IDC Japanは10月21日、国内ハイブリッドクラウドインフラストラクチャ利用動向調査結果を発表した。同調査では、国内企業/組織におけるITインフラ導入の意思決定やITインフラ導入のプロセスに関与する回答者を対象としたアンケート調査を2020年7月に実施し、505人から有効回答を得た。

ITインフラ投資の評価基準では「業務スピードの向上」「システム利用者の満足度向上」「システムのサービスレベルの向上」に加え、「売上拡大への貢献」「新規ビジネスの創出」といったビジネス価値実現への貢献も上位に入っており、これらは年々上昇する傾向にある。

  • ITインフラ投資の評価基準の上位

    ITインフラ投資の評価基準の上位

ITインフラがデジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤となり、ビジネス変革を牽引する役割を担うことへの期待が高まってきていると言え、DXが企業戦略と全体的/長期的に連動する回答者ではDXのITインフラとしてプライベートクラウドのほか、パブリッククラウドサービスの活用が進んでいるという。また、DXの推進に伴いITインフラのSoftware-Defined化や仮想化への投資が増加している。

今後、利用を増やすITインフラとしては「パブリッククラウドサービス」「プライベートクラウドサービス」「オンプレミスプライベートクラウド」が上位を占め、クラウドサービスの利用に加え、オンプレミスITインフラのクラウド化を進める意向も高い調査結果となっている。

なお、パブリッククラウドサービスからオンプレミスやプライベートクラウドに移行した実績や、2年以内の移行予定を有する回答者はそれぞれ85%を超え、オンプレミス回帰の傾向が鮮明となっており、理由としてはセキュリティの向上、データやアプリケーションの連携、管理の一元化、パフォーマンスやサービスレベルの向上が上位となった。

複数のクラウドを統合的に管理するハイブリッドクラウドを実現する回答者の割合は、現在の4.8%から2年後には13.0%に拡大する見込みであり、複数のクラウドを使い分ける用途は現在ではディザスタリカバリー(DR)、バックアップ、アーカイブ、本番環境の移行、期間限定での利用の割合が高い結果となっている。

今後は、パブリッククラウドの新技術とオンプレミスの連携や、アプリケーションに応じて最適なITインフラを使い分ける割合が高まり、より高度な活用が進む見込みだという。