前回の「小ささと充実性能の好バランスに悶絶」に続き、今回も落合カメラマンが「2019年で個人的に一番インパクトがあったカメラ」と評価したニコンのAPS-Cミラーレス「Z 50」を濃厚にレビューしてもらいました。大きく見やすいEVFや、見た目こそ安っぽいが描写性能は一級品のキットレンズを高く評価している落合カメラマンですが、センサーまわりの仕様にはひとこと言いたいことがあるようです。

  • 落合カメラマンが自腹で購入した2台の「Z 50」。実売価格は、ボディ単体モデルが税込み11万8000円前後、標準ズームレンズが付属する16-50 VR レンズキットが税込み12万6000円前後、望遠ズームレンズも付属するダブルズームキットが税込み15万8000円前後(いずれもポイント10%)。3月31日までキャッシュバックキャンペーンを実施しており、ダブルズームキットは2万円がキャッシュバックされる

「センサーのゴミ」が2台買いに走らせた

ついつい(?)2台買いをしてしまったZ 50なのだけど、実は最初から2台買っていたわけではなく、まずは発売日にダブルズームキットを入手し、もう1台のボディはおよそ1カ月後に追加するという流れだった。インプレ記事を書くために初めて使った時から、漠然と「Z 50、2台欲しいかもぉ。それぞれにキットレンズをつけっぱなしにするためにっ!」なんてことを思っていたのは確か。でも、実際にそういう「バッカじゃね」なんてことを世間様からいわれかねない世界に足を踏み入れるのには、さすがの私にも躊躇があったのだ。

それでも、結局2台目に手を出したのは、使い始めてすぐに「出先でレンズ交換したくねー」と思うようになったから。センサーに付着するゴミが思ったよりも目立つことに気づいたのだ。Z 6やZ 7は、ゴミが気になることはなかった。でも、Z 50は使い込むに従いゴミの写り込みが多いことを意識せざるを得なくなっている。個人的には、この点がZ 50最大の弱点であると認識。絞り込まなきゃ気づかないけれど、一度気づくとどんどん見えてくるのがセンサーのゴミ。Z 50にゴミ取り機能が備わらないのが原因であるような気もしている。

ボディ内手ブレ補正も欲しかった

あと、やっぱりボディ内手ブレ補正(ボディ内VR)は欲しいなぁ。これは最初から分かっていたことなんだけど……。現在、存在しているZ DXレンズ(キットレンズ)はVR装備なので問題ない。困るのは、フルサイズ(FX)用のレンズをZ 50で使おうとしたとき。実はワタクシ、Z 50を手に入れたときからZ 50で「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」を使ってみたくて仕方がなかった。それは、画角的にオイシイ(35mm判換算で21-45mm相当)ことに加え、Sラインのレンズの中央部だけをクロップして使うという贅沢がタマらんだろうとの想定による希望だったのだけど、実際にやってみたら、確かにその通りの素晴らしい仕上がり画質と得も言われぬ背徳感が得られてニヤリ。……と、そこまではよかった。問題はその後。

なんと、想像をはるかに上回る頻度で微ブレに襲われていることが判明し、ズドーンと落ち込むことになってしまったのだ。気づかないところですっかり身についていた「手ブレ補正ありきの撮影姿勢」が微妙な手ブレカットを量産していたというワケ。ワイドズームを使っているにもかかわらず。いやー、これはショックだったねー。オレはここまでブレる男だったのか、と。ブレさせたくない写真が手ブレしちゃってるってのは、明らかに私個人の責任。負けを認めるしかありません。

FXフォーマットのNIKKOR ZでVRを装備するのは、今のところ発売延期になってしまった「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」だけ。今後も、焦点距離が短いレンズには搭載がないかもしれない。時が経てば、徐々にVR搭載のZ DXが充実してくるだろうけれど……。それまで我慢するか、その前にボディ内VR搭載の「Z 70」みたいなのが登場して悔しい思いをすることになるのか……。コレばかりはフタを開けてみなけりゃ分かりませんな。

  • お買い得感抜群の望遠ズームレンズによるテレ端開放F6.3での手持ち撮影。これだけ写りゃ文句はなかろう。ここで仮にヨンニッパと撮り比べたとしても、仕上がりを一目見てわかる明確な違いなど出ないはず。要するに、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VRのコスパは抜群ってコト(NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR使用、375mm相当、ISO1250、1/400秒、F6.3、-2.3露出補正)

  • 念願だった「NIKKOR Z 14-30mm f/4 S」での撮影を敢行。キットの16-50mmとはベツモノの繰り出し操作時の上質な手応えに、S-Lineが放つ格の違いを見せつけられ少々ビビるも、ワイドズームとしてちょうどいい画角(DXフォーマットのZ 50使用時は21-45mm相当となる)と高い描写性能のコンビが発揮する絶大なる魅力をバッチリ堪能することができた。ただ、本文中で触れている通り、手ブレ補正機能の助けをまったく得られないので、気を抜いていると微ブレの洗礼を受けることに。そこのところを含めると、痛し痒しの使い心地だったというべきかも?(NIKKOR Z 14-30mm f/4 S使用、22mm相当、ISO180、1/320秒、F4.0)

