ガートナー(日本法人)は11月12日、企業や組織にとって重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」の2021年版を発表した。
同社は、企業や組織にとって重要なインパクトを持つトレンドを、「戦略的テクノロジ・トレンド」と呼んでいる。このたび発表した、2021年に注目すべき戦略的テクノロジ・トレンドは、以下の通り。
- 振る舞いのインターネット(IoB: Internet of Behaviors)
- トータル・エクスペリエンス(TX: Total Experience)
- プライバシー強化コンピュテーション
- 分散クラウド
- 場所を問わないオペレーション
- サイバーセキュリティ・メッシュ
- インテリジェント・コンポーザブル・ビジネス
- AIエンジニアリング
- ハイパーオートメーション
「振る舞いのインターネット」とは、顔認識、位置情報の追跡、ビッグ・データといった、個人に焦点を絞ったテクノロジを組み合わせ、結果として生じたデータを、関連する人の振る舞い (現金での購入、デバイスの使用など) に結び付けるもので、ガードナーは2025年末までに、世界人口の半分以上が少なくとも1つのIoBプログラムの対象になると予測している。
「トータル・エクスペリエンス」は、マルチエクスペリエンスを、カスタマー・エクスペリエンス、従業員エクスペリエンス、ユーザー・エクスペリエンスと結び付ける戦略。ガードナーは今後3年間で、TXを提供する組織は競合他社を上回る主要な満足度評価指標を達成すると予測している。
「プライバシー強化コンピュテーション」は、機密性やプライバシーを保持しながら使用中のデータを保護するもの。ガードナーは2025年までに、大企業の半数は、信頼されていない環境やマルチパーティ・データ・アナリティクスのユースケースにおけるデータ処理のためにプライバシー強化コンピュテーションを実装するとみている。
「分散クラウド」とは、パブリック・クラウド・サービスをさまざまな物理的な場所に分散させ、サービスのオペレーション、ガバナンス、進化に対する責任を引き続き負うというもの。2025年までにクラウド・サービス・プラットフォームの大部分は、ニーズ発生地点で実行される何らかの分散クラウド・サービスを提供すると、ガードナーは予測している。
「場所を問わないオペレーション」は、あらゆる場所に存在する顧客をサポートし、従業員がどこでも仕事ができるようにビジネス・サービスの展開を管理するように設計されたITオペレーティング・モデルを指す。ガードナーは、2023年末までに企業の40%は、場所を問わないオペレーションを適用し、仮想世界と物理世界を融合させた、最適化されたカスタマー/従業員エクスペリエンスを提供するようになると予測している。
また、「サイバーセキュリティ・メッシュ」により、資産や人がどこに存在するかを問わず、誰もがあらゆるデジタル資産にセキュアにアクセスできるようになり、「インテリジェント・コンポーザブル・ビジネス」は、再設計されたデジタル・ビジネス・モーメント、新たなビジネスモデル、自律的なオペレーション、新しいプロダクト/サービス/チャネルを実現する道を開くとしている。
さらに、「AIエンジニアリング戦略」は、AIへの投資から最大限の価値を引き出しながら、AIモデルのパフォーマンス、拡張性、解釈可能性、信頼性を向上させるとしている。
「ハイパーオートメーション」は、企業が規律をもって、できる限り多くの承認されたビジネス・プロセスとITプロセスを迅速に特定・精査し、自動化するアプローチ。アナリストでバイス プレジデントのブライアン・バーク氏は、「ハイパーオートメーションは今や不可避であり、後戻りすることはできません。自動化できるものや自動化すべきものは、すべて自動化されるでしょう」と述べている。