1999年から毎年12月に幕張メッセで開催されてきた「ジャンプフェスタ」が、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、初めてのオンライン開催に踏み切った。開催日は、12月19日と20日の2日間。20万人近い動員を誇るマンガの祭典は、オンラインではどのような形で開催されたのか。その様子をレポートする。

「ジャンプフェスタ2021」はバーチャルな「ジャンフェス島」で開催

「ジャンプフェスタ2021」に参加するには、まずスマホに「ジャンプフェスタ2021 ONLINE」アプリをインストールする。アプリを起動してプレイヤー名を記入すると、「カプセルキャラタワー」という巨大なカプセルトイマシンのような建物からカプセルが転がり落ちてきて、そこからプレイヤーが操作する「アバター」が出てきた。

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    アバターはジャンプ作家が描き下ろしているそう。豪華!!

「ジャンプフェスタ2021 ONLINE」アプリでは、アバターを動かして「ジャンプフェスタ2021」のバーチャル会場である「ジャンフェス島」内を遊び回ることができる、という作りになっているのだが、普段ゲームをたしなまない筆者は、操作に慣れるので精一杯。果たしてオンラインジャンフェスを楽しみきれるのだろうか。若干の不安を抱えつつも、まずはジャンフェス島を探索してみることにした。

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    頭の上に「たぬき丸」とあるのが筆者のアバター。キャラが密集しているところに落下して、身動きが取れなくなってしまい、開始早々パニック!

「ジャンフェス島」では、画面左下のスティックコントローラーでアバターを操作。画面右のボタンでジャンプする。中央の3つ並んだボタンは、左からダンスモーション、ほかのプレイヤーとのチャット、スタンプ。ダンスモーションはくねくねとよくわからないダンスをするだけだが、謎にテンションがあがる。チャット機能は友だちと参加していたら楽しく使えたんだろうなーと思った(小並感)。スタンプについては後述する。

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    なんとか抜け出して、いざ、ジャンフェス島探索の旅へ!

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    ジャンフェス島の全貌はこんな感じ

島内をうろちょろしていると、ジャンフェスの楽しみ方が見えてきた。ジャンプ作品のデザインが描かれたコインを集めたり、ジャンプ作品にちなんだフォトスポットでスクショ撮影をしたり、ファンにはたまらないお楽しみ要素が至るところにちりばめられている。

フォトスポットでは、うまくアバターを操作すれば、シーンに入りこんだかのようなスクショが撮れる。推し作品のパネルに出合ったときの高ぶりはひとしおだ。

島中にちらばるコインを集めるのも地味に楽しくて、気付けば20分くらいコインを追って島内を走り回っていた。ゲームで延々と木の実を集めたり、ミニゲームで遊び続けたりしがちな人はコイン集めだけでも夢中になってしまうだろう。

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    『るろうに剣心―明治剣客浪漫譚・北海道編―』フォトスポットでパシャリ

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    フォトスポットでスクショ撮影するとコインがもらえた

なお、集めたコインを使うと、カプセルキャラタワーで新しいアバターをゲットしたり、アトラクション(ミニゲーム)をプレイしたりできる。試しに新たなアバターを手に入れるべくガチャを回してみた。そして先ほどのマスク隊員からジョブチェンジ!

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    新しいアバターをゲットしてみた

アトラクションは全部で3つ。かめはめ波を打って岩を砕いたり、エクソシストになって悪魔を退治したり、麦わらの一味と大なわとびをしたりと、“ジャンプみ”にあふれている。ただ、ワンピースの大なわとびだけは、なんで大なわとびなんだろうと思った。ワンピースってそういうシーンあったっけ?

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    ワンピースのアトラクションの様子。タイミングを合わせて画面をタップするだけのシンプルなゲームだけど、意外と難しくてムキになってしまう

ミニゲームに勝つと、マンガっぽい効果が出るスタンプがもらえるのだが、このスタンプの使いどころがイマイチよくわからなかった……。効果を出しても1人。咳をしても1人、みたいな侘しさがありました。友達と一緒にプレイしていたら、スタンプもきっと楽しめたのだろう。

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    「神…」と思っても1人

島内の名所として、「ジャンプ原画ミュージアム」も見逃せない。ここでは、約120作品・合計約240点の原画・サインを展示。このようなスポットは、リアルイベントだと混み合いがちなので、人に気をつかわず、心ゆくまで原画鑑賞できるのはありがたい。足も疲れない。

しかも、特設ブース「LAYER EXHIBITION」では、『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』『ドラゴンボール超』『憂国のモリアーティ』の計4作品の原画を、デジタルならではの見せ方で展示していた。

また、島内にはジャンプ作品の一部が無料公開されている「ゼブラック図書館」も。ほぼ全巻が公開されていた『BLEACH』に手を出さないよう自制するのに一苦労した(読み始めると余裕で週末が溶けてしまい、仕事が進まないため)。

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    原画ミュージアムの内部。1枚の絵を複数レイヤーに分けて鑑賞するというデジタルならではの表現も

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    ゼブラック図書館外観。屋根がジャンプ!

ほかにも、建物の入り口が企業ブースならぬ企業特設ページや、オリジナルグッズを販売するECサイト「ジャンフェスストア」にリンクしていて、動画配信や買い物が楽しめるようになっていた。物販で並ばなくて済むのは、かなりうれしい。

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    映画やBlu-ray/DVDの広告が大きく貼り出されている。本当にこんな島があればいいのに……

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    必殺技の決めコマを集めた「必殺技ストリート」は迫力満点。本当にこんな島があればい(ry

そして最大の目玉が、特設ステージ「ジャンプスタジオ」「ジャンプスーパーステージ」「ジャンプアミューズメン塔」から配信される動画LIVE。『Dr.STONE』や『僕のヒーローアカデミア』『鬼滅の刃』に『銀魂』といった人気アニメ化作品の声優陣によるトークショーや、マンガに詳しい麒麟・川島明さんによる推し作品解説などが行われた。さらに実写映画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-』の枠には剣心役の俳優・佐藤健さんが登場。豪華過ぎる出演者に「神…」とつぶやくことしかできなかったぜ……!

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    『僕のヒーローアカデミア』ジャンプスーパーステージ。プルス・ウルトラー!

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    12月19日の「僕のヒーローアカデミア PLUS ULTRAパレード」

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    20日にの「ONE PIECE ライド」

現場の熱気を知る人からすると、ややさびしい部分があるのかもしれないが、ジャンフェス初参加勢からすると、十分すぎるほど楽しかった。欲を言うなら、一緒にスタンプを楽しめる友達がほしかった。

2021年はリアルかオンライン、どちらの開催になるのだろう。もしかしたら両方での開催になって、以前よりパワーアップしたイベントになるのかもしれない。

どちらにせよ、今回のオンライン開催を体験して、どんなに厳しい状況も「友情、努力、勝利」の方程式でのりこえていく、ジャンプ魂を見た気がする。

なお、「ジャンプフェスタ2021 ONLINE」アプリは、フィナーレ演出を含め、12月27日まで、引き続き体験可能だという。気になる人は、ジャンフェス島へGOだ。

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