NECと産業技術総合研究所(産総研)は11月24日、両者が開発した「AIシミュレーション融合技術」を用いて、生産ラインの事前評価と運用の効率化を行う実証実験を、日産自動車と共同で実施したと発表した。

同技術は、シミュレーションを短時間で自動構築し、少ないデータから最適な意思決定を支援する。同実証実験で、日産自動車の実際の生産ラインで利用している生産シミュレーターを活用し、精度の高い結果を得られるパラメーターの推定を行った結果、新規生産ラインの早期構築や既存生産ラインでの迅速な計画変更により機会損失の削減・在庫削減が可能になること、また、精緻な予測による原価見積もりの精緻化・追加投資の削減が可能になることが確認できたという。

  • 同実証実験 成果

具体的には、これまでシミュレーターに投入するパラメーター設定などに人手で約1カ月かかっていた作業を約1日で達成でき、シミュレーションでの生産効率の予測誤差が、約20%から約3%に改善した。

さらに、最終工程のスループット約1カ月分のデータという少ないデータで生産ライン計画の作成や精度の高い予測を実現したとしている。両者によると、同技術を自動車メーカーに適用した場合、数100億円規模の効果があると推定されるとのことだ。

なお同技術は、自動車メーカーに加え、重工業・化学・半導体・精密機器などの製造事業者一般、さらに、物流事業者などに適用可能だ。また同技術は、BIRD INITIATIVEを通じて2020年11月からコンサルティングサービスとソフトウェアプロトタイプ開発サービスを提供開始するとしている。