富士通は11月24日、東京都立中央図書館と共同で、図書館の利用者サービス向上に向け、図書館職員の問い合わせ対応業務にAIチャットボットを活用した実証実験を12月1日から一般利用者を対象に実施すると発表した。

都立中央図書館は、蔵書数約210万冊を有する公立図書館。来館者、非来館者を問わず、都民や利用者に高度かつ高品質な情報サービスを提供し、利用者の多様な学習活動や調査研究活動を支援しており、特に利用者の調べたいことや探している資料などに関する質問に対し、必要な資料や情報を案内するレファレンスサービスについては、デジタル時代に見合ったサービスの向上が課題となっている。

課題解決に向け、同社は富士通JapanとともにAIチャットボットを活用し、LINEアプリ上で利用者からの問い合わせに24時間自動応答する新たなサービスを構築しており、利用者からの問い合わせへの対応スピード向上や受付時間の拡張など、利用者サービス向上における有効性を検証する。

同社は実証実験向けに、AIチャットボット用の応対データを整備し、LINEアプリ上でAIチャットボットが利用者からの調べもの相談や問い合わせに自動応答する、図書館専用のAIチャットボットサービスを構築。

図書館利用者は自身のスマートフォンにインストールされているLINEアプリから、都立中央図書館の実証実験用アカウントを友だち追加するだけで、学習調査、研究にかかわる調べもの相談や、図書館利用に関する問い合わせをトークルーム上で行うことが可能になる。

  • 左から簡易メニュー画面、トーク内容図

    左から簡易メニュー画面、トーク内容図

実証実験を通じて、AIチャットボットの活用が図書館にもたらす利用者サービス向上への効果を検証するほか、今後は図書館をはじめとしたさまざまな施設のニューノーマルな利用形態への応用を検討していく。

実証実験は12月1日~同25日まで、実証内容と実証を支えるシステムとして図書館利用者から寄せられる調べもの相談に応対するレファレンスサービスや、図書館利用に関する問い合わせに回答するインフォメーションサービスを24時間提供できるAIチャットボットサービスとして構築。

また、利用者はLINEのトークルームに配置されたボタンをワンタッチするだけで都立中央図書館様が公開しているさまざまな情報へ簡単にアクセスできるほか、チャット入力欄に質問を入力することでいつでも必要な情報を入手可能としている。

レファレンスサービスは、都立中央図書館が提供するレファレンスサービスの中で「東京」というキーワードに関する質問のみを実証実験の対象として選定し、AIチャットボット用の応対データを整備。LINEのトークルーム上で利用者からの調べもの相談に対して、AIチャットボットが相談内容に応じた資料や調べ方を回答する。

レファレンスサービスの品質を確保するため、AIチャットボットによる自動応答の結果に利用者が満足できなかった場合は図書館の専門職員による有人チャット対応へとシームレスに切り替える、図書館では全国初の仕組みを実装しているという。

インフォメーションサービスは、利用者から問い合わせの多い情報を選定しAIチャットボット用の応対データを整備し、AIチャットボットが応対データをもとに24時間無休の問い合わせに対応。特に問い合わせが多い図書館情報については、ワンタッチでアクセス可能なメニューボタンを用意することで利便性を向上し、都立中央図書館の新型コロナウイルス感染対策に関する問い合わせにも対応する。