大学生に募集をかけて「広報部」を設立

――あらたに「シャドウバース大学生リーグ広報部」を設立されたとのことですが、大会専門の広報部を作った理由を教えてください。

川上氏:大学生リーグについては、現状のように我々Cygamesが運営するのではなく、学生主体で運営するリーグにしたいという気持ちがあります。とはいえ、これだけの規模のリーグ運営をいきなり任されるのはかなり難しい話。なので、まずは広報というカタチで我々のすぐ近くで運営に携わり、ノウハウなどを吸収してもらうことで、自主的な運営という理想へ近づけるような人材を育てたいと思っています。

――ゆくゆくは運営全体を大学生に任せる目的があったのですね。最初に広報という仕事を選んだ理由を教えてください。

川上氏:広報であれば、大学生ならではの視点が活かせると思ったのが最大の理由です。企画の立案や情報発信といった部分こそ大学生の視点や発想をいちばん活かせると思いました。

また、大学生に対してこの大会の認知度をさらに向上させたいと思っているので、僕らよりも同じ世代である大学生たちがPR施策を考えたほうが、よりターゲットに刺さるのではないかという期待もあります。

  • シャドウバース大学生リーグ広報部

    将来的には学生主体で運営するリーグにしたいと展望を語る2人

――広報部の任期はいつまでですか?

野村氏:今回は2021年3月までを予定していますが、来年度をどうしていくかは今期の結果を見て考えるつもりです。

川上氏:半年間の成果を次につなげてほしい思いもあるので、希望者にはそのまま続けてもらうのもアリかもしれません。最終的に、それが大学生の手でリーグを運営するためのステップになっていくと思います。

――どれくらいの人数を採用される予定ですか?

野村氏:今のところ初年度は6名ぐらいで採用活動を実施中です(取材当時)。来年度以降は、運営側における大学生の活動範囲を広報部以外にも広げたいですね。

川上氏:大学生リーグの運営にあたって、2019年度はCygamesの僕と野村のほかにもう1人、さらにリーグの広報事務局スタッフとしてPR専門のかたにサポートしていただきました。トータルでも数人で運営と広報をやっていたのですが、学生6名には広報を専門として加わっていただきます。

――その6人の大学生がどんな作業を担当するかも決まっているのですか?

野村氏:実は、そこの企画作りから大学生に担当してもらうつもりです。広報部の大学生にまず企画を考えてもらい、それを僕たちと一緒にブラッシュアップし、実現に導いていく流れを想定しています。

今の社会状況だと難しいかもしれませんが、たとえば「大学生だけが集まるパブリックビューイングをやりたい」というアイデアが出たなら、どうすればそれが実現できるかを一緒に考えたり、開催の告知をSNSで発信してもらったりする予定です。

――まずは「自分たちが何をしたいか」を考えてもらうわけですね。

野村氏:そうは言っても最初はまったくの手探りでしょうから、こちらからの提案もしていくつもりです。

ご協力いただいているPR会社さんには、「広報やPRとは何か」という基本的な部分や、コンテンツにどういう切り口を持たせればニュースをメディアに取り上げてもらえるのか、といったPRスキルのレクチャーなどをお願いしたいと思っています。

採用の基準は熱意とコミュニケーション能力

――応募者を選考する流れを教えてください。

野村氏:書類選考通過者のみを対象に、オンライン面接を行って6名を選びます。応募総数からいくと競争率としては10倍以上ですね。

川上氏:『Shadowverse』だけでなくカードゲーム全般が好きなかたや、広報という仕事に興味のあるかたなど、内訳はかなり多彩。『Shadowverse』に詳しいほうが望ましいですが、それよりもコミュニケーション能力や熱意を基準に選考しています。

野村氏:志望理由の欄を自由に記入できるようにしてあったので、そこで熱意をアピールできるかが大きいですね。「自分で考えて何かを成し遂げる」ことがひとつのコンセプトでもあるので、書類選考では「こういうことをやりたい」「これができる」といった思いが伝わってくる人を選びました。

  • シャドウバース大学生リーグ広報部

――一般的なゲームタイトルとeスポーツ大会では広報活動に違いはありますか?

野村氏:eスポーツの大会は選手や運営だけでなく、観客がいてはじめて成り立ちます。そのため、運営や広報活動では、人を楽しませることが好きであることが大事だと思っています。

――募集は全国からされているのでしょうか?

川上氏:そうですね。なので基本はオンラインでの活動を考えています。9月のシーズンファイナルは例外的にオンラインでの開催になりますが、基本的にシーズンファイナルと年間の決勝はオフラインで実施されます。そうしたイベントの開催などでは東京まで来ていただくこともあるかと思います。

――やはり大学生リーグも重要な試合はオフラインでの開催が理想ですか?

野村氏:オンラインの大会では対戦相手とのコミュニケーションが損なわれがちであると感じています。オフラインでは、試合終了後に選手同士が連絡先を交換したり、そのまま食事に行ったりと、大学生リーグならではの光景が見られました。

ですがオンラインでは、直接の対話はほとんどありませんし、勝者と敗者ではお互いに声がかけづらい雰囲気があるんですね。

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    試合後の集合写真もオフラインならでは

川上氏:チームとチームのあいだだけでなく、勝ったあとにハイタッチをしてチームとしての一体感が高まるような場面もオンラインだと生まれにくい。観ている側にしても、感情移入につながる部分、感情を揺さぶるものがオンラインではどうしても少なくなってしまいます。