ニコンが新マウントのフルサイズミラーレス「Z 7」「Z 6」を発表してからはや2年。両機種に寄せられた不満点を解消しつつ、価格を抑えた中堅モデル「Z 5」が登場しました。ひと足先に登場したAPS-Cミラーレス「Z 50」を高く評価して2台持ちで使っている落合カメラマンが待ち望む「Z 50のDNAを受け継ぐフルサイズミラーレス」に仕上がっているのでしょうか?

  • ニコンが8月末に販売を開始したフルサイズミラーレス「Z 5」

    ニコンが8月末に販売を開始したフルサイズミラーレス「Z 5」。実売価格は、ボディ単体モデルが税込み165,000円前後、コンパクトな設計の標準ズームレンズが付属する24-50 レンズキットが税込み20万円前後

Z 5hは「Z 50のフルサイズ版」のようなカメラなのか!?

うっ……。こ、これは、もし「Z 50のフルサイズ版」みたいなモノだったなら……即買いせねばならんやんけーっ!

Z 5の概要を知ったときの率直な第一印象である。けっこうお買い得に見えないこともない価格設定、シンプルなモードダイヤル、話のうわべだけを聞いていると「Z 7やZ 6よりも小型軽量に仕上がっているのではないか」と思えてしまう機種解説……。これらの情報をサラッと受け入れると、自動的に「現状、唯一の“APS-C Z”であるZ 50をフルサイズ化したような魅惑的なモデル」の姿が(手前勝手に)ブワッと浮かび上がってきちゃうという流れだ。

話としちゃムリのない展開である。コチラコチラのZ 50関連の過去記事を改めて読んでもらえば一目瞭然、ワタクシは圧倒的に「Z 50推し」の立場にあるワケなのだけど、そんな個人的な好みをさて置いたとしても、Z 50って世間のウケが割と良かったのではないかと思っており、だとするならばニコンが「Z 50のフルサイズ版(的なモデル)」を画策するのも道理。冒頭で触れている第一印象の通り、「もしホントにそれなら欲しい!」と、Z 50推しの私が脊髄反射的に反応してしまったぐらいなのだから、その発想自体は大きく外れてはいないと思うのだ。

  • 落合カメラマンが自腹で購入した2台の「Z 50」。センサーへのゴミの付着を避けるため、それぞれ異なるレンズをつけっぱなしで使っているという徹底ぶりだ

しかも、今は「ニコンZ」の地盤をより強固なものにするためにボディラインアップの拡充が欠かせないタイミングでもある。その第一弾として、入門者を含む新たなユーザーを「フルサイズZ」に誘導すべくZ 5を投入したのであろうと想像を逞しくすることも決して難しくはない。6と7に続くZは、より高速化された「9」or「3」か、お手軽な「5」でしょ……という無責任な妄想は誰もが抱いていたハズなので、たぶん多くの人が「お、やっぱり来たねぇ~。いらっしゃーい」ってな思いですんなりZ 5を迎えているんじゃないだろうか。サプライズ的な要素とは無縁の至極まっとうな駒の進め方であるように感じた次第である。

ファーストショットの高画質に驚かされたZ 5

青空に秋の気配をたたえ始めた、とある晴れた日(って、当該作例のexif見りゃバレバレですが)にZ 5を初めて使ったのだけど、その撮ったばかりの1枚目(本当のファーストレリーズで撮った1枚目)の仕上がりを背面のモニターで見たとき、直感的に「うわ、想像以上にイイ画を紡ぐじゃん!」と思った。背面のモニターでササッと見ただけなのに、その画像から伝わってくる立体感がスゴかったのだ。

太陽が雲の向こうに入りかけのド逆光。不規則なカタチの雲にはイイ具合の濃淡があり、さらには手前の樹木が空との距離感と画面内のコントラストに華を添えているという、いわば「役者が揃っている」ことがプラスに作用しての印象ではある。とはいえ、いきなり撮った1枚目が想像以上にイイ感じだったので、私の中での“Z 5株”は現場でいきなり爆上がり。「さっすがフルサイズ~」なんてことまで思ったりしたのは、とりあえず私の中にあったその段階での評価基準が愛機「Z 50」だったからなのだけど、何はともあれレリーズ1コマ目にしてすっかりヤラれてしまったというワケですわ。まずはその画質に。

  • これが立体感あふれるファーストカット。撮影直後に背面モニターで仕上がりを見て「おお、なんだよ、Z 5けっこうイイじゃん!」ってなった。確かに、低感度域での仕上がり画質に文句はない。ホント、よく写る(NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3使用、24mm、ISO100、1/500秒、F11.0)

新たなキットレンズを装着したオペレート時の重量も確かに軽い。ただし、これはそのレンズ、つまりZ5と同時発売となったNIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3を装着しているとき限定の話なので最大限の注意が必要だ。だって、Z 5のボディ質量675g(バッテリー、メモリーカード含む)って、ジツはZ 6、Z 7と同じ(!)なんだもん。

しかも、よりシビアに見ると「本体のみ」の質量は先達2モデルよりも5g重くなっていることに気づく。え? どーゆーこと? 新型バッテリーEN-EL15Cが軽くなっているってこと? いやー、てっきりボディ単体で小型軽量化が実現されているのだと思ってましたよー。んもう、ニコンさんったら~。

とか何とか思いつつ、この段階で、少なくとも私の中では「Z 5はZ 50のフルサイズ版とはちょっと違うなぁ~」という感じになってきていた。ボディ単体の「大きさと重さだけを気にする」のであれば、Z 5を選択する理由はないものね。もちろん「価格」とか「シンプルなモードダイヤル(二度目の発言であることからも分かるとおり、私の中ではこの点のポイントはけっこう高い)」を重視するのであれば話は別だけど……。

  • 天気が良いとついつい上を見上げることが多くなる秋の空。でも、ここでじっくり見てもらいたいのは、青空じゃなくて松の質感描写。ものすごくリアルでしょ? これがZ 5の画作り。キットを組む相棒「NIKKOR Z 25-50mm f/4-6.3」の描写力も想像以上だった(NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3使用、32mm、ISO100、1/320秒、F9.0、-0.7補正)

  • 使用レンズは「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」。人工的に形作られた空間に樹木をムリヤリ溶け込ませようとする人間のワガママをリアルな質感再現で捉えられたのは、Z 5と24-200mm両者の確かな描写力があってこそ。高倍率ズームでこれだけ写りゃ文句はない。けっこうイケてるコンビだ(NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR使用、35mm、ISO100、1/40秒、F4.8)

  • 最近よく聞く「防塵・防滴に配慮した設計」がなされているので、天候の変化によるモチベーションの低下は最低限に抑えられる。また、個人的な好みで、ヴィネットコントロール(周辺光量補正)はOFFにしていることがほとんど。このカットは、それらの"効果"が垣間見られる1枚。開放F値をあえて選んで撮っているのもそのためだ(NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR使用、200mm、ISO1800、1/250秒、F6.3)

  • 24-200mmは、ズームリングの操作感が滑らかであるなど使用感は上質。そして、ご覧の通りチョイボケ部分に全体の印象を毀損するほどの主張の強いクセを見せることもない優等生だ。常時装着レンズとしての適性は非常に高いといえる(NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR使用、51mm、ISO1400、1/250秒、F5.6、-0.3補正)