで保存するのもGalaxy Noteなら手軽です。日本語認識の精度は高めですが、クセのある字などは誤って認識されるため、丁寧に書くことを心がけた方が良さそうです。

画面オフメモ機能により、ペンを抜き出して即メモを撮ることも可能です。書いた内容はNotesアプリに保存されます。

  • Sペンをサッと取り出して手早くメモを取れる

イラストの描画はGalaxy Notesはもちろん、各種のイラストレーションアプリも使えます。なかでも「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)はAndroidでは現状、Galaxyの独占配信です。本格的なペイントソフトで、パソコン版とデータを共用できるため、外出先でのスケッチ用としても役立ちます。Galaxyユーザーなら半年無料で利用できるという特典も用意されています。

  • メモのみならず、本格的なイラストの描画にも対応する

それ以外にも、AR動画に手描きイラストを付け足す機能など、遊び心のあるアプリも入っています。

ただ、筆者がSペンを体験したうえで感じたのは、Sペンの用途を“描画だけ”に限定するのはもったいない、ということでした。Note20 Ultraはタッチ操作からSペンに切り替えても軽快に反応します。両手持ちした時の操作ツールとしてブラウザーをスクロール表示したり、Lightroomアプリで細かいスライダー操作を行ったりといったシーンでも、Sペンは活躍しました。

1億800万画素のカメラを搭載

Galaxy Note20 Ultra 5Gは、カメラもハイスペックです。メインの広角カメラは画素数が108メガピクセル、すなわち「1億800万画素」。春に発売されたGalaxy S20 Ultraと同様に、スマホ向けセンサーの中ではもっとも高解像度です。

  • 背面カメラは1億800万画素のカメラを含むマルチカメラとなる

広角カメラの画角は画角79度でF値はF1.8。位相差AFセンサーと光学式手ブレ補正を備えています。加えて、超広角カメラ(1,200万画素、F2.2)と望遠カメラ(1,200万画素、F3.0)を搭載。フラッシュのほかにレーザーAFを搭載しています。

背面カメラは、高画素センサーのトリプルカメラの合わせ技で、最大50倍ズームを実現しています。処理性能の高さはここでも発揮されており、画角をダイナミックに切り替えてもきちんと追従します。

高解像度な1億画素センサーは明るい環境では細部まで描写できるポテンシャルを備えています。ただし、センサーサイズは1/1.33インチとそこまで大きくないため、おもにある程度の明るさが確保できる屋外環境での撮影に適しています。試用した限りでは、室内でも解像感の高い写真を撮ることができました。

  • トリミングしても精細感の高い画像が得られる

一方、暗い環境では複数の画素を束ねて1つの大きな画素として扱う技術により、薄暗い環境でも光量を取り込み、明るい撮影できます。居酒屋のような薄暗い室内でも明るく撮れます。ただ、暗い室内では手ブレを完全に抑えることはできず、しっかり残したいなら手持ちで1秒ほどこらえる必要があるのは他のスマホと変わりません。

総じて優秀なカメラで、色再現も適切です。傾向として青系色や緑系色が多少強めに発色し、シャッキリとした画作りになることが多めです。また、暗い室内で料理のような小さいものを撮るとピントが合う領域が狭く、渦を巻くような独特なボケが現れます。

  • 広角カメラで撮影

  • 超広角カメラで撮影

  • 5倍ズームで撮影

  • 50倍ズームで撮影

  • 1億画素モードでの撮影

  • 通常モードで撮影

  • レンガの表面の質感も忠実に再現する

  • 室内の料理もおいしそうに撮れる

PCライクに使える「DeXモード」

Galaxyならではといえるのが、テレビやモニターにつないでパソコン風に使える「DeXモード」です。接続は有線(HDMI)とワイヤレス(Miracast)の両方に対応します。

  • DeXモードでディスプレイに表示したところ

もちろん、Windowsが起動できるわけではなく、あくまでAndroidをパソコン風の画面で動かしているだけですが、ウインドウ表示で複数アプリを起動できます。DeXモード利用中はGalaxy Noteがトラックパッドになるため、別途マウスを用意しなくても構いません。Sペンを使えば指よりもスムーズに操作できます。

  • DeXモード中は本体をトラックパッドとして使える

パワフルなGalaxy Note20 Ultra 5Gといえども、ワイヤレス接続のDeXモードは負荷が高く、接続の仕組み上、レスポンスはあまり良くありません。書類などを大画面でチェックするといった用途に限られるでしょう。本格的に使いこなすなら、有線接続をオススメします。

「大画面」は最大の強みであり弱点でもある

性能と機能の充実度を見れば、Galaxy Note20 Ultra 5Gに目立った弱点はありません。まさにUltraの名にふさわしい、あらゆるシーンに対応できるスマホです。ただし、このスマホの最大の強みである「大画面」は、普段使いをこの1台でこなす上では弱点ともなり得ます。

弱点とは、この狭額縁が進み過ぎていることです。率直にいって、片手持ちで“ごろ寝使い”をするには不向きです。「戻るボタン」をAndroid 10標準のジェスチャー操作にしている場合、画面枠に持てる部分がないため、誤反応してしまいます。側面を使わない操作体系にすると、今度は戻るボタンの位置まで腕を動かすのが負担となります。必ず両手持ちで使い、寝ながらだらだらSNSを見ようとはしないという割り切りは必要です。

Galaxy Note20 Ultra 5Gは、機能的なビジネスツールや創造的なクリエイティブツールとしての横顔を持つ、まさに“手帳”のようなスマホです。あくまで両手持ちで使う前提なら、Galaxy Note20 Ultra 5Gの操作性はすこぶる快適です。精密なペン操作も併用できるため、効率的な書類の処理や、クリエイティブな作業にも役立ちます。ビジネスでもプライベートでもスマホをバリバリ活用する人には、良い相棒となってくれることでしょう。

  • ビジネスでもプライベートでもSペンが活躍する

Galaxy Note20 Ultra 5G 5G SCG06のおもな仕様

  • OS: Android 10
  • CPU: Snapdrago 865 Plus(オクタコア、3.0GHz×1/2.4GHz×3/1.8GHz×4)
  • 内蔵メモリ: 12GB
  • ストレージ: 256GB
  • 外部ストレージ: microSDXC(最大1TB)
  • サイズ: 約165×77×8.1mm
  • 重量: 約208g
  • ディスプレイ: 約6.9インチ 有機EL(3,088×1,440ドット)、120Hz駆動タイプ
  • メインカメラ: 約1億800万画素(標準)+1,200万画素(超広角)+1,200万画素(望遠)
  • インカメラ: 約1,000万画素
  • Wi-Fi: Wi-Fi 6(IEEE802.11a / b / g / n / ac / ax)
  • バッテリー容量: 4,500mAh
  • 電池持ち時間(5G):約115時間
  • 電池持ち時間(4G LTEエリア):約115時間
  • モバイル通信:5G(sub6、ミリ波)/4G LTE/WiMAX 2+
  • 通信速度(5G): 受信最大4.1Gbps/送信最大481Mbps
  • 防水/防塵: ○/○
  • 生体認証: ○(指紋認証)
  • ワンセグ/フルセグ: ―/―
  • おサイフケータイ: ○(NFC/FeliCa搭載)
  • 接続端子: USB Type-C
  • カラーバリエーション:ミスティック ブロンズ、ミスティック ブラック