Amazonはスマートスピーカー「Echo」シリーズ初の車載デバイス「Amazon Echo Auto」(以下、Echo Auto)を9月25日に発表、9月30日より販売開始しました。価格は税込4,980円です。米国では2018年から招待制で販売されており、ようやく日本市場でも正式販売されたことになります。

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    Amazon Echo Auto

筆者は車にカーナビ専用機は設置しておらず、普段はスマホを車載スタンドに装着して、カーナビを含めた音声アシスタントとして利用しています。そんなユーザーにとってEcho Autoを使うメリットはあるのでしょうか? 今回はそのような視点からレビューしたいと思います。

音声サービス「Alexa」を利用する車載専用デバイス

Echo AutoはiOS/Androidスマホにインストールした「Alexa」アプリを経由してインターネットに接続し、音声サービス「Alexa」を利用する車載専用デバイスです。ほかのEchoシリーズはすべてWi-Fi経由でインターネットに接続しますが、Echo Autoには無線LAN機能は用意されていません。

プロセッサーは「Mediatek MT7697」と、音響的に厳しい環境で高精度の音声認識を可能にする「Intel Dual DSP with Inference Engine」を搭載。メモリ、ストレージ容量などは製品公式サイトには公開されていません。

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    Echo Autoの製品内容。本体とエアベントマウント、車載電源アダプタ、3.5mm AUXケーブル(長さ1m)、micro USBケーブル(1m)、クイックスタートガイド、「試してみよう!」カードが同梱されている

本製品の特徴的な装備が8つの「アレイマイク」。このアレイマイクは車内の音響特性を考慮して設計されており、カーオーディオからの音楽、エアコンの音、走行中の騒音などのなかでも、ユーザーが話す声をスムーズに認識すると謳われています。

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    本体上面。左がマイクオン/オフボタン、右がアクションボタン。小さな8つの穴がアレイマイク

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    本体前面(上)にはステータスを示すライトバーを内蔵。下は本体背面

本体サイズは85×47×13.28mm(幅×奥行き×高さ)、重さは45g。本体上部にはアクションボタンとマイクオン/オフボタン、右側面には電源端子(micro USB)と3.5mmオーディオ出力端子が用意されています。

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    本体の右側面(上)には、電源用のmicro USB端子と3.5mmオーディオ出力端子がある

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    本体裏面。Echo Autoエアベントマウントとは磁石で固定する。ダッシュボードに置くためのゴム足も用意

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    Echo Autoエアベントマウント。車の送風口にEcho Autoを装着するためのマウントだ

車載デバイスとしては耐熱性能が気になりますが、動作温度は-20度~55度、保管温度は-40度~85度とされています。「JAFユーザーテスト」によれば、気温35度のなか午後12時から4時間車両を駐車した際に、ダッシュボードは最高79度に達したとのこと。一応Echo Autoはスペック上耐えられるはずですが、炎天下で長時間駐車する際にはサンシェードなどを用意したほうがよさそうです。

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    車載電源アダプタ。Echo Autoとスマホに同時に電源供給できるようにUSB Type-A端子がふたつ用意されている

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    電源用のmicro USBケーブル(長さ1m)。車内中央のシガーソケットから車内左右の送風口まで配線できる、十分な長さがある

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    3.5mm AUXケーブル(長さ1m)。カーオーディオにBluetooth接続機能が用意されていない場合に、このケーブルでつなぐ

マウントは送風口に適合しているか? ココがセットアップの最大の難関

Echo Autoの取り付けは難しくはありません。Echo Autoエアベントマウントが送風口に適合していない可能性はありますが、その場合は両面テープでダッシュボードに固定してもよいでしょう。

ちなみに筆者が乗っている「スイフトスポーツ」では中央の送風口は非対応でしたが、左右の送風口に取り付けられました。micro USBケーブルの長さが心配でしたが、まるで測ったかのようにピッタリの長さです。

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    送風口にEcho Autoエアベントマウントを取り付けてから、Echo Autoを装着する

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    筆者が乗っている「スイフトスポーツ」の中央の送風口には写真のような厚みがあり、湾曲しているのでEcho Autoエアベントマウントを装着できない