  • 優れた超高感度画質もZ 50の魅力のひとつ。このカットはISOオートにお任せのISO6400で撮影したものなのだけど、個人的にはこのISO6400、まったく迷うことなく使える感度だと受け止めている。なお、ISOオートの上限設定に関しては、デフォルトがISO51200のところ私は一段落ちのISO25600に設定。さすがにISO51200はキツいかなぁ……ってな理由によるものだ(NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR使用、375mm相当、ISO6400、1/1000秒、F6.3、-1露出補正)

  • 卓越した質感再現力を厳しい生活に耐え続けている野良ニャンコの毛並みに見る。柔らかさと硬さと汚れ……。そのいずれもがリアルに描かれている素晴らしい描写だ。とりわけ前足と後ろ足のプニプニ再現が見事(NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR使用、180mm相当、ISO100、1/320秒、F5.3、+0.7露出補正)

全体のバランスがよいAPS-Cミラーレスの佳作

一方、アイセンサーと連繋してEVFが立ち上がる(動作し始める)ときのレスポンスの悪さも気になるポイントではある。モニターとEVFを自動で切り換えるデフォルトの設定がダメなのかと思いEVFだけの動作にしても、アイセンサーは頑固に仕事を辞めず、接眼部から顔が離れるとEVFは消灯という動作をキマジメに継続。おかげで、次にファインダーをのぞいたときは、EVFと背面モニターを自動で切り替えているときと同じだけのタイムラグをムリヤリ味わされるという……。動きモノを撮っているときは、この鈍さ、けっこうウザいです。

でも、動きモノに対するAFの追従性は上位機種にも劣らぬ手応えだし(オートエリアAFだと測距点がとっちらかる傾向も一緒だけど……)、AE・AF追従で最速11コマ/秒の連写が可能だし(ただしRAWは12ビット記録となり連写中のファインダー表示はアフタービューのパラパラ漫画になるけど……)、何より2本のキットレンズがやたらによく写るので、それだけでシステムを完結させること(ボディ2台込みで総重量2kg以下のシステム構築)も不可能ではないのがイイんだなぁ。

すんなり納得できる扱いやすさと、使っている時の気分の良さと、上位機種にも見劣りしない仕上がり画質のすべてがバランス良くハイレベルなところで成立しているのがZ 50なんだと感じている。前述の通り、「それなり」の部分や気になるところもあるけれど、それらをアバタもエクボにしてしまう強さをZ 50は持っているのだ。

  • レンズを繰り出すことさえ忘れなければ、電源ONからの立ち上がりはまぁまぁ早い。ちなみに、レンズを縮めている状態でオートパワーオフになったときは、レンズを繰り出す操作がスリープ解除のトリガーになるので、撮ろうと思ったときに慌てないためにはこの動作を活かすのも手(NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR使用、165mm相当、ISO180、1/1000秒、F5.0、+1露出補正)

  • ああ、センサーにゴミが……。見えないうちは全然、気にならないのだけど、一度見えるととことん気になるのがセンサーのゴミ。Z 50にもゴミ取り機構が欲しかった……(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR使用、24mm相当、ISO100、1/2500秒、F8.0、-0.7露出補正)

  • 沈胴時のパンケーキサイズがウレシイ16-50mm。反面、繰り出したときのカッコはイマイチなのだけど、写りはご覧の通り一級品だ(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR使用、24mm相当、ISO100、1/40秒、F6.3、-1.3露出補正)

  • Z 50の確かな画作りが垣間見られる1枚。帽子や衣類の質感が、触れれば指先に感触が蘇ってくるのではないかと思われるほどのレベルで再現されている。ボディ側の画作りだけではなく、レンズの描写力がモノをいっての結果であることはいうまでもない。明暗差のいなし方にも余裕がある(NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR使用、375mm相当、ISO560、1/400秒、F7.1、-0.7露出補正)

  • 手前のピントが合っている部分に見られる隅々まで安定している緻密な描写もさることながら、中途半端にボカされている背景の再現に一切の崩れを見せないところでも、16-50mmの優秀さを推し量ることは十分に可能だ。カメラもレンズもちっちゃいくせに、よく写りすぎるぜ!(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR使用、49mm相当、ISO100、1/80秒、F5.0、+0.3露出補正)

思い起こせば、私にはD40とD40Xを同時に嬉々として使っていたという過去があり、D5000シリーズを贔屓にしていた過去も……いや、こちらは過去の話ではなく、一眼レフを整理しつつある今もD5500を所有しているという下地があっての話ではある。つまり、もともと「Z 50みたいなポジションにあるカメラ」が好きな体質ではあったということだ。でも、それを抜きにしてもZのAPS-Cモデルは「あたり」だと思う。これをきっかけに、ニコン「Z」がもっともっとイイ方向に転がって行ってくれるといいんだけどなぁ。

  • センサーのゴミやボディ内手ブレ補正機構がない点などの留意点こそあるものの、バランスのよい仕上がりを高く評価している落合カメラマン。ニコンのみならず、他社からもZ 50を軽々と追い抜くようなデキのカメラが出てほしいと願っている様子

著者プロフィール
落合憲弘(おちあいのりひろ)

落合憲弘

「○○のテーマで原稿の依頼が来たんだよねぇ~」「今度○○社にインタビューにいくからさ……」「やっぱり自分で所有して使ってみないとダメっしょ!」などなどなど、新たなカメラやレンズを購入するための自分に対するイイワケを並べ続けて幾星霜。ふと、自分に騙されやすくなっている自分に気づくが、それも一興とばかりに今日も騙されたフリを続ける牡牛座のB型。2020年カメラグランプリ外部選考委員。