Google Chromeチームは10月7日(米国時間)、「Chromium Blog: Chrome is deploying HTTP/3 and IETF QUIC」において、Google Chromeが「Google QUIC」に加えて「IETF QUIC」を積極的にサポートしていく方針と伝えた。
QUIC(Quick UDP Internet Connections)は、Googleが開発したUDP(User Datagram Protocol)やTLS(Transport Layer Security)をベースとした新しい通信プロトコルである。
現在は、標準化団体のIETF(Internet Engineering Task Force)により標準化が進められており、次期HTTPとなる「HTTP/3」ではベースとなるトランスポートプロトコルとしてQUICが採用されることになっている。
Googleでは、IETFでのQUICの標準化を進める一方で、Chromeでは先行して独自実装のQUICを搭載してきた。便宜上、前者が「IETF QUIC」、後者が「Google QUIC」と呼ばれる。Google QUICでは最新のIETF QUIC仕様を積極的に取り込む形で開発が進められており、最新バージョンのQ050ではIETF QUICとほぼ同等の機能が提供されているが、それでもChromeユーザーがIETF QUICのサーバと通信する際はいくつかのコマンドラインオプションが必須となっていた。
この状況を改善するために、GoogleではChromeにおけるIETF QUICのサポートを積極的に進めることを決定したという。IETF QUICはまだドラフト段階であるため、当面のターゲットはドラフトバージョンのIETF QUIC h3-29になる。
とはいえ、ChromeがすぐにIETF QUICに移行するというわけではなく、Google QUICを使用するサーバがIETF QUICをサポートする十分な時間を提供するために、当面はGoogle QUIC Q050とIETF QUIC h3-29の両方を積極的にサポートしていく方針だ。