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    車載電源アダプタをシガーソケットに挿入し、micro USBケーブルを挿し込む

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    USBケーブルのmicro USB端子側をEcho Autoにつなげる

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    今回はmicro USBケーブルはハンドルの上に回した

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    エンジンをかけるとEcho Autoが起動し、オレンジ色のライトが点灯。これでハードウェアの設置は完了だ

ソフトウェアのセットアップについては、すでにEchoシリーズを使っているのならIDやパスワードを入力する必要はありません。「Echo」アプリの「デバイス」タブから右上の「+」アイコンをタップし、「デバイスを追加」→「Amazon Echo」→「Echo Auto」と選択したあとは、画面の指示に従えばセットアップは完了します。

注意点としては、カーオーディオとBluetooth経由で接続する場合、ペアリングの設定方法を事前に確認しておくぐらいです。ハードウェアとソフトウェアの設定を合わせて、大体10分もあれば作業は完了します。

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    「Alexa」アプリからEcho Autoを登録する。すでにEchoシリーズを利用しているのなら、IDやパスワードの入力は不要。カーオーディオのBluetoothペアリングの設定方法を確認しておけば、特に設定で手間取ることはない

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    デバイスのラインナップの中からEcho Auto(中央)を選ぶ

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    カーオーディオのBluetooth機能の有無を聞かれたら、どちらかを選ぶ

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    セットアップ完了

実際にEcho Autoを使ってみた感想は?

Echo AutoはほかのEchoシリーズとできることに違いはありません。一部のAlexaスキルを除いて、Echoシリーズのほぼ全機能を車内で活用できるわけですが、逆に言うと車に特化した機能が搭載されているわけではありません。エアコンだけでも操作したいところですが、車両独自の装備を音声操作する機能は車メーカーが実装することになるでしょう。

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    Echo Autoに話しかけるとライトバーが青く点灯します

音声認識の精度については車の静粛性にもよると思いますが、時速100kmで走行中に音楽を再生しながら普通の声量でEcho Autoに話しかけても、問題なく認識しました。時速60kmで窓を全開にしたときは声を張る必要がありましたが、こちらもなんとか認識。8つのアレイマイクを搭載しているだけに、たしかに騒音に強いマイクだと思います。

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    騒音が大きいときは、Echo Auto本体のアクションボタンを押せば「アレクサ」というウェイクワードを省略できる。このときは音声コマンドを認識できる可能性は低いので、素直に騒音が治まってから音声入力したほうが無難だ

ただ、筆者は「iPhone 11 Pro Max」を使っていますが、ほぼ同じ声量で「Siri」が使えます。Echo Autoはエントリークラスのスマホよりはマイク性能が高いでしょうが、フラッグシップスマホと比較すると大きな差はないと感じました。

Echo Autoとスマホアプリの同時利用はまったく問題ありません。今回はiPhoneと組み合わせて試用しましたが、Echo AutoでAmazon Musicの音楽を再生していても、iPhoneのカーナビアプリ「Yahoo! カーナビ」の音声案内が途切れることはありませんでした。また、Echo AutoでAmazon Musicの音楽を再生中に、iPhoneのApple Musicで音楽を再生すれば自動的に切り替わります。もちろんAlexaとSiriを交互に利用することもできます。

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    iPhoneのカーナビの案内と、Echo Autoの音楽は同時に再生される

スマホに加えてEcho Autoを設置するメリットはあるのか?

「スマホをカーオーディオに接続した車にEcho Autoを設置するメリットはあるのか」という問いに対する答えは、メインで使っている音声アシスタントとスマートスピーカー次第です。「Siri」と「HomePod」、「Googleアシスタント」と「Google Nest」を使っているのなら、Echo Autoを導入するメリットは少ないと思います。

しかし、家でEchoシリーズを利用しているのなら話は別です。iPhoneでもAndroidでも「アレクサ」のウェイクワードは「Alexa」アプリを起動していないと利用できません(Androidではアシスタントに「Amazon Alexa」を設定可能ですが、ウェイクワードは利用できません)。スマホでどのアプリを利用していても「アレクサ」のウェイクワードを使えるEcho Autoは、この一点だけでも導入する価値があると言えます。