宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月15日、12月6日に小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に送り届けた再突入カプセル内のサンプルコンテナから採取したガスが、小惑星「Ryugu(リュウグウ)」由来のものであることを確認したと発表した。

再突入カプセルは12月6日にオーストラリア・ウーメラ砂漠に着地した後、翌12月7日に現地本部のQuick Look Facility(QLF)にてサンプルコンテナ内から採取されたガスの質量分析を実施していた。

その際、地球の大気成分とは異なることが示唆されていたが、その詳細確認のためにJAXA相模原キャンパス地球外試料キュレーションセンターにて再度、同様の分析を12月10日から11日にかけて実施。その結果、サンプルコンテナ内のガスはリュウグウ由来のものであるとの判断に至ったという。

JAXAでは、今回、リュウグウ由来と判断した根拠は以下の3点によるものとしている。

  1. 地球外試料キュレーションセンターでの分析結果が、豪州ウーメラ現地本部で行ったガスの分析結果と同じであったこと
  2. サンプルコンテナの状態は、アルミニウムメタルシールによる封止が設計どおり行われており、地球大気の混入がミッションでの許容レベルより十分低く抑えられたこと
  3. サンプルコンテナ内では、豪州でガスを回収した後も同じ成分のガスが発生していることが相模原キャンパスで確認できたことから、採取されたガスはサンプルの脱ガスに起因するものと考えられること

JAXAによると、地球圏外から気体状態の物質のサンプルリターンは世界で初めてだという。すでにサンプルコンテナのサンプルキャッチャー(サンプルが格納される容器)の入り口に黒い砂粒上のサンプルが存在していることも確認しており、JAXAでは、カプセルがしっかりと密閉された状態を保ったまま、地球に送り届けられた結果としている。

なお、JAXAでは引き続き、サンプルコンテナの開封作業を継続していくとともに、採取したガスについての分子組成や同位体組成の詳細な分析を初期分析チームにて行っていく予定だという。

  • はやぶさ2

    サンプルコンテナの構造 (C)JAXA

  • はやぶさ2

    オーストラリア・ウーメラの現地本部に設置されたガスを分析するための装置 (C)JAXA